荒野の用心棒


まずは1964年にイタリアで製作・公開されたマカロニ・ウェスタンの名作『荒野の用心棒』(こうやのようじんぼう)から。本作は黒澤明監督の『用心棒』(1961年)に感銘を受けたセルジオ・レオーネ監督が非公式ながらリメイクした作品で、日本の時代劇を西部劇に作り変えようという発想のもと作られました。アメリカでの大ヒットが世界的にも知られるキッカケとなり、現在でもマカロニ・ウェスタンの代表作として名前が挙がることが多い。
ラストマン・スタンディング

1996年にアメリカで製作された『ラストマン・スタンディング』(原題: Last Man Standing)もまた『用心棒』をギャング映画に置き換えてリメイクした作品です。小さな町ジェリコではアイルランド系とイタリア系の2大ギャングが町の支配権を巡り激しい抗争を繰り広げていました。そんな荒れた町に現れた謎の男ジョン・スミス(演:ブルース・ウィリス)。ジョンはバーで町の抗争についての話を聞き、双方からうまく金をせしめようと企むが…。
イエロー・ハンカチーフ


映画『イエロー・ハンカチーフ』(2008年)は、昭和52年に公開された山田洋次監督の名作『幸福の黄色いハンカチ』をリメイクした作品です。基本的にはオリジナルに忠実でありながらも、細かなキャラクター設定や時代背景は現代のアメリカに置き換えられました。刑期を終えて出所したブレット・ハンセン(演:ウィリアム・ハート)は、ひょんなことから若い女の子のマーティーン(演:クリステン・スチュワート)と、風変わりな青年ゴーディ(演:エディ・レッドメイン)に出会い、旅を共にすることに。そんな彼の旅の目的は妻メイ(演:マリア・ベロ)の気持ちを確かめることでした。そしてこの旅を通してそれぞれが成長していくというロードムービーです。また本作にはオリジナル版でヒロインを演じた桃井かおりさんもモーテルの女主人役でカメオ出演していますよ。
Shall we ダンス?


2004年にアメリカで製作された『Shall We Dance?』(シャル・ウィ・ダンス)は、1996年に日本アカデミー賞をはじめ数々の映画賞を総なめにした周防正行監督・脚本のハートフルコメディ『Shall we ダンス?』のリメイク作品です。仕事や家庭に恵まれるも日々の生活に物足りなさを感じていた弁護士のジョン・クラーク(演:リチャード・ギア)が、美しいダンス講師ポリーナ(演:ジェニファー・ロペス)に目を奪われたことがきっかけで、家族にも会社にも内緒で社交ダンスを習い始め、次第に純粋にダンスに打ち込んでいく……オリジナル版では役所広司さんと当時バレリーナだった草刈民代さんがダブル主演を務め、映画の大ヒットとともに「社交ダンス」ブームの火付け役となりましたよね。リメイク版はオリジナルにかなり忠実でありながらも、設定やテーマの置き方などが若干異なっている部分アリ。
HACHI 約束の犬


2009年にアメリカで製作された『HACHI 約束の犬』(原題:Hachi A Dog's Tale)は、日本映画『ハチ公物語』(昭和62年)のリメイク作品です。本作では舞台を東京からアメリカの架空の街へと移し、また時代設定も大正/昭和初期から現代へと変更されました。
ある日、大学教授のパーカー・ウィルソン(演:リチャード・ギア)は駅舎で迷子になっていた秋田犬を保護し家に連れ帰り飼うことを決意。以前飼っていた愛犬を亡くした悲しみから未だ立ち直れずにいた妻のケイト(演:ジョアン・アレン)は反対しますが、それを押し切る形で迎え入れます。名前は「ハチ」!愛情をたっぷり受けすくすくと育ったハチは次第にパーカーを毎朝駅まで見送り、彼が仕事から帰ってくる午後5時になると迎えに行くのが日課となりました。しかしそんな幸せな日々は突然の悲劇によって奪い去られるのです。
ザ・リング


2002年、ドリームワークスにより製作された『ザ・リング』(原題: The Ring)は、鈴木光司さんの同名小説を原作に中田秀夫監督が映像化し大ヒットした映画『リング』(1998年)のリメイク作品です。それは後に続くジャパニーズ・ホラー・ブームの火付け役ともなりました。アメリカ版では実力派女優のナオミ・ワッツが主演し、こちらも大ヒットを記録!その後も『ザ・リング2』(2005年)、『ザ・リング/リバース』(2017年)と続き、この映画の成功がアメリカでアジアン・ホラーのリメイクが多く製作されるキッカケとなったのです。
本作は舞台をシアトルに移しながらも全編にわたりオリジナル版を忠実に再現した作風となっています。新聞記者のレイチェル・ケラー(演:ナオミ・ワッツ)は、それを見た者は7日後に死ぬと噂の謎のビデオテープを入手。それはビデオを見た後に変死した姪の死の真相を調査するためでした。しかしそのビデオを幼い息子が見てしまい……。
南極物語


2006年、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズにより製作公開された『南極物語』(原題: Eight Below)は、昭和58年に高倉健さん主演で公開された日本映画の名作『南極物語』をリメイクした作品です。物語はおおむね実話に基づいていますが、登場人物や犬種さらには結末などがオリジナルとは異なっている模様。全米科学財団の南極基地で働くジェリー・シェパード(演:ポール・ウォーカー)は、これまで強い絆で結ばれた8頭のイヌぞり犬たちとともに様々な困難を乗り越えてきました。しかし記録的な猛吹雪により犬たちを残し、スタッフは基地からの全面退去を強いられることに。その頃置き去りにされた犬たちは……!
あとがき
それほど多くの日本映画が海外でリメイクされているわけではありませんが、こうしてリメイク版とオリジナル版を比較しながら見てみるのも面白いですよね。また近年アジア圏では日本のテレビドラマのリメイクが多くなされているという。次回はそちらに注目しながらご紹介していきたいと思いますので、ぜひお楽しみに。最後まで読んでくださりありがとうございました。