そんな折、久木の会社に彼の行状を暴く告発文が送られてきた。久木は、それをきっかけに辞職を決意し、文枝との離婚も承諾する。凛子もまた晴彦や実母との縁を切って、久木のもとに走った。「至高の愛の瞬間のまま死ねたら」という凛子の願いに共感するようになった久木は、誰にも告げず、二人でこの世を去ろうと決意する。雪深い温泉宿へ向かった久木と凛子は、生命を絞るように激しく求め合ったまま、互いに毒の入ったワインを口にした。後日発見されたふたりの心中死体は、局所が結合したままの愛の絶頂の瞬間の姿であった。
結末とその詳細
久木は環境分析センターの研究室で働いている友達を訪ね、出版するつもりの小説の科学的な内容について相談したいと言い、友達に青酸カリという毒物を見せさせました。青酸カリは一、二分で人を殺す毒です。友達が隣の部屋に行った隙に久木は青酸カリを少し取り、毒を手に入れました。
二人を一緒に葬ってくださいという遺言を書いて青酸カリをワインに混ぜて性交しながらそのワインを飲みました。「凜子」「あなた」と呟いて死にました。
久木と凜子の恋愛の話はそれで終わりですが、終章として小説の終わりに警察医によって書かれた死体検査調書が添付されています。警察は自殺現場に着いたら二人の死体は強く抱き合って隔離することが簡単にできませんでした。久木と凜子の、一緒に死にたいという夢は叶いました。
登場人物
久木祥一郎:古谷一行
松原凛子:川島なお美
久木文枝:十朱幸代
久木知佳:菅野美穂
松原晴彦:国広富之
衣川道夫:みのもんた
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いかがでしたでしょうか?
川島なお美さんがなくなったことで、再びクローズアップされることとなった「失楽園」
渡辺淳一作品を知る上でもよい物語です。