プロ野球現役最年長50歳の中日・山本昌、引退。90年代の中日「今中・山本昌」時代を懐かしむ。

プロ野球現役最年長50歳の中日・山本昌、引退。90年代の中日「今中・山本昌」時代を懐かしむ。

プロ野球現役最年長を誇った中日の山本昌投手が2015年シーズンでの引退を発表。中日一筋の山本昌を振り返るとともに、90年代の中日を支えた「今中・山本昌」時代を再確認しましょう。


中日一筋、現役最年長50歳まで投げ続けた山本昌

実に30年以上もの間、中日ドラゴンズ一筋を貫いた山本昌広投手。
レジェンドとも称されるその足跡をまとめます。

最多勝:3回 (1993年、1994年、1997年)
最優秀防御率:1回 (1993年)
最多奪三振:1回 (1997年)

沢村賞:1回 (1994年)
最優秀投手:2回 (1994年、1997年)
月間MVP:8回 (1993年4月・7月・8月、1994年4月・9月、1997年7月、1999年4月、2008年8月) ※2008年8月度は史上最年長記録、2010年シーズン終了時セ・リーグ史上最多タイ
ベストナイン:2回 (1994年、1997年)
最優秀バッテリー賞:1回 (1993年、捕手:中村武志)
優秀JCB・MEP賞:1回 (1997年)
「ジョージア魂」賞特別賞:1回 (2014年)
「ジョージア魂」賞:3回 (2010年度第10回、2012年度第2回、2014年度第11回)
セントラル・リーグ特別賞(2014年)

1983年ドラフトで中日ドラゴンズ入り以来中日一筋だった山本昌

山本昌 - Wikipedia

山本昌の足跡(若手時代)

父親がファンだった中日への入団

野球チームに初めて入ったのは小学3年生の時。中学校3年の夏、所属する野球部で神奈川県大会に出場し、日大藤沢高にスポーツ推薦で入学する。高校2年夏、高校3年夏共に、神奈川大会準々決勝敗退。
1983年のドラフトで中日ドラゴンズに5位指名を受ける。
父親が長野県出身の中日ファンだったことが最終的に大きな決め手となり「おやじが喜ぶ」と入団を決意。
1986年シーズン終盤の消化試合で一軍初登板。1987年には開幕一軍入りしたが、4月14日の対広島東洋カープ戦でのナゴヤ球場一軍初登板で肘を痛め(のちに疲労骨折と判明)、その後登板機会がないままシーズンを終了。

1983年のドラフト5位で中日入団

幻の大リーガーでした

1988年2月、中日は業務提携していたロサンゼルス・ドジャースと同じベロビーチでキャンプを行い、山本ら若手選手5人が野球交換留学としてそのままアメリカに残ることになる。
しかし、実情は中日がドジャースとの交流関係を保つために、その年の戦力にならない選手を選んで派遣する必要があり、山本については「手足は長いし、体も大きい。本場アメリカの指導者ならこういう選手の扱いに慣れている分、うまくいくかもしれない」という一縷の期待を掛けられてのものだった。
ドジャース傘下のマイナーリーグ(1A)のベロビーチ・ドジャースに所属することになり、チームメートと帯同してフロリダ・ステートリーグ(1A)で試合を行うことに。
そこでは投手の基本である低めへのコントロール、スローカーブの精度の向上、その他生活習慣を厳しく指導されたが、特に大きかったことは消えかけていた野球への熱意や楽しさを再び思い出させてくれたことが大きかったという。
ロサンゼルス・ドジャースのフェルナンド・バレンズエラのピッチングを見て、そのスクリューがあまりに衝撃的であったため、後に自分も投げてみたところ、驚くほど球が曲がったそうである。
よく曲がるので、その日の試合でも使ってみたところ、決め球として通用。それ以後の登板に使っていると、1Aのオールスターゲームまで呼ばれるようになり、それを見た対戦相手の数球団のスカウトが評価、メジャーリーグのロースター入りを正式に打診された(ドジャースからは打診がなかった)。
しかし、山本のビデオを見た星野が成長ぶりに呼び戻すことを決定、リーグ優勝を実現するための戦力とするべく、当初1年間のはずであった留学予定が切り上げられた。
このため、ロースター入り・メジャーリーグデビューはならなかった。ベロビーチ・ドジャースでの成績は、13勝7敗、防御率2.00。

1988年、ベロビーチ・ドジャースに野球留学

この野球留学を経て帰国した直後、当時の中日の投手が足りない状況だったこともあり先発の一角に加わると、スクリューや精度の高いコントロールを駆使して一軍で5連勝(なおかついずれも自責点0)を記録し、リーグ優勝に貢献。

山本昌の足跡(今中慎二とダブル左腕を形成した90年代)

1992年	山本昌広	13勝
1993年	今中慎二、山本昌広	17勝
1994年	山本昌広	19勝
1995年	今中慎二	12勝
1996年	今中慎二	14勝
1997年	山本昌	18勝

90年代の中日投手陣、左の二枚看板でした

今中との二枚看板

1989年、シーズン14登板目の5月27日の対読売ジャイアンツ戦で完封でシーズン初勝利。
しかし星野から同シーズンオフにおいてのアメリカへの教育リーグ再留学を言い渡される。このオフの留学ではスローカーブ習得に励む。
1990年は前年の雪辱をバネに初のシーズン10勝を挙げた。この年同じ左腕の今中慎二も10勝を挙げ、90年代共に左の二枚看板として中日投手陣を支えた。
1991年、開幕からローテーションを守ったものの、中々勝ち星に恵まれず9月を最後に先発からも外れてしまう。ローテーション投手の中で一人負け越してしまい、チームも終盤に広島に逆転され優勝を逃す。
1992年、チームは最下位に沈んだもののシーズン13勝を記録した。
1993年、ヤクルトとの首位争いの終盤に右鎖骨を骨折しリタイアしたものの、シーズンは今中と並び17勝を挙げ最多勝を獲得更に最優秀防御率のタイトルも獲得した。
1994年、シーズンを自己最多の19勝を挙げ初の沢村賞を受賞したが、チームは2年連続で2位。
1995年、左肘、左膝を痛め4月末に一軍登録を抹消。6月半ばに復帰したが約一ヶ月間勝てずこの年は終始不調で6年続いていた規定投球回をクリアもできず、わずか2勝に終わる。
1996年、前年の故障の影響で4月末まで1軍復帰できなかったが、復帰後はシーズン最後まで先発ローテーションを守り、勝ち星こそ恵まれず二年連続で一桁勝利な上に負け越したが、2年ぶりに規定投球回をクリアした。
1997年、初の開幕投手を任され、開幕戦の対横浜ベイスターズでに8回2/3を自責点2で勝利(ナゴヤドーム初の公式戦で、同球場で初めて勝利を記録)。チームは最下位だったものの孤軍奮闘し18勝を挙げ、3年ぶり3度目の最多勝と初の最多奪三振を獲得。
1998年、2年連続開幕投手を務めたが、42歳の相手先発大野豊との投げ合いに敗北、シーズン9勝9敗の成績で終わる。
1999年、4月には月間MVP獲得しての開幕11連勝や11年ぶりのリーグ優勝に貢献したが、勝ち星に恵まれず8勝6敗。しかし防御率2.96はこの年20勝を挙げた巨人の新人上原浩治や、19勝を挙げシーズンMVPになった同僚野口茂樹に次ぐリーグ3位。
2000年、二年ぶりに開幕投手に抜擢され、左の勝ち頭として3年ぶりの二桁勝利となる11勝を挙げる。

1989年~2000年の山本昌

今中
「目の覚めるようなストレートと眠くなるようなスローカーブ」

山本昌
「眠くなるようなストレートと目の覚めるようなスクリュー」 

二人は中日の二枚看板でした。

中日ファンにとってこの二人が投げる日は楽しみでした

憲伸との左右エース

2001年、2年連続二桁勝利は挙げたものの、プロ入り初の二桁敗戦及びリーグ最多敗戦を記録。
2002年、3年連続開幕投手になったが4月末まで0勝4敗、防御率も7点近くと調子を落としていたが、7月28日の3勝目以降、5勝2敗と復調。
2003年、左腕ではチームトップタイの9勝を挙げる。
2004年、川上と左右のエースとしてチームを引っ張り、7年ぶりの11勝以上を挙げる13勝を挙げリーグ制覇に貢献。
2005年、シーズン通して調子の好不調が激しく、100イニング以上投げた年では初めて防御率が4点台。
2006年、9月9日の対広島戦で、新井貴浩から通算2000奪三振を達成。9月16日の対阪神戦(ナゴヤドーム)でプロ野球史上73人目(84回目)となるノーヒットノーランを達成、41歳1か月での達成はプロ野球最年長記録。9月30日の対阪神戦で40歳代としては若林忠志、村田兆治、工藤公康に次いで4人目となる2桁勝利を挙げた。
2007年、4月17日の対阪神戦で完封勝利を挙げ、200勝へ残り8勝と迫る。41歳8か月での完封勝利はセ・リーグ最年長記録。
2008年、4月2日の対巨人戦での登板で、投手としては大野豊の22年を抜き、野手を含めても衣笠祥雄の23年と並ぶセ・リーグ最長の実働年数(プロ野球最長は2010年現在工藤公康の29年)となった。5月14日の対東京ヤクルトスワローズ戦で史上26人目となる通算3000投球回を達成。8月4日、ナゴヤドームでの対巨人戦で完投勝利。プロ野球史上24人目となる通算200勝を達成。
2009年、6月に一軍に上がるが、先発した試合で打たれ再び二軍降格。9月11日にようやく一軍再登録を果たし、同日の対ヤクルト戦でシーズン初勝利。大野豊が持つセ・リーグ記録を更新する22年連続勝利を記録。
2010年、春季キャンプ中に左肩肩甲骨付近を痛めて(肉離れとの報道もあり)二軍で開幕を迎える。6月に二軍戦で実戦に復帰するが、13日の試合で左足首を痛めて1球投げただけで降板する。その後は調整を続け、8月7日の対阪神戦で同年初登板。6回1失点で勝ち投手となり、実働25年と自身の持つ記録を更新するセ・リーグ23年連続勝利を達成。この年は5勝を挙げ、中日の逆転リーグ優勝に貢献。
2011年、工藤公康が西武を退団し引退はしなかったものの未所属で、山本昌がNPB現役最年長選手となる。
2012年、監督の高木守道が山本昌を復活させると明言し、自主トレ中に高木から開幕投手を告げられる。4月1日の開幕3戦目の対広島戦(ナゴヤドーム)で先発し5回を3安打に抑えた。46歳7か月の登板で、セ・リーグ最年長登板記録を達成。4月15日の対阪神戦でのシーズン初勝利は自身通算211勝目となり、この勝利で杉下の持つ中日球団の投手通算勝利記録に並び、同時に工藤の持っていたセ・リーグ最年長勝利記録・プロ野球史上最年長先発勝利記録を更新。
2013年、プロ入り30年目を迎えてのシーズンでは、3月にインフルエンザを発症したが、調整を間に合わせ、開幕一軍入りを果たす。チーム開幕2カード目となる4月9日の対ヤクルト戦に先発し、6回を1安打に抑える好投で、同年の初勝利を挙げる。
2014年、49歳0か月で迎えた9月5日の対阪神戦(ナゴヤドーム)で先発で今季初登板、5回無失点で勝利投手となり、浜崎真二のNPB史上最年長試合出場記録(48歳10か月)とNPB史上最年長勝利投手記録(48歳4か月)などの最年長記録を更新。
2015年、8月9日の対東京ヤクルト戦(ナゴヤドーム)で先発し、実働29年となり工藤・中嶋の持つプロ野球記録に並んだ。また、自身の持つNPB史上最年長試合出場記録などの最年長記録を更新。

川上憲伸との左右エース、そして記録づくめの2000年代

山本昌の投球

レジェンドと称されます

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