高級クロスオーバーSUVの先駆者『トヨタ・ハリアー』
1997年に登場し斬新なコンセプトと「WILD but FORMAL」のキャッチコピーで高級クロスオーバーSUVのジャンルを切り開いたトヨタ・ハリアー(HARRIER)。
高級サルーン(セダン)の乗り心地と快適性を兼ね備えたラグジュアリーなクロスオーバーSUVとして開発され、流れるようなフォルムの外観や質感の高い内装、ゆったりとした乗り心地などで多くのファンを魅了した。

初代ハリアーの外観
北米ではレクサス・ブランドとして『RX』のモデル名で販売。
『RX』は「Radiant Crossover」に由来しており、「R」は「Radiant= 輝く、光を放つ」、「X」は「Crossover=交差を意味するX」。
車体はカムリ(6代目カムリ・XV20系)のプラットフォームがベース。
220馬力の3L V6ユニットを搭載するモデルが『ハリアー3.0』、140馬力の2.2L直4ハイメカツインカムを搭載するモデルが『ハリアー』というグレードネーム。
基本駆動方式はFFで、フルタイム4WDモデルはグレードネームの後にFOURが追加される。
4タイプそれぞれにスポーツシートやディスチャージヘッドランプ、JBLオーディオなどスポーティ&サウンド装備を充実したSパッケージと、パワーシート、革巻きステアリングなど装備を豪華にしたGパッケージが用意された。

高級感のある内装
組み合わされるミッションはスーパーインテリジェント4ATで、全グレードにステアリングでマニュアルシフトが可能なスポーツステアシフトマチックが装備されていた。
安全装備として全車にデュアルエアバッグ、ABS、プリテンショナー&フォースリミッター付きシートベルトを標準で装着。

ゆったりとした室内空間
車名『ハリアー(HARRIER)』の由来とエンブレム
車名の「ハリアー」はタカ科の鳥「チュウヒ」の英名「HARRIER」から来ている。
大きく翼を広げ、空を優雅に飛ぶ「チュウヒ」のように、野性と風格を兼ね備えた存在でありたいという想いが込められている。

HARRIER(和名:チュウヒ)

ハリアーのエンブレム
秀逸なキャッチフレーズと、象徴的なキャラクター
クルマとしてのデザイン・性能・乗り心地などハリアーが成功した理由は多く存在しているが、当時は斬新であった『高級クロスオーバーSUV』というジャンルを魅力的に伝えたプロモーションによる貢献度も高い。
ハリアーの広告キャッチコピーは『WILD but FORMAL』。
SUVでありながら、高級ホテルに乗りつけるのも似合うラグジュアリーなクルマというコンセプトをわかりやすく伝えながら、大人のヤンチャ心を刺激する見事なキャッチコピーである。
野生を感じさせる雄ライオンの頭部を持つ男性が、ブラックスーツを上品に着こなし紳士的にハリアーを乗りこなすシーンはインパクト抜群でキャッチフレーズの『WILD but FORMAL』を忠実に表現していた。

初代ハリアーのポスター
あれ?快傑ライオン丸に似てる?
ライオンの頭を持つ風貌から、子供の頃に特撮テレビ番組『快傑ライオン丸』を見ていた世代は、「快傑ライオン丸がキャラクターなのか」と勘違いすることもあった。
【特撮時代劇】獅子面のヒーロー快傑ライオン丸とタイガージョーが懐かしい
国内外で絶大的な人気を誇り、他社が真似する存在に…
「そろそろSUVに乗る年齢ではないけど普通のセダンに乗りたくない」というヤンチャな大人に支持されたハリアー。
さらに、背伸びをしたい若者たちもハリアーに憧れ、低価格のSUVではなくお金を貯めてでもハリアーに乗りたいという人も続出した。
このような要因によって、ハリアーの国内人気はもちろん、レクサス「RX」もアメリカで熱狂的に受け入れられた。

初代レクサス・RX300
高級セダンとSUVの『いいとこ取り』を実現したハリアー&RXによってトヨタは、『高級クロスオーバーSUV』というジャンルの開拓に成功。
SUV市場の成り行きを見守っていたVWやBMW、メルセデス・ベンツなど欧州高級車メーカー勢までも刺激することになり、国内外の自動車メーカーがこぞって『高級クロスオーバーSUV』を開発するようになった。
レクサス『RX』に統合予定だったが、奇跡の復活!
海外では初代と2代目モデルがトヨタの「レクサス」ブランドの「RX」として販売されていた。
国内においては、2009年に発売された3代目RXでレクサス店での取扱いに移行し、3代目登場でハリアーは自然消滅する予定だった。
だが、ユーザーや販売店の強い要望でその後も2代目モデルの2.4L車及びハイブリッド車が「ハリアー」ならびに「ハリアーハイブリッド」として継続して販売されていた。
その後、約一年の休売期間を経て、3代目ハリアーにフルモデルチェンジされ、レクサスRXから分離・独立して日本国内専売車種となった。
「ハリアー」ブランド消滅危機はこうして日本人ユーザーの熱い想いによって乗り越えた。
ハリアー復活に沸くユーザーの人気は凄まじく、月販目標2500台のところ、先行予約2ヶ月で3万2000台の受注が入ったという。
3代目ハリアーの開発に関して、有元真人チーフエンジニアは、「開発時に社内でも、色の呼称について、ピアノブラックではなく、漆黒と呼ぶよう統一するなど国内専用車ということ念頭にこだわって作った。日本人が、日本人のために、作ると意気込んだからこそだ」と語っている。
トヨタ ハリアー | トヨタ自動車WEBサイト
初代~3代目、どのハリアーが一番か?
日本市場専用として奇跡の復活を遂げた3代目。
いまだ中古車として高い人気を誇る2代目。
そして、『高級クロスオーバーSUV』市場を切り開いた伝説の初代。
あなたはどのハリアーがお好きですか?
私はどのハリアーも好きなのですが、「一番はどれ?」と聞かれれば、やっぱり初代ハリアー。
ライオン頭のCMが大好きでしたし、社会人になりたての頃、上司の所有していた初代ハリアーに乗せて頂き、その快適性と内装の高級感に驚いて「いずれは自分も…」と憧れたほど強烈な印象でした。
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