【1983年洋楽】一発屋アーティストと唯一のヒット曲5選

【1983年洋楽】一発屋アーティストと唯一のヒット曲5選

ある一時期だけ活躍したアーティスト、一曲だけ売れたアーティストを、日本語では「一発屋」と言いますが、英語でも同じ意味で「ワンヒットワンダー(One Hit Wonder)」という言葉があります。今回は "1983年" にフォーカスして、全米でヒットした一発屋(ワンヒットワンダー)5選をご紹介します。


1983年のヒット曲から選出

全米シングルチャート(Billboard Hot 100)で、1983年年間トップ50前後にランクインした楽曲を対象とし、その中から "一発屋(ワンヒットワンダー)" と称されることの多いアーティストを選出しました。

マニアック / マイケル・センベロ

『マニアック(Maniac)』は、アメリカのシンガーソングライター兼ギタリスト、マイケル・センベロ(Michael Sembello)のヒット曲で、全米シングルチャートで2週連続ナンバーワン、年間チャートで9位に輝きました。映画『フラッシュダンス』サウンドトラック収録曲で、翌年のアカデミー歌曲賞にもノミネートされています。(受賞は、『フラッシュダンス…ホワット・ア・フィーリング(Flashdance... What a Feeling)』。)



元々は、ホラー映画や連続殺人犯のニュースから着想を得て作られた楽曲でしたが、『フラッシュダンス』の監督エイドリアン・ラインが本曲に興味を示したことで、映画用に再作成され、サウンドトラックに収録されました。映画では、主人公の厳しいダンス・トレーニングのシーンで使用されています。



マイケル・センベロはその後、顕著なヒットには恵まれなかったものの、今日も音楽活動を継続しています。目立ったところでは、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)『スリラー(Thriller)』に当初収録予定でボツになった、マイケル・センベロ作の『Carousel』という楽曲があり、25周年記念盤『Thriller 25 Super Deluxe Edition』に初収録されました。

カモン・アイリーン / デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ

『カモン・アイリーン(Come On Eileen)』は、イギリスのポップ・ロックバンド、デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ(Dexys Midnight Runners)のヒット曲で、全米シングルチャートで1週だけナンバーワン、年間チャートで13位を記録しました。全英シングルチャートでは、1982年年間ナンバーワンに輝いています。



本曲は1982年6月にリリースされ、本国イギリスではその年にヒットしましたが、アメリカでナンバーワンを獲得したのは、なんと10ヶ月後の1983年4月でした。ケルト音楽とソウルを融合した曲調が特徴で、曲の冒頭もケルト風のフィドル(ヴァイオリン)演奏が流れます。



1983年のブリット・アワードでは、最優秀シングル賞を受賞しました。その後、メンバーの入れ替えや休止期間はありましたが、現在も音楽活動を行っています。リードボーカルで本曲を作ったケヴィン・ローランド(Kevin Rowland )も健在です。

踊るリッツの夜 / タコ

『踊るリッツの夜(Puttin' On the Ritz)』は、インドネシア系オランダ人シンガーで、ドイツ(当時は西ドイツ)を拠点に活動していた、タコ(Taco)のヒット曲で、全米シングルチャートで最高位4位、年間チャートで31位を記録しました。



原曲は、『ホワイト・クリスマス』でおなじみのアーヴィング・バーリン(Irving Berlin)1929年に作詞・作曲したもので、ミュージカル映画『踊るリッツの夜』の主題歌でした。タイトルは、スラングの "to put on the Ritz" に由来し、"とてもファッショナブルな服を着る" という意味です。Ritzとは、ロンドンのリッツホテルを指しています。日本盤のジャケットには、タコのモノクロ写真のバックに、ピンク色で "蛸(たこ)" の絵が描かれています。



その後は、顕著なヒットには恵まれなかったものの、俳優としても活躍の場を広げ、現在もドイツ在住で活動しています。

セイフティ・ダンス / メン・ウィズアウト・ハッツ

『セイフティ・ダンス(The Safety Dance)』は、カナダのニュー・ウェイヴ&シンセ・ポップバンド、メン・ウィズアウト・ハッツ(Men Without Hats)のヒット曲で、全米シングルチャートで最高位3位、年間チャートで35位を記録しました。



本曲は、クラブでポゴ(一人でその場で激しく動く踊り方)を禁止したバウンサー(用心棒)に向けたプロテストソングで、リードボーカルのイヴァン・ドロシュク(Ivan Doroschuk)の実体験がもとになっています。ニュー・ウェイヴで踊るポゴは、周囲のディスコダンサーに危険を及ぼすとみなされ、バウンサーから締め出しを食らっていました。本曲は、表現の自由を求めた抗議と呼びかけの曲です。



メン・ウィズアウト・ハッツは1993年に解散しますが、2000年以降に再結成し、現在も活動を継続しています。2021年には、スローバージョンの『セイフティ・ダンス』が『No Friends Of Mine』というタイトルでリリースされました。

君はTOO SHY / カジャグーグー

『君はTOO SHY (Too Shy)』は、イギリスのニュー・ウェイヴバンド、カジャグーグー(Kajagoogoo)のデビュー曲で、全米シングルチャートで最高位5位、年間チャートで50位を記録しました。自国の全英シングルチャートでは、ナンバーワンに輝いています。



カジャグーグーの結成は1978年。当時のバンド名は、アール・ヌーヴォーでした。1981年に新たなリードシンガーとしてリマール(Limahl)を迎え、カジャグーグーに改名すると、1983年、ついにメジャーデビューを果たします。本曲のプロデュースは、デュラン・デュラン(Duran Duran)ニック・ローズ(Nick Rhodes)とプロデューサーのコリン・サーストン(Colin Thurston)が務めました。



その後、リマールと他メンバーとの間に確執があり、リマールは脱退。ニック・ベグズ(Nick Beggs)がリードボーカルを引き継ぎ、バンド活動を継続します。『ビッグ・アップル(Big Apple)』は、全英8位のヒットとなりますが、その後はヒットに恵まれず、1985年に解散しました。



2000年代に入り、バンドは二度再結成し、リマールも2008年の再結成の際に参加しました。

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