『セクシー・ユー』と『モンロー・ウォーク』
郷ひろみの『セクシー・ユー(モンロー・ウォーク)』は、南佳孝の『モンロー・ウォーク』のカバーで、リリースは南が1979年、郷ひろみが1980年です。『セクシー・ユー』の歌詞は、1番は原曲とほぼ同じで一部だけ変更、2番は全く新しいものに置き換わっています。郷ひろみのヒット曲として知られていますが、南佳孝の代表作としても知られており、両者ともに有名です。曲名は、郷ひろみのリリースの際、レコード会社が若者受けを狙って、曲の最後に登場する "セクシー・ユー" に変えたと言われています。
郷ひろみ『セクシー・ユー(モンロー・ウォーク)』
リリース:1980年1月21日
作詞:来生えつこ
作曲:南佳孝
編曲:萩田光雄
『セクシー・ユー(モンロー・ウォーク)』は、郷ひろみの33枚目のシングルで、オリコンシングルチャートで最高位11位を記録しています。歌番組では、アフロヘアー(に口髭)のファッションで歌っていました。1994年にも、GO-GO'S名義でリミックス盤を再リリースしています。
変わったエピソードとしては、郷がインフルエンザで歌番組を欠席した際、郷の母親からの依頼で若人あきらが代理出演し、本曲をモノマネで披露したことがあります。
南佳孝『モンロー・ウォーク』
リリース:1979年4月21日
作詞:来生えつこ
作曲:南佳孝
編曲:坂本龍一
『モンロー・ウォーク』は、南佳孝の6枚目のシングルで、編曲を手がけたのは坂本龍一です。オリコンシングルチャートで、最高位38位を記録しています。郷ひろみだけでなく、これまで多くの歌手・タレントがカバーしている人気曲です。
この2年後には、9枚目のシングル『スローなブギにしてくれ (I want you)』が、映画の主題歌として大ヒット。自身初のオリコントップ10入りを果たし、最高位6位を記録しました。
『彼が初恋』と『ふるさとの雨』
石野真子のヒット曲『彼が初恋』は、元々は南沙織のデビューアルバム『17才』の収録曲で、曲名も『ふるさとの雨』でした。石野真子のカバーでは、曲名だけでなく歌詞の一部も変更され、間奏に「あなたと別れて のばし始めた髪も もう背中まで届きました」というセリフが加わっています。
石野真子『彼が初恋』
リリース:1980年9月21日
作詞:有馬三恵子
作曲:筒美京平
編曲:矢野立美
『彼が初恋』は、石野真子の11枚目のシングルで、オリコンシングルチャートで最高位22位を記録しました。実は、小泉今日子が彼女の大ファンで、「スター誕生!」の決戦大会で歌ったのが本曲です。
南沙織『ふるさとの雨』
リリース:1971年10月1日
作詞:有馬三恵子
作曲:筒美京平
編曲:筒美京平
南沙織のデビューアルバム『17才』には、デビュー曲『17才』、2枚目のシングル『潮風のメロディ』、そして、アルバムの5曲目に本曲『ふるさとの雨』が収録されています。アルバムは、オリコンアルバムチャートで最高位8位と大ヒット。その後、彼女はアイドルとしての絶頂期を迎えます。
『セーラー服と機関銃』と『夢の途中』
薬師丸ひろ子の主演映画『セーラー服と機関銃』の主題歌は、当初、来生たかおの『夢の途中』で決まっていました。しかしその後、映画サイドの意向で、主演の薬師丸ひろ子が同曲を『セーラー服と機関銃』という曲名で歌うことになります。これに憤慨したのが、来生たかおの姉の来生えつこ。最終的には、来生たかおの『夢の途中』もリリースすることで決着がつきました。その結果、両曲とも大ヒットした珍しい例と言えるでしょう。
1番の歌詞の違いがよく話題になりますが、意図的なものではなく、現場の混乱から生じたハプニングだったと言われています。違いは次の通りです。
『セーラー服と機関銃』
夢のいた場所に 未練残しても 心寒いだけさ
『夢の途中』
現在(いま)を嘆いても 胸を痛めても ほんの夢の途中
薬師丸ひろ子『セーラー服と機関銃』
リリース:1981年11月21日
作詞:来生えつこ
作曲:来生たかお
編曲:星勝
『セーラー服と機関銃』は薬師丸ひろ子のデビュー曲で、本人主演の映画『セーラー服と機関銃』の主題歌です。映画も主題歌も大ヒットし、主題歌はオリコンシングルチャートで5週連続ナンバーワン、1982年度の年間2位に輝きました。人気歌番組『ザ・ベストテン』には、一度だけ出演しています。
本曲は彼女のために作られた曲ではなく、アイドルがデビューで歌うには難曲でしたが、それを歌いこなす彼女の歌唱力に、来生たかおは舌を巻いたと言われています。
来生たかお『夢の途中』
リリース日:1981年11月10日
作詞:来生えつこ
作曲:来生たかお
編曲:星勝
『夢の途中』は、来生たかおの11枚目のシングルで、薬師丸ひろ子の『セーラー服と機関銃』に先行して、少し早くリリースされました。当初ヒットチャートでは伸び悩んでいましたが、『セーラー服と機関銃』のヒットとともにランクアップ。翌1982年3月にはオリコンシングルチャートで最高位4位、年間チャートでも1982年度の年間24位を記録しました。
来生は、本曲で作曲家としてだけでなく、歌い手としての知名度も確立したと言えるでしょう。
『私の16才』と『ねえ・ねえ・ねえ』
小泉今日子のデビューシングルとして有名な『私の16才』ですが、彼女のオリジナル曲ではなく、元々は1979年に森まどかが歌っていた『ねえ・ねえ・ねえ』という曲が原曲です。曲名こそ異なりますが、歌詞は全く同一で、編曲もよく似ており、バックコーラスの「ハッハッハッハー」もそのまま使用されています。歌は、森まどかの方が大人っぽい雰囲気を醸し出しています。
原題の通り、歌詞には「ねえ」が3回続く歌詞があります。たとえば、1番は「ねえ 髪をかきあげるクセが好き」「ねえ 優しい声が好きよ 好き」「ねえ 大人ぶっているのね あなた」と続きます。
小泉今日子『私の16才』
リリース:1982年3月21日
作詞:真樹のり子
作曲:たきのえいじ
編曲:神保正明
小泉今日子のデビューシングル『私の16才』は、「花の82年組」のデビュー曲ではまずまずのヒットで、オリコンシングルチャートでは最高位22位を記録しました。2枚目のシングルも、林寛子のカバー『素敵なラブリーボーイ』でオリコン19位、3枚目『ひとり街角』がオリコン13位、4枚目『春風の誘惑』がオリコン10位で初のトップ10入りを果たしました。「花の82年組」の中では着実にランクを上げていったアイドルで、その後の活躍は周知の通りです。
森まどか『ねえ・ねえ・ねえ』
リリース:1979年4月25日
作詞:真樹のり子
作曲:たきのえいじ
編曲:神保正明
森まどかは、幼い頃から歌のコンテストやのど自慢などに出演していた実力派で、13歳の時『ひまわりの夏』でデビュー。『ねえ・ねえ・ねえ』は、2枚目のシングルです。曲作りは、日本でも大ヒットしたボニーMの楽曲『怪僧ラスプーチン』を参考にしたと言われています。
その後、森まどかは、CMソングやライブなどで音楽活動を継続しており、近年では堀江淳らとライブを行っています。
『メイン・テーマ』と『スタンダード・ナンバー』
薬師丸ひろ子の『メイン・テーマ』は、本人が主演した同名の映画の主題歌です。作曲者の南佳孝もまた、同曲を『スタンダード・ナンバー』という曲名でリリースしました。作詞は松本隆で、両曲は女性目線、男性目線で歌詞の一部が異なっています。映画の挿入歌となった、薬師丸ひろ子の歌う『スロー・バラード』も、松本隆&南佳孝のコンビによるものです。
薬師丸ひろ子『メイン・テーマ』
リリース:1984年5月16日
作詞:松本隆
作曲:南佳孝
編曲:大村雅朗
『メイン・テーマ』は、薬師丸ひろ子の3枚目のシングルで、オリコンシングルチャートで最高位2位、1984年の年間チャートで13位を記録しました。映画のサウンドトラックでは、『こぶたぬきつねこ』という収録曲も彼女が歌っています。
南佳孝『スタンダード・ナンバー』
リリース:1984年4月21日
作詞:松本隆
作曲:南佳孝
編曲:大村雅朗
『スタンダード・ナンバー』は、南佳孝の16枚目のシングルで、『メイン・テーマ』に先行してリリースされました。オリコンシングルチャートで、最高位32位を記録しています。全日空のCM「'84 青春ブランド沖縄」のイメージソングに起用され、お茶の間でもおなじみの曲となりました。