映画『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years』
今から50年前、1966年を最後に、観客を前にしてのライヴ活動は行わなくなってしまったザ・ビートルズ。この映画では、当時のライヴの様子はもちろんのこと、ポール・マッカートニーやリンゴ・スターなどが新たな真相を語るインタビューなども満載とのことなので、期待が高まります。
彼らのライヴ音源や映像などは、公式にリリースされているものが少ないだけに、それらを観ることができるこの貴重な機会は、見逃せません!尚、日本版は日本のシーンが海外版より長いらしいので、そんなところも楽しみですね。
映画『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK』公式サイト
LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL
ザ・ビートルズ唯一の公式ライヴ盤「LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL」がレコードでリリースされたのは、1977年のこと。それから現在まで、CD化されなかったのが解せなかったわけですが、今回の映画公開に合わせて、ようやくCD化が実現!しかも、新たにリミックス、リマスターが施された上、4曲ものボーナス・トラックが追加されてます!
元々わずか3トラックでレコーディングされていたというこの音源、観客の歓声というか悲鳴のような声がかなり大きく、演奏の邪魔をしてる部分もあるのですが、今回のCD化では、リマスターの効果か、かなり改善してるように聞こえます。また、そんな歓声がライヴの臨場感を伝えてくれる、良い効果になってるとも言えますね。
映画を観る前に、まずは基本とも言えるこのライヴCDを聴いて気分を高めましょう!
Live At The BBC
イギリスのBBCラジオのオンエア用にライヴ・レコーディングした楽曲を集めたCDが、この「Live At The BBC」です。観客を前にしての演奏ではないので、「公式ライヴ」とは呼ばれてませんが、その生き生きとした生演奏からは、ライヴ・バンドとしてのザ・ビートルズの魅力が感じ取れます。
1962年~1965年の音源なのですが、オリジナル曲だけではなく、チャック・ベリーやバディ・ホリーなど、ロックン・ロールのカバーも多数披露しているのが興味深いですね。
最初1994年にリリースされましたが、2013年にリマスター盤が出てますので、これから聴く方にはリマスター盤がおすすめです。
1962年
1962年8月、ドラマーにリンゴ・スターを迎え、遂にジョン、ポール、ジョージ、リンゴ、の4人が揃いました。まだメジャーデビュー前とはいえ、既に地元リバプールではたいへんな人気があったそうで、最も初期の動くビートルズ映像と言われている、キャバーン・クラブでの「Some Other Guy」(リッチー・バレットのカバー)で、その様子を垣間見ることが出来ます。
リンゴ加入直後(わずか4日後)とは思えぬ息のあった演奏を聴くと、この4人がバンドを組むのは必然だったように思えますね!
この頃のザ・ビートルズは、武者修行のごとく何度もハンブルク(ドイツ)巡業を行ってましたが、1962年10月に「Love Me Do」でデビューし、人気が広がっていくと、12月にはハンブルク巡業もいよいよ最後となりました。
その12月31日最終公演の模様を収録したライヴ盤も1977年にリリースされましたが、素人が録音したものらしく、とにかく音が悪い!ザ・ビートルズのメンバーの意に反するということもあり、1998年に裁判でレコードの発売禁止が決定しました。中古やブートレッグなどで入手することは可能でしょうが、オススメはしません。
1963年
1963年は、精力的にイギリス国内をライヴ・ツアーで周った時期です。2月にシングル「Please Please Me」が英チャートの1位になったこともあり、ジョイント・ツアーでも次々と格上のアーティストを食ってしまい、徐々に主役の座を奪っていくことになりました。
ラジオやテレビなどへの出演も増え、このころから、様々な映像が残されるようになりました!中でも特に印象的なのが、11月4日王室主催コンサートの模様ではないでしょうか。
「安い席の方は手拍子を、それ以外の方は宝石をジャラジャラ鳴らしてください」というジョンのユーモア溢れる発言でも有名なこの映像は必見です。
11月20日のマンチェスター公演は、ザ・ビートルズ最古の公式カラー映像として有名で、同年12月にイギリス国内の映画館で「The Beatles Come To Town」として上映されました。デビューからわずか1年ながら、イギリスでは早くもビートルマニアたちが熱狂していることが伝わってきます。
12月7日にリバプールで行われたファンクラブ向け公演の模様が、BBC特番「 'It's The Beatles' Live」として残されてます。ここでも、観客の熱狂ぶりはすごいですね!
1964年
1964年は、遂にアメリカでも人気を獲得し、世界のビートルズへと飛躍を遂げた時期です。
2月にエド・サリバン・ショーへの出演、さらにはワシントン・コロシアムやカーネギー・ホールでの公演も成功し、アメリカでの映像も多く残されてます。
この後、4月には全米シングルチャートで1位から5位までを独占するという快挙を達成することになりますが、これらの映像からは、そんな勢いを感じることができますね!
同年4月26日に英ウェンブリーで行われた、NME誌ポール・ウィナーズ・コンサートの模様も圧巻です!特にジョンのヴォーカルが凄まじく、ライヴ・バンドとしてのザ・ビートルズの魅力が全開!
1965年
1965年は、前半を映画撮影やレコーディングに費やし、ツアーの開始時期が遅れた影響もあって、公演回数が激減。また、意図的に収容人数の多い会場でのライヴを増やしていったことも、公演回数が減った要因と言えそうです。
4月11日に英ウェンブリーで行われた毎年恒例のNME誌ポール・ウィナーズ・コンサートを見ると、あいかわらずの熱狂ぶりであります。ここで初めて演奏された「Ticket To Ride」は、この年のヨーロッパ・ツアー、US&カナダ・ツアーでもセットリストに入る定番曲となりました。
そしてこの年、最大のトピックといえば、ザ・ビートルズ史上最大のライヴとなった、8月15日のシェイ(シェア)・スタジアム公演でしょう。初めての野球場で、5万人以上を動員。観客数、チケットの売り上げ、ともに当時の世界記録となりました。
ある意味、ここがライヴ・バンドとしてのザ・ビートルズのピークだったと言えるかもしれません。
1966年
1966年になると、さらにライヴの回数は減ってしまいます。この年にレコーディングされた傑作『Revolver』を聴けば分かりますが、凝りに凝ったレコーディングで芸術性を高めていく一方、当時の技術ではそれらの楽曲をライヴで再現できないというジレンマが生まれてしまいました。
6月に行われた西ドイツでのライヴは、半年前のUKツアーとあまり変わらない構成で、唯一新曲の「Paperback Writer」が加わっただけ。徐々にライヴの限界が見えてきた、とでも言いましょうか。
来日公演!
そして、この年は待望の日本公演が実現!前述のとおり、既にライヴ・バンドとしてのピークは過ぎてしまっていた感は否めませんが、それでもザ・ビートルズのライヴを生で観ることが出来た当時の人たちが羨ましいです!
今や当たり前となっている武道館でのロック・コンサートですが、ザ・ビートルズが最初だったのです!公演の模様は日本テレビで何度か放送されたことがありますが、フル・ヴァージョンで商品化(ビデオ、DVDなど)されたことが無いのは、残念ですね。ぜひオフィシャルでリリースしてほしいものです。
この年、8月29日のUSツアー、サンフランシスコ公演がザ・ビートルズにとって最後のコンサートとなってしまいました。この時期、ネガティヴな事件・騒動が重なったことも、ライヴを止めた原因になったのだと思いますが、メンバーの興味がライヴからスタジオに移行したことで、革新的なレコードを次々と発表してくれたことを考えると、これはこれで正解だったのかな、と思わざるを得ません。
1969年
最後は、1969年1月30日の「ルーフ・トップ・コンサート」です。
この時、原点回帰をコンセプトにしたゲット・バック・セッションを行っていたザ・ビートルズは、アルバムの制作過程を撮影し、ドキュメンタリー映画『Let It Be』として完成させます。そのエンディングを飾るのが、まさかの屋上ライヴ!
映画自体は、メンバー間の関係がぎくしゃくしているのが分かる、重苦しい内容なのですが、最後のライヴ演奏で救われる思いがします。残念ながら、この映画もオフィシャルにはDVD化されていないので、中古ビデオかブートレッグを探して観るしかないのが残念でありますが。
ポールがヘフナーのベースを、そしてジョンがエピフォン・カジノを弾いてるだけで、絵になりますね!ザ・ビートルズ後期の生演奏を観ることが出来る、ありがたい映像です。
以上、ザ・ビートルズのライヴ関連情報を簡単にまとめてみましたが、いかがでしたか?他にも印象的なライヴは多々あったかと思われますので、皆さんもいろいろ探してみてください。