10cc
1970年代を代表する名曲の一つと言われる「アイム・ノット・イン・ラヴ」をはじめ、「電話を切らないで」、「愛ゆえに」などのヒット曲で知られる10cc。
1972年にデビューし解散、再結成をし2012年には40周年ツアーをおこなった10cc。その絶頂期だった70年代の10ccを振り返ります。

10cc
イギリスのバンド10ccは、1972年8月4日にシングル「ドナ」でデビューしますが、この曲がいきなり全英2位の大ヒットとなります。
実は4人のメンバーは、10ccを結成する前にそれぞれが他のバンドやスタジオミュージシャンとして既に10年ものキャリアを持っていました。
「ドナ」のヒットによりメンバーは10ccとしての活動に専念することになります。
1973年3月発売の3枚目のシングル「ラバー・ブレッツ」が全英1位とまたまた大ヒットし、いよいよ同年7月にファースト・アルバム「10cc」を発売します。
デビュー当時のメンバーは
グレアム・グールドマン(Graham Gouldman):ベース、ギター、ボーカル
エリック・スチュワート(Eric Stewart):ボーカル、ギター、キーボード
ロル・クレーム(ロル・クリーム)(Lol Creme):ボーカル、ギター、キーボード、ギズモ
ケヴィン・ゴドレイ(ケヴィン・ゴドリー)(Kevin Godley):ボーカル、ドラム
です。

10cc
ファースト・アルバム「10cc」には、シングル発売された「ドナ(全英2位)」、「いけないジョニー」、「ラバー・ブレッツ(全英1位・全米73位)」、「ディーン・アンド・アイ(全英10位)」と4曲も収録されています。ファースト・アルバムにしてベストアルバムの趣です。
Sheet Music
1974年にリリースされたセカンド・アルバム「シート・ミュージック」は、ヒットシングル「ウォール・ストリート・シャッフル」と「シリー・ラブ」を収録しており、アルバムは、全英9位、全米81位となりました。
メンバーのケヴィン・ゴドレイは、10ccの気に入っているアルバムとして、また、グレアム・グールドマンは、10ccの最高傑作であると述べています。

シート・ミュージック
The Original Soundtrack
これを名曲と言わずして何を名曲を言えるでしょうか?といった高い評価を受けている「アイム・ノット・イン・ラヴ(全英1位・全米2位)」を含む10ccの代表作が1975年に発売されたアルバム「オリジナル・サウンドトラック」です。
「架空の映画のサウンドトラック」というコンセプトのもと、ロック・オペラ「パリの一夜」で始まる当時としては珍しい設定で作られています。

オリジナル・サウンドトラック
Amazon.co.jp: 10cc : オリジナル・サウンドトラック - ミュージック
いつ聴いても素晴らしい曲ですね。また、聴くたびに新たな発見がある曲でもあります。それは、しっかりと計算され、作りこまれているからでしょう。
How Dare You!
「びっくり電話」は、1976年に発売され、全英5位、全米47位を記録しました。シングルヒットした「芸術こそ我が命(全英5位・全米83位)」、「アイム・マンディ(全英6位・全米60位)」の2曲を収録しています。
アルバムタイトル同様にびっくりしたのは、ケヴィン・ゴドレイとロル・クレームがこのアルバムを最後に脱退してしまったことです。順調な活動が続いていただけに残念な出来事となりました。
尚、二人はこの後、ゴドレイ&クレームとして活躍することになります。

びっくり電話
Deceptive Bends
エリック・スチュワートとグレアム・グールドマンの2人になって最初の作品ということで、どうなることかと当時は心配されたことでしょうが、大ヒットという最高の結果をだした1977年発売のアルバム「愛ゆえに」です。
オリジナルのアルバムタイトルを無視して付けた邦題からも分かるように、シングル「愛ゆえに」は世界的な大ヒットとなりました。
「愛ゆえに」のほか「グッド・モーニング・ジャッジ 」、「恋人たちのこと 」のシングル曲を収録しています。

愛ゆえに
Bloody Tourists
大まかに言えば、脱退したケヴィン・ゴドレイとロル・クレームは10ccのアヴァンギャルドな部分を担っており、エリック・スチュワートとグレアム・グールドマンはメロディ・メーカーです。
1978年発売のアルバム「ブラディ・ツーリスト」にもエリック・スチュワートとグレアム・グールドマンの楽曲は美しく冴えています。と同時に以前の10ccを知っていると、何か物足りなさを覚えてしまいます。
とは言え本作はかなりの力作です。
全英1位のシングル「トロピカル・ラヴ」と「レッズ・イン・マイ・ベッド」、「フォー・ユー・アンド・アイ 」のシングル3曲を収録しています。

ブラディ・ツーリスト
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好調だった10ccですが、80年代に入ると状況は一転します。
1980年にフランス映画「ガールズ/恋の初体験」のサウンドトラックアルバム「ルック!ヒア!!」を発売しますが力作だったにもかかわらず思わしい結果を出すことが出来ませんでした。
1981年発売のアルバム「ミステリー・ホテル」と1983年発売のアルバム「都市探検」は、共にAOR路線を推し進めたものでしたが、これも商業的に失敗に終わります。
そして、英国ツアーも不調に終わったことから10ccは解散してしまいます。
1992年には再結成し、アルバム「ミーンホワイル」を、1995年にはアルバム「ミラー・ミラー」発売しますが往年のような成功には至りませんでした。
10ccという変わったバンド名は、所属レコード会社の社長、ジョナサン・キングが夢で見た「世界で最も偉大なバンド、10cc」という看板からとられたとのことです。
70年代の10ccは英国的で偉大なバンドであったことに間違いはありません。