「う●こをしない」と言われるほど、神格化していた70~80年代のアイドルたち。
それもそのはず、当時はインターネットも携帯電話も普及していない時代であるから、アイドルに関する情報が極端に不足していたのである。少しでもあこがれのアイドルについて知りたい。
そんな少年少女の想いに応えるべく登場したのが、実在のアイドルの足跡をストーリー化したアイドルコミックスだ。現存する作品の数々をレビューし、当時の純粋な想いと懐かしき日々を思い出してみたい。
◆学研アイドルコミックスシリーズ
学校の図書館で見かける歴史・偉人漫画のアイドル版。
アイドルの生い立ちやデビュー秘話、紅白出場をはじめとしたビッグイベントをストーリー化。巻頭グラビアや直筆メッセージ、インタビューといった特別企画も盛りだくさんで、アイドルの魅力をまるごと詰め込んだファン必携の一冊となっている。
実録まんが 松本伊代
松本伊代―実録まんが
松本伊代―実録まんが
伊代はまだ16だから……。
「センチメンタル・ジャーニー」で大ブレークした松本伊代の魅力がつまった一冊だ。本編で強調されるのは、彼女が“普通の女の子”であったこと。そのせいか、初恋のエピソードや、可愛がっていた猫のニャン吉とのエピソードなど、どうでもいい話が盛りだくさん。ファンにとっては、これも貴重な情報なのだろうが……。
一方、そうしたエピソードとは裏腹に、特別企画として掲載された“幼いころの写真”は、親近感を一瞬にして吹き飛ばすほどの可愛さ。これを見ると、「私もアイドルになれるかも!」なんて淡い期待は抱けなくなるのである。
デビュー時のいきさつ
松本伊代―実録まんが
歌っている松本伊代
松本伊代―実録まんが
実録まんが 柏原芳恵
柏原芳恵―実録まんが
柏原芳恵―実録まんが
どこかあか抜けないし、歌もアイドルっぽくない。どうして彼女に人気があるのか不思議に思っていたほどであったが、これを読んで納得した。
柏原芳恵はとにかくひたむきで、一生懸命。だから、応援したくなるのだ。それを象徴するのが、作中のダンス・歌のレッスンシーン。
「このヘタクソ!」「リズム感がない」と徹底的にディスられながらも、血染めのシューズで踊り続ける姿は涙なしでは語れない。だからこそ、彼女には歌謡曲がよく似合う。
思い出されるのは「ハロー・グッバイ」「春なのに」「A・r・i・e・s」といった名曲の数々。
この人、なんで脱いじゃったのかなぁ……。
血染めのバレエシューズ
柏原芳恵―実録まんが
デビューした柏原芳恵
柏原芳恵―実録まんが
実録まんが 堀ちえみ
実録まんが 堀ちえみ
“教官!”“ドジでノロマな亀”でおなじみの堀ちえみ。
大映ドラマ世代にはたまらないアイドルだ。本作には、演技でブレークする以前のフレッシュな彼女の魅力が詰め込まれている。作中でとくに目を引くのは、堀ちえみの“郁恵・愛”である。
「明るくて太陽みたい。郁恵さんみたいなアイドルになりたい!」。
そんな想いから、芸能界を志した少女が、ホリプロスカウトキャラバンでグランプリを獲得。
あこがれの郁恵ちゃんから、トロフィーを受け取るシーンは最大の見せ場だ。なお、本作に掲載されている特別企画ではその天然キャラが爆発。
インタビューコーナーでは「パンティーを50枚以上持っている」ことが発覚した。
郁恵さんに憧れていた堀ちえみ
堀ちえみ―実録まんが
お茶の間の人気者となった堀ちえみ
堀ちえみ―実録まんが
実録まんが 早見優
実録まんが 早見優