70年代に確立された美しきツイン・リードギター、ウィッシュボーン・アッシュ!

70年代に確立された美しきツイン・リードギター、ウィッシュボーン・アッシュ!

山あり谷ありとはいえ、70年代こそがウィッシュボーン・アッシュの長い歴史において最も充実した期間といえます。イギリスのバンドらしいインテリジェンス溢れる繊細なツイン・リードギターは今でも他の追随を許しません。


ウィッシュボーン・アッシュ誕生

Wishbone Ash

ウィッシュボーン・アッシュは、1966年に結成されたThe Empty Vesselsを母体としTanglewoodを経て1970年にアルバムデビューをはたしました。
当時のメンバーは、アンディ・パウエル(ギター・ボーカル)、テッド・ターナー(ギター・ボーカル)、マーティン・ターナー(ベース・ボーカル)、スティーブ・アプトン(ドラムス)です。

ツイン・リードギターが売りとなるのですが、ベーシストがメイン・ヴォーカルを務め、二人のギタリストが華麗なコーラスを聞かせるというのが、これまた素晴らしいところです。

1970年、デビュー・アルバム「光なき世界(Wishbone Ash)」を発表。
現在でもライブで演奏されている代表曲「フェニックス」は、このアルバムに収録されています。

1970年リリース

【収録曲】
1. 光なき世界
2. レディ・ウィスキー
3. あやまち
4. 悲しみの女王
5. ハンディ
6. フェニックス

光なき世界

黄金の70年代

現在でも現役のウィッシュボーン・アッシュですが、70年代は最も実りの多い時期だったといえます。
1971年に発売されたセカンドアルバム「巡礼の旅」は、インストルメンタル・ナンバーが多いこともあり、一般的にはあまり受け入れられませんでしたが、しかし、このアルバムは素晴らしい内容を誇っています。

1971年リリース

【収録曲】
1. よみの国へ
2. 巡礼
3. ジェイル・ベイト
4. 唯一人
5. 子守歌
6. 告別
7. 明日はいずこへ

巡礼の旅

のっけからシャ~ンとシンバルが打たれ、スネアのプレスロールと共にジャジーな高速ワルツ(?)が始まる。ここで既に彼らにしっかり染まっているが、スキャットが開始されるとガツ~ンっと圧倒された。正直、ボーンってこんなに上手いバンドっていう印象なかったです。この2ND以外全部そう。クラブで普通に巧いバンドで鳴らしてるバンドみたいだ。なんかこのアルバムだけ音も演奏も違うんでアーガスの後でなら驚きます。特にマーチン。ベース超巧いです。いつもの叙情的なあれがこのバンドに沿った芸風だと分かりました。ライブで鍛えたこの腕は正しく一流のプロです。彼、辞めてもピンのプレイヤーとしてイケてるんじゃないかな。・・さて内容はピルグリムの巡礼者がテーマの重い作品、かといえばそうではなくて、サウンドはむしろポップで前作やアーガスのモロ古典や物語っぽくはないです。そういう概念でなく演奏自体でグイグイ攻めて来ます。また曲ごとにバラエテイーがあり輸入盤ボーナスのJAIL BAITは彼らの演奏ではぴか一ですが年代はもっと後のものです。この作品は彼らのプレイとバンドの基礎体力みたいなものが核で、サウンドもちょっと篭った前後のアルバムとは毛色が違う、弾力のあるロックな音してます。デヴュー当時のクラブで叩き上げた勢いをそのままパックしたみたいなアルバムで、当時の最良のサウンドです。

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そして、いよいよ大傑作「百眼の巨人アーガス」が1972年に発売されます。
ツイン・リードギターのスタイルがここで完成したと言ってよいでしょう。セールス的にも全英3位とヒットしました。
アイアン・メイデンやディープ・パープルなどハード・ロックやヘビー・メタルのプロデューサーとして有名なマーティン・バーチがエンジニアとして参加していることも注目です。

1972年リリース

【収録曲】
1. 時は昔
2. いつか世界は
3. ブローイン・フリー
4. キング・ウィル・カム
5. 木の葉と小川
6. 戦士
7. 剣を棄てろ

百眼の巨人アーガス

ウィッシュボーン・アッシュ・アンセムとも言われる「ブローイン・フリー」ですが、当時のライブ映像で観れるとは、なんとも贅沢ですね。

アメリカ進出、そして

1973年には、スタジオ・アルバム「ウィッシュボーン・フォー(Wishbone Four)」とライブ・アルバム「ライブ・デイト(Live Dates)」の2枚を発表します。
前作で成功を収めたウィッシュボーン・アッシュはアメリカ進出をおこないますが、その矢先にギターのテッド・ターナーが脱退してしまいます。
後任にはローリー・ワイズフィールドが参加することになりました。

1973年リリース

【収録曲】
1. ソー・メニー・シングス・トゥ・セイ
2. ビーコンのバラッド
3. ノー・イージー・ロード
4. エヴリバディ・ニーズ・ア・フレンド
5. ドクター
6. ソレル
7. シング・アウト・ザ・ソング
8. ロックン・ロール・ウィドウ

ウィッシュボーン・フォー

本作品を最期にバンドを去ったテッド・ターナーは隠れた天才ギタリストで個人的なフェイバリットだ。このバンド結成時からギターを始めたらしいが、それが信じられない位リリカルで繊細なフレーズを弾く。初期の2枚はボーカルもこなすアイドル的存在だったが、この時期にはアンデイー・パウエルとギターの実力はほぼ互角にまで迫っている。2人とも独特なサウンドと豪快かつノスタルジックな叙情性があると思うが、アンデイーは伸びのある豪快なプレイ、テッドは尖った音色でピッキングニュアンスで聴かせるタイプだった。このアルバムのベストテイクは英国のトラッドを下地とする2曲目。ソロもまた素晴らしい。

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メンバー・チェンジ後、初のアルバムで何とも不吉なアルバムタイトルですが、ところがどっこい内容は素晴らしいです。
それに何と言ってもジャケット・デザインのセンスがすばらしいですね。

1974年リリース

【収録曲】
1. シルバー・シューズ
2. ドント・カム・バック
3. 永遠の女神
4. ホームタウン
5. レディ・ジェイ
 6. F.U.B.B.

永遠の不安

1曲目から美しい旋律に耳を奪われます。歌メロとギターの掛け合いとが自然に展開し、LP当時のA面の流れは完璧。B面にあたる後半も曲が良く現在でも楽しめます。アンディ色が濃厚な曲作りとギターのサウンドで、アルバム自体の印象は一見渋いですが、名盤扱いしてもいい作品だと思います。録音も音作りも4thの感じの延長なんだけど、フロントの交替で演奏がいい意味で緻密な構成になり、そのせいか以前の大らかさが後退した気がします。しかしまだまだ初期の感じは残ってますね。このバンドというかアンディ主体だと思われるミドルテンポにおける叙情性、ノスタルジックなフィーリングは健在です。マイケル・シェンカーもこのバンドをよく聴いたんじゃないかと思います。この後、初期のファンには不評だった北米市場をターゲットとしたカラッとしたサウンドへと舵をとる訳ですが、あれは当時の世代交代の現実からは仕方なかった事なので、今は一枚一枚のサウンドと内容に耳を傾けて彼らの軌跡を辿るほうが随分と健全だと思います。さて内容ですが、この辺りからマーチンのベースは歪系になってます。逆にギターは以前からのストラト+フライングVのコンビネーションではあるがナチュラルな系統に変化。ヘビーな初期のブリテイッシュ・サウンドから脱皮を試みてるようです。両者いい音してますね。個人的には更に後のニューイングランドが好きなんですが、双方の作品にあるのは今日的な英国サウンドの追求というよりは、生き残りを掛けて競い合った結果、偶然生まれ出たという趣ではないでしょうか。そこには彼ら自身のサウンドとトレンドの絶妙なバランスの美があります。レイドバックしてるけど緩くはない。叙情的かつ切れ味鋭いアルバムです。

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1976年発売の「限りなき束縛(Locked In)」は前作同様プロデューサーにトム・ダウドを迎え、キーボードを入れるなどアメリカ市場を意識した音作りを行ったものの決して評判の良いものではありませんでした。

1976年の「ニュー・イングランド(New England)」はタイトルからもわかるように、本来のスタイルに立ち返った充実作となっています。
これまたアルバム・デザインが素晴らしいですね。

1976年リリース

【収録曲】
1. マザー・オブ・パール
2. ユー・レスキュー・ミー
3. ランナウェイ
4. ローレライ
5. アウトワード・バウンド
6. プレリュード
7. ホエン・ユー・ノウ・ラヴ
8. ロンリー・アイランド
9. キャンドルライト

ニュー・イングランド

前作と比べるとなんとも泥臭いアルバム・ジャケットですが、音の方はまったく逆になっていて、今作「フロント・ページ・ニュース」は何ともしっとりと落ち着いたメローな作りとなっています。

1977年リリース

【収録曲】
1 Front Page News 
2 Midnight Dancer 
3Goodbye Baby Hello Friend 
4.Surface To Air
5 714 
6 Come In From The Rain 
7 Right Or Wrong 
8.Heart Beat 
9.The Day I Found Your Love 
10 Diamond Jack

フロント・ページ・ニュース

そして、70年代最後を飾るアルバム「因果律」は、前作のモヤモヤを吹き飛ばす快作となりました。これぞウィッシュボーン・アッシュ!という感じで胸のすく思いがします。

1978年リリース

【収録曲】
1. 怒りの炎
2. 天使
3. 大空の翼
4. 恐喝
5. アンガー・イン・ハーモニー
6. 子供のように
7. ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド (パート1)
8. ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド (パート2)

因果律

それにしても80年代以降も今日までコンスタントにアルバムを発表し、ライブ活動も続けるウィッシュボーン・アッシュは、本当にすごい存在ですね。

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