新生なるか、タイムボカンシリーズ第6作
シリーズ第1作「タイムボカン」でお茶の間に独特のギャグを送り出し、2作目「ヤッターマン」で人気爆発のアニメ「タイムボカンシリーズ」。
シリーズお約束のマンネリギャグも、しかし作を重ねるごとにヤッターマンほどのヒットを打ち出せずにいました。そうして迎えた早6作目が、今回ご紹介するアニメ「逆転イッパツマン」です。
回生を狙うべくシリーズとしては初のいろいろな試みを取り入れたイッパツマン。さて、その挑戦は実を結んだのか?—作品を振り返りながら、しばしお付き合い下さいませm(__)m

イッパツマンの挑戦
さて、ではイッパツマンの打ち出した新機軸のいくつかを順に見ていきましょう。
その1 主人公たち登場人物を青年に引き上げ
これまでのタイムボカンシリーズの主人公たちは少年少女でした。視聴者である子どもたちと近い年齢の主人公たちというのは、親近感や思い入れを産みやすく、定番ですよね。
しかし敢えて、イッパツマンは主人公たち登場人物の年齢設定を引き上げ、青年にしました。

主人公・豪速九(ごう・そっきゅう)は20歳の設定。しかしまあ、ダジャレやモジリが多いタイムボカンシリーズですが、野球くくりで「ごうそっきゅう」とは、なんとも豪速球なネーミングです^^;
ネーミングではヒロインも負けてません。その名も、放夢ラン(ほうむらん)^^; 18歳の設定です。
声は原えりこさん。

悪者側トリオは1作目のタイムボカンから二三十代の設定なので同じですね。
今作のトリオの名は「クリーン悪トリオ」。
お色気の女リーダーがムンムン26歳、
おしゃべりな頭脳担当がコスイネン30歳、
怪力担当がキョカンチン30歳。
声をあてるのはもちろん1作目から変わらぬ黄金トリオ、小原乃梨子、八奈見乗児、たてかべ和也、の各氏。
その2 正義も悪もサラリーマン
もっとも大きな変革と筆者が考えているのが、この項目です。
シリーズ作のいままででも、主人公らは子どもの年齢であっても、科学研究所だとか探偵社だとかで働く職業人でもあったりしたのですが、今作では善玉側も悪玉側も、(会社は違うが)大企業で働くサラリーマンという設定になったのであります。
主人公らの年齢引き上げはともかく、サラリーマンって!、、当時子どもの筆者はこの作品だいじょうぶかなあ、その思いつきはおもしろいけど、、と余計なお世話で心配したものでしたf^^;
さてここで、当作品のエンディング曲「シビビーン・ラプソディ」を聴いてみましょう、、
、、哀しいですねえT^T
♪ 課長部長えらい 社長会長えらい / えらきゃクロでもシロになる
両親ともにサラリーマンではない家庭の子どもだった筆者には当時おもしろいだけの曲だったかもしれませんが、
いまとなってはこの哀しみ、ジワリときますねえT.T
もともと、シリーズ各作品で悪玉トリオは理不尽なボスの命に翻弄され不条理な目に遭うというパターンでありましたが、それが今作ではサラリーマンという境遇の不条理さとして描かれたのでした。
主人公らの会社と張り合うため、外見だけは立派に見えるが中はボロボロの社屋、成績万年最下位支社で立つ瀬も浮かぶ瀬もない三幹部、毎回善玉に負けては馴染みの店で安酒を呷り管を巻く、、こんなもん子どもに見せていいのでしょうか?>_< サラリーマンの親の苦労も分かって、という製作側からの子どもらへのメッセージだったのでしょうか、、?
それが理解されたかどうかはともかく、今作の運命がどうなったかは、もうしばらくお付き合い下さいませm(_ _)m
その3 ヒーローの正体は? シリーズに謎解き要素導入
さて、ここらでストーリーというか物語の設定を紹介いたします。
タイムリース社というのが主人公豪やヒロインランの勤める会社ですね。
メカニック整備が豪の仕事。タイム運搬の運搬機トッキュウザウルス(後半トッキュウマンモスに交替)の操縦士がラン。副操縦士にロボットの2-3(ツー・スリー)、ほか、ランのいとこの少年ハル坊が同行します。
で、そこを前述のクリーン悪トリオが襲い、イッパツマンがどこからともなく助けに来るのですから、そこはやっぱりイッパツマン=豪と視聴者の誰もが思うのですが、
これがいままでのシリーズ作と異なり、イッパツマン=豪であるのかないのか、視聴者にも知らされないかたちで物語は進みます。
ヒーローイッパツマンが搭乗するロボット逆転王(後半は三冠王に交替)は、トッキュウザウルスが変形して成るので(後半登場の三冠王にはトッキュウマンモスが変形)、とうぜんタイムリース社の上層部、たとえば豪の上司であるヒゲノ濃造は実は真相を知っているのですが、社の人間にも、また視聴者にもそれを明かしません。
こういったいくつかの謎を抱えたまま、イッパツマンの物語は進んでいきます。
その4 恋のライバル 第二のヒロイン登場

おハナシも佳境の第31話から、もう一人のヒロイン、星ハルカが赴任してきます。24歳。ランと対照的な大人の女性として、ランをやきもきさせる恋のライバル、そして謎の多い女性として描かれます。
謎、解けてみれば、、
イッパツマンの正体
さて、イッパツマンの正体をはじめ、幾つかの謎を孕んで進んだ物語ですが、話が進むにつれ、その謎が少しづつ解明されていきます。
まずイッパツマンは誰なのか?—これはおハナシが半ばを過ぎた31話ですでに明かされます。意外に早い気もしますが、まあそんなに驚愕の事実でもないから、次の謎へバトンを渡すというところでしょうか、、
イッパツマン=豪ではなかったけれど、豪が超能力で操っていたロボットだった!、、なんか中途半端な謎と真相に思えたのは、子どもといってももう筆者も少し大きかったせいでしょうか、、
操っていたロボットが壊され、真相も明かしてしまったためということで、ここからは豪自身がイッパツマンとして活躍します。う〜ん、なんか中途半端。
ハルカの正体
イッパツマンの正体が明かされるのと同時に登場する星ハルカ。明かしてしまった謎を補充するように、謎めいた星ハルカですが、彼女に隠されていた謎も最終回に向け明かされていきます。
以下の引用で、彼女の正体と、それから最終話のあらすじのご案内になるかと思います。
、、う〜ん^^; なんかあまり謎解きにはなってないミステリー風味や、タイムボカンシリーズでやる必要あったのかなあという哀しい結末。
シリーズの回生を狙い、従来の視聴者の子どもより少し上の年齢層も取り込もうとしたのでしょうか。
最後のイッパツ!?
さて、筆者はやや否定的な感想もあるイッパツマンですが、その挑戦はいかに—
残念ながら平均視聴率や最高最低視聴率のデータは必ずしもいいものばかりを見つけることはできませんでしたが、
とのことですので—
「逆転」を成し得たかどうかはわかりませんが、少なくとも「一発」を叩き出した作品であることは間違いないようです。
視聴率でも放送回数でも一矢は報い、とにかく次につなげたのですから。
そして、その「次」で、長年続いたタイムボカンシリーズはその最後を迎えることになるのでした、、T_T
