「ご近所物語」とは?

「ご近所物語」は少女まんが雑誌「りぼん」で1995年2月から1997年10月まで掲載されていました。単行本は全7巻あります。またアニメ化もされていて、1995年9月から1996年9月まで全50話で放送されました。
矢沢あい先生の略歴
矢沢あい先生は1967年3月生まれで兵庫県出身です。1985年に「あの夏」で漫画家としての活動を開始、りぼんマスコットコミックスから「15年目」や「ラブレター」「マリンブルーの風に吹かれて」「天使なんかじゃない」など数々の作品を発表しています。2002年、漫画雑誌「Cookie」に掲載していた「NANA -ナナ-」で第48回小学館漫画賞を受賞しています。
2009年、大人気漫画「NANA -ナナ-」の連載中に病気療養のため休載を発表していて、現在も「NANA -ナナ-」は未完となっています。
ちなみに矢沢先生は大阪モード学園を中退されていて、「ご近所物語」はその当時先生が学んでいたファッション専門学校での体験を活かして書かれていたのではないでしょうか。
「ご近所物語」のあらすじ

主人公、幸田実果子は矢澤芸術学院に通う高校一年生の女の子です。将来デザイナーになって自分の作った洋服ブランドのお店を持ちたいと夢を持っています。親友のリサやぴぃちゃんなど個性的な仲間と共に、時には悩みながら夢に向かって少しずつ近づいていくというお話です。
また同じマンションの隣に住む幼馴染、山口ツトムは人気バンドボーカル「中川ケン」に似ていることから女子からモテモテに。そんなツトムのことが気になりだした実果子との恋愛も、この漫画のみどころでした。
実果子たちの通う矢澤芸術学院とは?

実果子やツトムたちが通っている矢澤芸術学院、通称ヤザガクは服飾デザイン科、インテリアデザイン科、ビジュアルデザイン科、工芸デザイン科の4つのコースに分かれています。午前中は英語や体育など一般授業が行われ、午後からはそれぞれが専攻している専門コースの授業をみっちり行います。その校風や先生たちのリアルな描写から、当時「ヤザガクは実在する学校なのでは?」と話題になりました。
主人公、幸田実果子

ぱっつん前髪と長い髪にたらこ唇がトレードマーク。洋服を作ることに掛ける情熱はハンパないが、縫製の雑さを担任の浜田先生に指摘されることもしばしば。。。幼馴染のツトムとお互いに両想いだと気付くが、中々素直に本心をさらけだすことができません。
ド派手なファッションに身を包んでいるけれど、誰よりも繊細な心の持ち主な実果子なのです。
ツトムに好意を持っていた同級生、歩をアキンドのアトリエに迎え入れようとするツトムにいら立ちをぶつけた後の実果子の心の声です。とっても切ない気持が表れています。

実果子やツトムたちで作ったサークル「AKINDO(アキンド)」。そのイメージキャラクターとして、ツトムが実果子をイメージして作ったのがこのハッピー天使のベリーちゃんです。
このベリーちゃんを初めて実果子に見せた時に、ツトムは「おまえはあのベリーちゃんにおれの愛を感じない?」と言います。それを聞いた実果子の心の声がこちらです。
実果子の派手なスタイルは心の悩みの表れ

ヤザガク2年生になった実果子たちは、ヤザガク最大のイベント「学園祭(フェスティバル)」に向けてそれぞれの専門で発表します。実果子たち服飾デザイン科はファッションショー形式でデザインを発表するのですが実果子はそこで才能を発揮!ウエディングドレスを作って見事優勝し、ロンドン留学の切符を手に入れます。
留学はデザイナーへの夢に一気に近づく最大のチャンスですが、実果子は大好きなツトムと離れ離れになるのが嫌で悩みます。悩んで悩んで。。。。。。

何と!
トレードマークだった長い髪をばっさりショートカットにしてしまいました!
しかもヘアカラーはド派手ピンクに!
ツトムにも「主人公の自覚がない!」と言われてしまいますが、ショートカットの実果子もとってもかわいくてお洒落です。
山口ツトム

実果子の幼馴染であり、恋人、そして将来では結婚相手となる山口ツトム。マンボーというバンドのボーカル、中川ケンに似ていることから周りの女の子からモテモテになります。小さい頃から実果子のことを想い、実果子が家出をした時は必ずツトムが見つけていました。
ヤザガクではビジュアルデザイン科に所属して、様々な奇妙なオブジェを制作しますが、実果子の父親である写真家、櫻田広彦の元でカメラマン助手をすることになり、やがてプロのカメラマンとなります。
中須茉莉子(なかす まりこ)

ミスヤザガクに選ばれるほどのナイスバディの持ち主で、あだ名はナイスバディ子。ミーハー気質で中川ケンに似ているというだけでツトムにちょっかいを出そうとしましたが、実は真剣な恋をしている純粋な女の子でした。バディ子にも故郷に幼馴染がいて、実はずっと片思いをしていましたが、失恋をしてしまいます。その失恋の痛手を癒してくれたツトムの親友、田代勇介と付き合いますが、ヤザガクにいる意味を見出せないバディ子は学院を退学したことをきっかけに勇介とも別れることになります。最終的には片思いしていた幼馴染の修と結婚をしてエステサロンのオーナーになりました。
主人公の実果子とは最初は揉めていましたが、何だかんだでずっと仲の良い友達です。
田代勇介

ツトムの親友でバイクとオムライスが好きなロン毛男子。最初は実果子に好意を持ちますが、思ったことを素直に表現するバディ子に次第に惹かれていき、真剣に交際を始めます。バディ子の退学がきっかけで破局しますが、その後同級生でAKINDO仲間の歩と付き合い結婚しています。ちなみに歩と勇介は夫婦でデザイン事務所を立ち上げますが、その事務所の名前も「AKINDO」です。
神埼リサ

実果子の親友で、良き理解者でもあります。子供服のデザイナーになるために北海道から上京してヤザガクに入学しました。トレードマークは赤い髪。パンクロック系のファッションは14歳の頃から付き合い、上京して一緒に暮らしている恋人の影響です。実果子同様、学園祭(フェスティバル)で受賞しロンドン留学を学長から推薦されますが、恋人と離れて暮らせない、と即決で断わっています。ヤザガク在学中に妊娠し出産しています。
太田麻衣(ピイちゃん)

実果子の親友。いつもぬいぐるみのフランソワを持ち歩いています。好みのタイプは「白タイツの似合う王子様」で、如月星次にときめきますが、最終回で大人になってみんなで集まった時にジローの年収が五千万円だと知ってジローにもモヤモヤしていました。ヤザガク卒業後にぬいぐるみ作家として成功しています。
西野ジロー

ツトムの親友で、紫の髪にリーゼントとサングラスがトレードマーク。関西弁を話します。AKINDOではコンピューターゲームなどを作っていて、ヤザガク卒業後はフリーのコンピュータープログラマーとして大成功し、最終回では年収が五千万円だと明かしています。また実果子がロンドン留学に行く前にみんなで集まったパーティーで、実果子にだけサングラスを外した目を披露しています。
及川歩

ツトムの同級生で、途中からAKINDOのメンバーになりました。彫刻家だった歩の祖父が使っていた倉庫をAKINDOのアトリエとして使わせもらうことになり、徐々に親しくなっていきます。当初、実果子はツトムは歩のことを好きなのかも…とヤキモチを焼きますが、歩の好きな相手は勇介でした。勇介とバディ子が付き合っている間も一途に思い続け、勇介の心に寄り添い続けて、最後には付き合い結婚しました。最終回で大人になった時に、実果子が妊娠した時期と歩の妊娠した時期が同じで子供が同級生になることが描かれていました。
アニメ「ご近所物語」
漫画で大人気だった「ご近所物語」は1995年にはTVアニメとして放送されていました。
実果子の声を担当したのは宍戸留美さん
主人公、幸田実果子の声を担当したのは、今では声優としてひっぱりだこの宍戸留美さん。最近では「ジュエルペット」ダイアナ・ルナ役や「はなかっぱ」のももかっぱちゃんの声などを担当しています。
当時、原作者の矢沢あい先生は宍戸留美さんのことがとっても大好きで、「ルンルン」の愛称で単行本の巻末おまけページにも度々登場していました。
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