『魔法使いサリー』(1966年)日本初の少女向けテレビアニメ・元祖魔法少女漫画

『魔法使いサリー』(1966年)日本初の少女向けテレビアニメ・元祖魔法少女漫画

魔法使いサリーは、少女漫画雑誌『りぼん』の連載5回目までは、魔法使いサニーでした。元祖魔法少女漫画、日本初の少女向けテレビアニメの魔法使いサリーをおさらいしていきましょう。初代『魔法使いサリー』の17話まではモノクロ、18話(1967年4月3日初放送)からはカラー。そのため、1970年代後期からの再放送は18話から行うようになっています。再放送で見た方は17話までは見たことがないということになります(モノクロのパートは、DVDなどのソフトで見ることができます)。


横山光輝の原作漫画版『魔法使いサリー』(1966年7月号から1967年10月号まで集英社の少女漫画雑誌『りぼん』に連載)

原作である漫画は1966年(昭和41年)7月号から1967年(昭和42年)10月号まで、集英社の少女漫画雑誌『りぼん』に連載された。連載当初は『魔法使いサニー』の題名であったが5回連載した後に『魔法使いサリー』と名前を変えた。

1966年7月号『りぼん』から『魔法使いサリー(連載当初は魔法使いサニー)』は連載開始

『魔法使いサリー』(まほうつかいサリー)は、横山光輝の漫画及びそれを原作としたアニメ作品である。日本で最初の少女向けアニメであり、のちの魔法少女(魔女っ子)と呼ばれる分野の先駆けとなった。東映魔女っ子シリーズ第1作。

1966年7月号『りぼん』から初連載の『魔法使いサニー』 連載当初は、「魔法使いサリー」でなく「魔法使いサニー」になっています。

連載5回目までは「サリー」ではなく「サニー」でした。

サニーちゃん(当時はサリーちゃんでなく、サニーちゃん)の初登場シーン

サニー(サリー)ちゃんの日本初登場シーン。とても貴重な画像です。

これは、アニメ化の話題になり「サニー」の商標権を持っている家電メーカーのソニー(登録商標日本第494012号)から「サニー」の使用許可が下りなかったための変更である(自動車の「サニー」を販売していた日産自動車はソニーから使用許可を得ている)。以後、漫画・アニメ共に「魔法使いサリー」の名前で統一し作品を展開している。

画像は、りぼん連載時の『魔法使いサニー』から『魔法使いサリー』へと名称変更することのお断りカット

連載当初は『魔法使いサニー』の題名であったが5回連載した後に『魔法使いサリー』と名前を変えた。

魔法の国から人間界へやってきた小学5年生の少女・サリーと、サリーが魔法使いであることを知らない同級生たちが繰り広げる愛や友情の物語。

夢野 サリー
人間界では小学5年生の少女。実は魔法の国の王女で魔法使い。カブとポロンと同居している。

『魔法使いサリー』の主人公「夢野 サリー」

夢野 サリーは指先から魔法を出す。

漫画単行本版『魔法使いサリー』(1970年・虫コミックス)

単行本
『原作完全版 魔法使いサリー』講談社、2004年、全1巻
『原作完全版 魔法使いサリー』講談社〈講談社漫画文庫〉、2006年、全1巻
『テレビ復刻版 魔法使いサリー』講談社、2007年、全1巻
『カラー版 魔法使いサリー』小学館クリエイティブ、2014年、全1巻

漫画単行本版『魔法使いサリー』(1970年・虫コミックス)

テレビアニメ版『魔法使いサリー』(1966年12月5日・NETテレビ系列月曜19時 - 19時30分) 日本初の少女向けアニメ

アメリカの人気ドラマ『奥さまは魔女』のヒットがきっかけとなった、日本初の少女向けアニメである。敏腕製作者・渡邊亮徳(東映本社元副社長、当時のテレビ事業部長)が原作者・横山光輝を説得し、東映動画として製作した記念すべき魔法少女シリーズ第1作である。東映魔女っ子シリーズ第1作。

テレビアニメ版『魔法使いサリー』のストーリー

人間界へとお忍びでやってきた魔法の国の王女サリーは、ひょんなことから人間の女の子、よし子とすみれと出会い仲良くなる。それをきっかけに、魔法で家を立てて人間界へ定住し、笑いあり、涙ありの様々な人間模様を繰り広げていく。

放送期間:1966年(昭和41年)12月5日 - 1968年(昭和43年)12月30日
放送時間:NETテレビ系列月曜19時 - 19時30分
放送回数:全109話

テレビアニメ版『魔法使いサリー』(1966年12月5日・NETテレビ系列月曜19時 - 19時30分) 17話まではモノクロ、18話(1967年4月3日初放送)からはカラー。

そのため、1970年代後期からの再放送は18話から行うようになる。

初代『魔法使いサリー』の17話まではモノクロ、18話(1967年4月3日初放送)からはカラー。

初代「サリーちゃん」は、魔法を使うときに、魔法アイテムは使わない。オープニング映像では魔法の杖のようなアイテムを使用しているが、本編では使わない。

オープニングの映像では、指揮棒くらいの大きさの魔法の杖のようなアイテムを使用して魔法を使っている

このオープニング映像のタクトで魔法を使うイメージが一人歩きしてしまった。

オープニング映像では、魔法アイテムを使っている。記憶においては、このオープニング映像の印象・イメージはかなり大きい。

実際の「魔法使いサリー」の作中では、初代サリーちゃんは、魔法アイテムを一切使用していない。

サリーちゃんは、実際の作中では魔法アイテムを使用していない。ウィンクで魔法をかける。

オープニング映像の作画ミスなのでしょう。

もしくはサリーちゃんは指先から直接、魔法を出しているので、魔法アイテムを一切使っていない。

“凹凸のない足”のことを「サリーちゃん足」と呼んだ

初代『魔法使いサリー』(1966年版アニメ)ではサリーたちの足が円柱に近く、足首が細くないなど、凹凸のほとんど見られないデザインとなっている。

“凹凸のない足”のことを「サリーちゃん足」と呼ばれるようになった。

2代目『魔法使いサリー』(1989年版アニメ)では「サリーちゃん足」ではなくなった。

夢野 サリーの同級生の友達「花村 よし子」と「春日野 すみれ」の作画

原作漫画とテレビアニメ版の「花村 よし子」と「春日野 すみれ」とはイメージがかなり違います。

すみれちゃんは、おとなしくて勉強ができる。よし子ちゃんは男勝りで姐御肌な性格という設定は近いです。

「花村 よし子」と「春日野 すみれ」の原作漫画(1966年)の第一話の最初の登場シーン。

一晩で、突然、今までなかった豪華な家が建ち、近所の人たちが驚いている話です。この豪華な家はサリーちゃんの家で、魔法で建てたもの。

「花村 よし子」と「春日野 すみれ」の原作漫画(1966年)の第一話の最初の登場シーン。

1963年版の映画「青い山脈」に出演している封建制度がキツかった頃の清純女子高生のようなイメージ。

「花村 よし子」(右)と「春日野 すみれ」(左)の原作漫画の作画

よし子ちゃんが原作と比べて、よりコミカルなキャラクターらしく作画されていますね。またすみれちゃんは、原作漫画はサリーちゃんに印象が似ている感じなので、より可憐な優等生美少女的に作画されていますね。ヘアバンドもすみれちゃんのアイコンとして追加されました。

黒髪ロングヘアーにヘアバンドというのは当時の清純派イメージのステレオタイプだったのでしょう。1966年頃なので、おそらく吉永小百合さんあたりのイメージでしょう。

テレビアニメ版(17話までのモノクロ版)の「花村 よし子」(左)と「春日野 すみれ」(右)

テレビアニメ版(18話以降のカラー版)の花村 よし子ちゃん

テレビアニメ版(18話以降のカラー版)の春日野 すみれちゃん

現代の日本と比べれば、まだ貧しかった日本ですから、それほど多くの私服を持っている時代ではありませんが、服が変わらないのは変ですね。ワンパタンの服は作画のコスト削減要素ではあったのでしょう。

初代「魔法使いサリー」と現代の少女向けアニメが決定的に違うのは、サリーちゃんたちが着ている服がいつも同じことです。私服でなくまるで学生服です。

初代「魔法使いサリー」ではポロンは人間の子であり、人間界に戻ります。原作漫画にはポロンはいない。

ポロンは数字が取れるキャラと考えていたのでしょう。最初から出したい戦力ですね。

もともと前作もポロンを人間に戻して退場させたのは、製作側の都合と考えられます。

魔法使いサリーは当初、半年の放送予定であり、最終回が先に作られていました。その最終回には途中出演の人気キャラであるポロンはいない。

そのため最終回の内容と無理やりつじつまを合わせるために、終盤で強引にポロンを退場させたのが、ポロン退場の真相なんじゃないでしょうか?

初代「魔法使いサリー」ではポロンは人間の子であり、人間界に戻ります。1989年版アニメ「魔法使いサリー」では、この前作の設定は完全に無視されます。

1989年版アニメ版『魔法使いサリー』(1989年10月9日 - 1991年9月23日・テレビ朝日系列)

前作の放映から20年以上経っていたが、前作の最終回を踏襲し続編として制作された。

ただし、前作終盤でのポロンの描写を完全に無視した形で始まったり、1980年代後期からの時代背景が反映されるなどの相違点があり、正確には続編的内容のパラレル作品となっている。

1980年代中頃から起きたレトロブーム末期だったことや1966年版を見ていた視聴者にも人気があり、前作同様2年間のロングラン放送となった。

1989年版アニメ版『魔法使いサリー』(1989年10月9日 - 1991年9月23日・テレビ朝日系列)(第2期)

東映が、ここまで培ってきた魔法少女作品の経験と知恵、ノウハウが、すべて導入された旧「魔法使いサリー」のリブート作品と言ってよいでしょう。

葦プロダクション制作の『魔法のプリンセスミンキーモモ』(1982年)と、スタジオぴえろ制作の『魔法の天使クリィミーマミ』(1983年)から始まるぴえろ魔法少女シリーズが、第二期魔法少女ブームを引き起こしており、その影響を受けた作風になっていると思います。

続編という扱いですがパラレル世界的な要素が多く、リメイクというより、リブート作品ですね。

1989年版「魔法使いサリー」では、サリーちゃんの魔法は、「アストレアタクト」(後に「スピカタクト」に代わる)によって発動される。簡単な魔法はウィンクでも可能。

「アストレアタクト」がなくても簡単な魔法はウィンクなどで発動できます。

(第2期)「魔法使いサリー」(1989年)では、サリーちゃんの魔法は、魔法アイテム「アストレアタクト」によって発動されます。

こちらのサリーちゃんの持っている魔法アイテムは「スピカタクト」。

バンダイによる女児玩具の強化が行われ『魔法使いサリー』(第2作、1989年)が製作される

これで、あなたも、サリーちゃんのように、アストレア王家のお姫様気分を味わえます。

魔法使いサリー「アストレアタクト」(バンダイ)

魔法使いサリー「アストレアタクト」(バンダイ)

サリーが人間界に行くとき、ママが心配して渡してくれたもの。

「アストレアタクト」はアストレアの王家に伝わる不思議なタクト。

サリーちゃんが魔法を使いすぎて、スピカにアストレアタクトを取り上げられてしまいました。
その後に新しく与えられたのが「スピカタクト」です。

魔法使いサリー「スピカタクト」(バンダイ)

魔法使いサリー「スピカタクト」(バンダイ)

2009年(平成21年)11月20日より放映されたOCNのCM「魔法使いサキー」編で、相武紗季がサリー(サキー)に扮して登場している。

2009年(平成21年)11月20日より放映されたOCNのCM「魔法使いサキー」編で、相武紗季がサリー(サキー)に扮して登場している。

OCNのCM「魔法使いサキー」編:相武紗季

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