【ドカベンルール】えっ!4アウトがあるの!? 水島新司が描いた「ルールブックの盲点の1点」

【ドカベンルール】えっ!4アウトがあるの!? 水島新司が描いた「ルールブックの盲点の1点」

『ドカベン』の作者・水島新司は、実の選手以上に野球のルールを熟知していたことで有名です。それを象徴するのが「ルールブックの盲点の1点」、通称 "ドカベンルール" のエピソード。その複雑すぎるルールは、プロ・高校野球の世界でも、知らない選手がいたほどです。今回は、ドカベンで描かれた試合内容と、その解決策となる「4つ目のアウト」についてご紹介します。


ドカベンルールって何?

今回ご紹介するのは、ドカベン第147話『不知火散る! 痛恨のルールブック』(1979年8月29日放送)のエピソード。



「ルールブックの盲点の1点」、通称 "ドカベンルール" が描かれていた放送回です。



まず、そもそも "ドカベンルール" とは何でしょうか?



簡単に言うと、



「タッチアップを怠ってホームインした三塁走者をアウトにしないと、得点が認められてしまうことがある」



という、かなり特殊なルールのことです。



主人公の山田太郎はそのルールを知っており、意図的にその状況を作り出しました。



第147話で描かれた内容を、具体的に見ていきましょう。

ルールブックの盲点の1点

試合の流れ

明訓高校 vs. 白新高校の一戦。



10回表、明訓高校の攻撃。1アウト満塁。



一塁走者:山田

二塁走者:殿馬

三塁走者:岩鬼



打者:微笑

投手:白新・不知火



試合の動きを時系列で見てみましょう。



1. 明訓ベンチから「スクイズ」のサイン

2. 白新・不知火が投球動作に入ると、三塁走者・岩鬼がスタート

3. 打者・微笑はバットに当てるが、不知火への小フライに → 2アウト

4. 岩鬼は、三塁に戻らず、そのままホームイン

5. 山田が一塁から離れていたので、不知火は一塁へ送球 → 3アウト

6. 白新ナインは全員ベンチへ → 明訓1点得点!




白新はダブルプレイで3アウトにしたはずなのに、なぜか明訓に1点が与えられています。



いったい何が起こったのでしょうか?

岩鬼はアウトになっていない!

今回のように、フライが捕球された場合、走者は元いた塁に戻り、塁に触れてから、進塁する必要があります。(タッグアップ または タッチアップ)



それを怠ると、守備側はその塁に送球して触れ、審判にアピールすることで、走者をアウトにすることができます。(アピールプレイ)



しかし、逆に言うと、上記のアピールプレイを行わなければ、たとえタッチアップを怠った走者でもアウトにはなりません。今回の場合、一塁走者・山田はアピールプレイでアウトになりましたが、三塁走者・岩鬼はアウトになっていない。。。これが第一のポイントです。

岩鬼のホームインが得点に・・・

原則(例外はフォースプレイなど)として、3アウトが成立する前に、走者がホームインすれば、得点が認められます。(タイムプレイ)



つまり、得点の判定の際には、「3アウトの成立」「走者のホームイン」のどちらが早かったかを見極める必要があります。今回の場合、3アウト成立の前、すなわち、一塁走者・山田がアウトになる前に、三塁走者・岩鬼はホームインしていました。これが第二のポイントです。



そして、岩鬼は三塁への帰塁は怠ったものの、アウトにはなっていない。その結果、タイムプレイによって、岩鬼のホームインは得点として認められたわけです。



以上が、明訓が1点を得点した理由です。



では、守備の白新はどうすればよかったのでしょうか?

ドカベン ルールブックの盲点の1点 - ニコニコ動画

白新はどうすればよかった?

一塁ではなく三塁に送球

結論から言うと、不知火が一塁ではなく三塁に送球していればよかったのです。



不知火が三塁に送球し、三塁手が塁に触れ、審判にアピールしていれば、三塁走者・岩鬼がアウトになり、明訓の得点にはなりませんでした。本来、岩鬼は、三塁に戻る必要があるので、三塁に送球してアウトになるのは当然の帰結です。



しかし、今回は、とっさの判断で、一塁に送球して3アウトにしてしまいました。



岩鬼の得点は覆らないのでしょうか?



そこで登場するのが、4つ目のアウトです。

4つ目のアウト→第3アウトの置き換え

実は、3アウトを取った後でも、アピールプレイで、4つ目のアウトを取りに行くことができます。4つ目のアウトを取ると、3つ目のアウト(を成立させたプレイ)は取り消され、4つ目のアウトの方が有効になります。このルールはしばしば「第3アウトの置き換え」と呼ばれています。



今回の場合、一塁で3つ目のアウトを取った後、一塁手が三塁に送球し、三塁手が塁に触れ、審判にアピールすれば、4つ目のアウトが成立します。すると、一塁走者・山田のアウトは取り消され、三塁走者・岩鬼のアウトの方が有効になる。つまり、岩鬼のホームインは無効、明訓は無得点となるわけです。



ただし、4つ目のアウトを取る前に、投手および内野手がチェンジだと思ってファウルラインを越えてしまうと、アピールプレイの権利が消滅し、4つ目のアウトは取れなくなります。今回の場合、白新ナインがベンチに戻って気づいた時には、時すでに遅しだったわけです。

明訓を無得点にするストーリー

以上のことを踏まえて、勝手ながら、明訓を無得点にするストーリーに作り変えてみます。



1. 明訓ベンチから「スクイズ」のサイン

2. 白新・不知火が投球動作に入ると、三塁走者・岩鬼がスタート

3. 打者・微笑はバットに当てるが、不知火への小フライに → 2アウト

4. 岩鬼は、三塁に戻らず、そのままホームイン

5. 山田が一塁から離れていたので、不知火は一塁へ送球 → 3アウト

6. 一塁手は三塁へ送球 → 4アウト第3アウトの置き換え明訓無得点

7. 白新ナインは全員ベンチへ




白新は、明訓を無得点に抑えました。



この試合では、不知火の前に沈黙していた明訓打線。

このストーリーなら、先の長い延長戦になっていたかもしれません。

実際にあったドカベンルール

さて、現実のプロ野球・高校野球の試合でも、「ドカベンルール」が生じたケースがあります。それも、得点になったケースと、「第3アウトの置き換え」で無得点になったケースの両方です。



最も有名な事例の一つが、第94回全国高等学校野球選手権大会済々黌高校(熊本) vs. 鳴門高校(徳島)。7回裏、済々黌高校の攻撃で、1アウト一・三塁の場面で起きました。この時は、済々黌高校の得点が成立しています。



以下は、実際の試合の動画です。

関連する投稿


赤ヘル黄金期の伝説が神保町に!髙橋慶彦氏のトーク&サイン会開催、昭和カープの“ヤバい”秘話も解禁

赤ヘル黄金期の伝説が神保町に!髙橋慶彦氏のトーク&サイン会開催、昭和カープの“ヤバい”秘話も解禁

広島東洋カープの黄金期を支えたレジェンド、髙橋慶彦氏の自伝『赤き球団の魂 髙橋慶彦』の発売を記念し、1月29日に神保町・書泉グランデでイベント開催が決定!昭和プロ野球の衝撃的な裏話や、スパルタ指導の真相などが語られる本書。当日はトークショーやサイン会も行われ、ファン必見の一夜となりそうです。


【野球選手から俳優!?】板東、長嶋、イチロー・・・人気ドラマに出演した元プロ野球選手!

【野球選手から俳優!?】板東、長嶋、イチロー・・・人気ドラマに出演した元プロ野球選手!

プロ野球選手が引退後、タレントとして新たな道を歩むケースは数多く見られます。その中には、俳優業にまで進出し、映画やドラマで活躍する人も少なくありません。今回は筆者の独断と偏見に基づき、人気ドラマに出演した元プロ野球選手の中から、特に印象に残っている面々をご紹介します。


完璧・無量大数軍の一人「完肉」の称号を持つキン肉マン『ネメシス』が、SpiceSeedキン肉マンシリーズに登場!!

完璧・無量大数軍の一人「完肉」の称号を持つキン肉マン『ネメシス』が、SpiceSeedキン肉マンシリーズに登場!!

ハイクオリティフィギュアの製造・販売で好評を博している株式会社SpiceSeed フィギュア事業部より、キン肉マンシリーズのフィギュア『ネメシス』が発売されます。


懐かしの名作が勢揃い!特製クリアしおりが貰える書店フェア「藤子・F・不二雄 S(すこし)★F(ふしぎ)な世界」が開催!!

懐かしの名作が勢揃い!特製クリアしおりが貰える書店フェア「藤子・F・不二雄 S(すこし)★F(ふしぎ)な世界」が開催!!

藤子・F・不二雄による名作の数々を紹介する書店フェア「藤子・F・不二雄 S(すこし)★F(ふしぎ)な世界」が、8月7日(木)より全国のフェア参加書店にて順次開催されます。


南斗孤鷲拳伝承者で、南斗六聖拳において殉星の宿命を背負う「北斗の拳」のキャラ『シン』のフィギュアが登場!!

南斗孤鷲拳伝承者で、南斗六聖拳において殉星の宿命を背負う「北斗の拳」のキャラ『シン』のフィギュアが登場!!

ハイクオリティフィギュアの製造・販売で好評を博している株式会社SpiceSeed フィギュア事業部より、北斗の拳シリーズのフィギュア『シン』の発売が決定しました。


最新の投稿


『メタルスラッグ』シリーズ30周年記念プロジェクト始動!新作開発や特設サイト、記念映像が一挙公開

『メタルスラッグ』シリーズ30周年記念プロジェクト始動!新作開発や特設サイト、記念映像が一挙公開

アクションゲームの金字塔『メタルスラッグ』が2026年4月19日に誕生30周年を迎えた。株式会社SNKはこれを記念し、シリーズの再燃・リブートを掲げた記念プロジェクトを始動。新作ゲームの開発を含む多彩な企画の推進や、歴史を振り返る記念映像の公開、特設サイトの開設など、世界中のファンへ向けた展開が始まる。


山下達郎ソロ・デビュー50周年記念!JOURNAL STANDARDとコラボした限定Tシャツが発売

山下達郎ソロ・デビュー50周年記念!JOURNAL STANDARDとコラボした限定Tシャツが発売

ソロ・デビュー50周年を迎えた音楽界のレジェンド・山下達郎とJOURNAL STANDARDが特別なコラボレーションを実現。1stアルバム『CIRCUS TOWN』収録の名曲「WINDY LADY」をテーマにしたTEEがリリースされる。音楽史に刻まれた名盤の空気感を纏える、ファン垂涎の記念アイテムが登場だ。


中山美穂の伝説が蘇る!全175曲収録の完全保存版Blu-ray BOXが6月17日発売決定

中山美穂の伝説が蘇る!全175曲収録の完全保存版Blu-ray BOXが6月17日発売決定

中山美穂のコンサート史を凝縮した5枚組Blu-ray BOX『Miho Nakayama Complete Blu-ray BOX~Forever』が2026年6月17日に発売される。1986年の初公演から98年までを網羅し、全編HD・オーディオリマスタリングを敢行。未発表ライブ映像やMVも初収録した、ファン必携の記念碑的作品だ。


俳優・水谷豊の真実に迫る著作『YUTAKA MIZUTANI』発売!監督としての人生と秘められた過去を解禁

俳優・水谷豊の真実に迫る著作『YUTAKA MIZUTANI』発売!監督としての人生と秘められた過去を解禁

俳優・水谷豊の著作『YUTAKA MIZUTANI』が発売される。「傷だらけの天使」や「熱中時代」、そして「相棒」と、各時代でトップを走り続ける彼が、自らの監督作品を通じて「誰も知らない本当の水谷豊」を明かす。サイン本お渡し会や、代表作『青春の殺人者』の50周年記念Tシャツ発売など、ファン必見の情報が満載だ。


楳図かずお生誕90周年!60年代の伝説的「なかよし」付録漫画を完全再現した究極の復刻BOXが登場

楳図かずお生誕90周年!60年代の伝説的「なかよし」付録漫画を完全再現した究極の復刻BOXが登場

ホラー漫画の金字塔、楳図かずお氏の生誕90周年を記念し、1960年代に『なかよし』の付録として人気を博した「なかよしブック」が復刻BOXとして発売される。当時のサイズや色味、さらには広告や読者ページまで可能な限り再現。市場でも滅多に見られない超貴重な少女ホラー傑作5選が、今ここに蘇る。