黒船の如く現れたブッダブランド!名曲『人間発電所』は日本語ラップのクラシックに!

黒船の如く現れたブッダブランド!名曲『人間発電所』は日本語ラップのクラシックに!

無敵の3本マイクを擁し、DJ MASTERKEYを加えた4人組ヒップホップグループだった「ブッダブランド(BUDDHA BRAND)」。アクの強い油断ならないメンバー達が作り出した名曲『人間発電所』は影響力が大きく、90年代中盤以降に日本語ラップが盛り上がっていく原動力となった。


黒船・BUDDHA BRAND(ブッダブランド)

"スタートから他を寄せ付けず
圧勝 走り抜けてく猛スピード"

たとえ黒でも白と言い切るイルマティックMC'S!

BUDDHA BRAND(ブッダブランド)

デビュー曲「人間発電所」。
ALL代表曲のブッダブランドでも、頭一つ抜けた一曲。
今や日本語ラップのクラシックとされている。

ILLMATIC BUDDHA MC’S / 人間発電所 [USED 12"]

≪グループ 概要≫

【結成】 1989年

【デビュー】 1996年(cutting edgeより)

【メンバー】
・『DEV LARGE』(MC)デヴラージ
リーダー。プロデュース及びトラックメイキングも担当。別称(a.k.a)はD.L、BOBO JAMES、大峠雷音、千目多移嘆、SON GOD 1など。

1969年、東京都渋谷区代々木生まれ。小学4年生の時に親の転勤に伴い、中学卒業までニューヨークで暮らす。

・『CQ』(MC)シーキュー
別称(a.k.a)は赤目のダルマのおじき、クーリーシャンなど。
1998年以降は、Maki(マキ)と共に結成した『キエるマキュウ』のメンバーとして活動。

・『NIPPS』(MC)ニップス
東京都台東区出身。別称(a.k.a)は飛葉飛火、緑の5本指、パピー飛葉など。
2007年以降は、TETRAD THE GANG OF FOUR、The Sexorcistのメンバーとして活動。

・『DJ MASTERKEY』(DJ)ディージェイ・マスターキー
東京都大田区蒲田出身。 別称(a.k.a)はROCKSMITH。「MASTERKEY」の由来は、本名の「まさき」の発音を文字ったもの。

自身のソロ作品や他アーティストのリミックス・プロデュースも手がける。
渋谷のクラブHARLEMのDJとしてイベント「DADDY'S HOUSE」を主催。

左からDEV LARGE、NIPPS、CQ、DJ MASTERKEY

アクの強い油断ならないメンバー達

BUDDHA BRAND(ブッダブランド) 来歴

Amazon.co.jp: 「さんぴんCAMP」

日本のヒップホップにおいて伝説的イベントと語り継がれる「さんピンCAMP」。 中でもブッダブランド×シャカゾンビという二大グループによるユニット大神の『大怪我』は秀逸! 用意はいいかい?買う準備はいいかい?(笑) ※価格変動あり

Amazon.co.jp: 「ブッダの休日」 - BUDDHA BRAND

コアな部分を保ちつつ、さらに広い層の人間の耳を引き付けようとするブッダの意欲作。選び抜かれたループが次々と現れては消えていく、ひたすら気持ちいいトラックがとにかく秀逸。 ※価格変動あり

Amazon.co.jp: 「天運我に有り(撃つ用意)」 - BUDDHA BRAND

97年のシングル「天運我に有り(撃つ用意)」に数曲を合わせ、ミニ・アルバムとして復刻。 ※価格変動あり

Amazon.co.jp: 「病める無限のブッダの世界 ― BEST OF THE BEST (金字塔)」 - BUDDHA BRAND

BUDDHA BRANDのこれまでのベスト・トラックと新曲からなるCD2枚組・31曲を収録した作品。 まさに金字塔!!

発売当時、クラブで流れまくった『人間発電所』

90年代中盤にクラブ通いをしていた者にとっては、ブッダブランドの『人間発電所』を耳にする機会も多かっただろう。日本語を使ったかっこいいラップの曲がある!と衝撃を受けた名曲だった。

ラッパーのサイプレス上野がTBSラジオ『ザ・トップ5』に出演し、レコードが即完売した当時の状況を振り返っていた。

"「最初のファーストプレス。いわゆる1回目に刷ったのは青いステッカー。で、2回目は緑のステッカーで。それが『お前、そっちの色かよ?』ってバカにする対象になるぐらい、いきなり売れたやつで。」"とコメント。

また、彼の周りにいるヒップホップ好き「以外」の人にも、ブッダブランドは認められていたそうだ。当時高校生だった彼の思春期に強い影響を与えていると予想される。

『人間発電所』はヒップホップの本場であるアメリカの影響が強く感じられる。

冒頭でCQが「病んでる BUDDHA 」とラップしている。
これは彼等が「病んでる」=「ILL」というスラングを用いて、自分達の独自性を示した点に由来している。

本来「病気」や「邪悪」、「不快」といった意味合いを持った「ILL」という英単語を、リリックに取り込むことで、「病んでる BUDDHA」≒「やばい BUDDHA」という意味に変化させ、リスナーに提示している。
それはアメリカ帰りで、得体のしれない存在感(いかれた言語感覚とも言われた)をまとった自分達をアピールするのに機能していた。

この曲では、CQだけでなく、DEV LARGEも自身のパートで繰り返し「ILL」をリリックに使用している。
CQは計4回、DEV LARGEは計6回。
ちなみにNIPPSは0回だった。それも自由奔放な彼らしい(笑)

『人間発電所』に関するエピソードでは、ジャケット撮影は同じく日本語ラップのクラシックとされる大神の『大怪我』と抱き合わせて行われたそう。
DEV LARGEが『ブッダだから浅草方面でいっぱい写真を撮りたいんですよ』と希望し、浅草周辺で撮ったそう。
当然、シャカゾンビのメンバーも呼んでいるのだが、彼らは待ち時間が多かったそう(笑)

右下のシール部分。実はCQが台に乗って背を高く見せている。

『人間発電所』のジャケット写真

大神の『大怪我』ジャケット写真

≪『人間発電所』の元ネタとされる楽曲≫

NHK・BS2「真夜中の王国」にBUDDHA BRAND(ブッダブランド) が出演!

1994年からNHKBS2で放送されていた「真夜中の王国」に出演したブッダブランド。

トークを見るとDEV LARGEがやはりリーダーだったんだなと実感する。
司会のユースケ・サンタマリアと渡辺満里奈がDEV LARGEの熱すぎるヒップホップ愛に圧倒されている。無口なユースケ・サンタマリアを見るのは初めてだった。

CQは冒頭の自己紹介で「CQでござ~る」とCM「バザールでござーる」を意識したようなあいさつをかましたが、その後はずっと眠そうだった。
DJ MASTERKEYは渋滞にはまり、遅刻。
NIPPSが収録に参加したかは不明。

シンガー・加藤ミリヤはデビュー曲に『人間発電所』をサンプリング!

2004年9月8日に発売された加藤ミリヤのデビューシングルに収録の「夜空」。
この曲は『人間発電所』をサンプリングしている。また、編曲をDEV LARGEが担当。

高校1年生でデビューした加藤。
DEV LARGEにプロデュースされることになり、当時中学3年生だった加藤ミリアが、新宿のルノワールで同氏と初めて対面した時に、"『発電所使って全然いいから。せっかくだったら一緒に色々なことをやろう。BUDDAのメンバーも集めるから』"と言われたそう(その後、実際にNIPPSとCQも参加している)。

作詞も担当した加藤(Miliyah名義)は、サビの歌詞に"天まで飛ばそう"と『人間発電所』のリリックを引用している。

テレビ東京系で放送していたヒップホップ情報番組「流派-R」のオープニング・テーマにも使用された。

2015年5月4日、リーダーのDEV LARGEが急逝

2015年5月4日早朝にDEV LARGEが急逝した。

翌5日には一時BEEF(アーティスト間の争いのこと)を起こしたK DUB SHINE、ZeebraらがTwitter等のSNSを通じて報じた。
6日にはDEV LARGEの所属レーベルであるPヴァインによって公式に発表された。

前述の加藤ミリヤは6日、自身のブログで、"「心から尊敬して、憧れて、大好きだった人。この愛が天国のDEV LARGEさんにどうか届きますように。」"と800字以上にわたる追悼のコメントを掲載した。

亡くなったDEV LARGE

無敵の3本マイクにDJ MASTERKEYを加え、切り込み隊長として日本のヒップホップ黎明期に活躍したブッダブランド。
彼らは明らかに時代を熱く沸かすラッパーであったし、彼らの曲を聴くと今でも空を駆けてくような気持ち良さに包まれる。

まさにクソ熱い日本語ラップ代表だった。

DEV LARGEよ、安らかに。

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