炎の転校生ってどんな漫画?
簡単なあらすじを紹介
1980年代に少年誌で連載された熱血バトル漫画。主人公の滝沢昇は転校する先々で、毎回必ずトラブルに巻き込まれてきた。しかし正義感と勝利への意欲を持つ滝沢昇は、それに真っ向から抗い続けていく。元から優れた運動神経と口の上手さを併せ持っていたことから、問題を次々に解決していった。転校先の一つである鳥羽砂高校では、高村友花里や伊吹三郎などとの出会いを経験。後に高村は恋人に伊吹は好敵手となる。そんな滝沢の活躍を知った政府機関·秘密教育委員会は、裏の教育委員会の陰謀を阻止する為に滝沢と接触。。滝沢は裏の教育委員会との戦いに身を投じていく。
炎の転校生の主な登場人物
滝沢 昇(たきざわ のぼる)
強い正義感と負けず嫌いな性格、それに驚異的な運動能力を併せ持つ熱血男子高校生。但し単純な性格な上、細かなコントロールは苦手で突進型。またピンチに陥った際でも、持ち前の口の上手さでその場の雰囲気を味方につけて優位に立つ。トレードマークは首に巻いたハチマキだが、全力を出す時は頭に移動する。作品のタイトルになっている炎の転校生は、滝沢 昇が秘密教育委員会から与えられたコードネーム。
高村 友花里(たかむら ゆかり)
物語が進むにつれて滝沢 昇と親密な仲になっていく本作のヒロイン。主人公と転校初日に運命の出会いを果たしてから健気に彼を想い続けるが、優れた運動神経を持つ少女でもある。その為場合によっては暴力も辞さないという一面も併せ持つ。コンプレックスは小さな胸。尚、ヒロインのモデルはアイドルの松本伊代。作者が大ファンだったことがキャラモデル採用に繋がった。
伊吹 三郎(いぶき さぶろう)
武器を使用した喧嘩殺法が得意な滝沢 昇のライバル。思い込みが激しい上に自己中心的。滝沢を執拗につけ狙うようになったのは、一方的に好意を抱いた高村ゆかりを手に入れる為。好みのタイプは高村のような"ない胸"の女性。彼女が自身に振り向かないと知るや好意の対象を、弱肉学園の坂田博子に変更。しかし婚約者がいることが判明し失恋。伊吹の父親は増悪の対象となっている伊吹一番だが、後に和解し親子の絆を取り戻すことになった。
金沢(かなざわ)
射津幌市立鳥羽砂高等学校の遅刻者を徹底的に取り締まる週番。自らを「神の週番」とするほど役目に忠実で、暴力や地雷を使ってでも遅刻者を校門から排除しようとする。唯一の天敵は遅刻常習者の高村ゆかりだったが、後に滝沢が転校してきて敗北した。実際の戦闘力は滝沢より高いものの、彼の屁理屈には敵わなかったようだ。
城之内 考一(じょうのうち こういち)
私立弱肉学園高等学校ボクシング部所属の1年生。爽やかな外見とは裏腹に勝利への執着心は人一倍で、手段を選ばない卑怯な一面も持っている。高村ゆかりを手に入れようと滝沢と激突するが敗北。更に恋人の久美子ちゃんに手酷くふられてたことで改心し、以降は滝沢達の仲間となった。
高野 千明(たかの ちあき)
私立弱肉学園高等学校2年の正義漢。空手初段の有段者であり正義不滅流空手部部長の他週番も務めている。遅刻者には厳しく滝沢と対峙するが、自らの戦いにバラエティ性がないことを悩んでいた。滝沢が必殺技について触れると自分にはないものだと自身喪失。しかし彼の男気に触れ友達となる。
美濃山 亜希(みのやま あき)
滝沢に興味を抱いていた灯学園高等学校の女子生徒。弱肉学園で滝沢が試合をしているところを見たのがきっかけ。美濃山(兄)の協力により滝沢を偽デートに誘導することに成功。だが滝沢の異常な身体能力を前にして、彼女の興味は徐々に薄れていく。一件落着と思いきや偽デート事件が原因で滝沢と高村ゆかりの仲が険悪になる。遂には弱肉学園を巻き込み大騒動に発展するが、美濃山達の知らないところで騒動は解決した。
滝沢 昇一(たきざわ しょういち)
滝沢 昇の父親であり、文科省直属の秘密組織·秘密教育委員会の教育委員。コードネームは「北の疾風(風)」。様々な学校の問題·事件を解決する為に息子の昇を陽動役として使った。昇本人には詳細が知らされておらず、裏方として学校の中枢を叩くことが多い。戦闘力·格闘センスとも息子を大幅に上回る実力の持ち主だが、大陸学園事件で意識不明の重体になる。しかし教育委員としての使命感は消失せず、一命を取り留め徐々に体力を回復すると、「X仮面」として病院を脱け出し昇の危機に駆け付けた。
多海本 安寿男(たみもと やすお)
秘密教育委員を統括·指揮する秘密教育委員長(通称タミー)。この人物は作者出身高校の国語科教師がモデル。裏の教育委員会幹部の伊吹園次郎と対峙するも、彼の必殺技「暗黒流れ星」を受けて敗北した。
五十嵐 光(いがらし ひかる)
大人の色気で対象の男性を誘惑し操る技が得意な秘密教育委員の女性。職務を放棄し北海道へと旅行していたが、そこで運命の男·伊吹園次郎と出会い恋に落ちる。伊吹との出会いを機に自身の生き方を考え直し、後に彼と結婚することになった。
伊吹 一番(いぶき いちばん)
伊吹三郎の父親で裏の教育委員会を取り仕切る会長を務める男性。問題の学校を改善させるのが秘密教育委員会の役割であるのに対し、裏の教育委員会は偏見教育や非合法な営利を広めるのが目的の悪の組織。但しトップである伊吹一番は、滝沢が心の師と仰ぐほど筋の通った男気溢れる人物だった。更に組織の目的である世界征服は、妻の頼里と息子の三郎と再会する為の手段でしかない。その事実を本人が構成員に明かさなかったことが手段の目的化を招き、構成員の中に悪行を犯す者が出ることに繋がった。滝沢との出会いがきっかけで妻と息子に再会後は、目的を達成し会長を辞任する。
伊吹 園次郎(いぶき そのじろう)
裏の教育委員会の幹部で伊吹一番の長男。当初は父親と同じく母親と弟(伊吹三郎)を探していたが、目的を見失い金に異常な執着心を抱くようになる。「暗黒流れ星」は彼の必殺技で、これまで多数の秘密教育委員に勝利。しかし滝沢に敗北してからは更正し、後に五十嵐光と結ばれ結婚した。
伊吹 四四彦(いぶき よしひこ)
伊吹家三男で園次郎と三郎の弟で中学3年生。母親と兄弟を探す為名声を得ようと決意。「甲子園優勝投手兼高校生歌手」への道を志すことになる。
滝沢 昇が使用した強力な必殺技
必殺・滝沢キック
幼少期の滝沢がヒーロー番組を見た際に覚えた、物理法則を無視した空中技。空中にジャンプした後に前転かつ後方に反転し、着地する前に飛び蹴りを繰り出す非常に高度な技である。
靴マシンガン
校内にあるゲタ箱の靴を大量に投げつける技だが、相手へのダメージは期待出来ないので、あくまでも牽制目的で使用している。
滝沢国電パンチ
ボクシング技術を応用した大技。初撃(上り)では飛びつきながらパンチを放ち相手の体勢を崩しにかかる。直後に相手の背後に素早く回り込み、コーナーポストなどを蹴り再び攻撃。この際に繰り出されるカウンターパンチ(下り)は、壁を蹴る反動によってスピード·パワー共に強化されたものだ。因みにこの技は国電の上り線と下り線を参考に、滝沢自身が考えた技として紹介されている。
滝沢ケダ箱くずし
周囲のゲタ箱を倒し相手の肉体にダメージを与える。尚散乱した靴が放つ臭気が精神を錯乱させる効果も加わるので、二次的被害も無視出来ない。
ベリーロールアタック
ベリーロールの要領で蹴りを放つ大技で、大陸学園陸上部と対峙した際に披露した。
スターティングクラッシュ
短距離競技のクラウチングスタートのような動作を行う、滝沢昇専用の格闘術。両腕の自由を奪った状態で足を顔の上に乗せ、そのまま力を入れてダメージを与える。
必殺・両方滝沢キック
塩崎の破壊防御対策として誕生した、滝沢キックの強化バージョン。左右の両足を使用し、僅かな時間差で相手を蹴り抜く。滝沢曰く滝沢キックの10倍は威力があるという。
必殺滝沢ほほえみ返し
爽やかな笑顔で相手を戦意喪失させる効果がある。しかし相手が全ての思いを遂げた時にしか効果はないので、使用場面は非常に限定的だ。
ハンドレッド滝沢キック
両方滝沢キックが進化したもので、滝沢100(ハンドレッド)となった滝沢が繰り出す最強の格闘技術。ジャンプ直後に高速回転するなどして、攻撃の隙を与えないのが特徴。止めの両足蹴りは遠心力によりパワーが大幅アップ。一度食らってしまえば大ダメージ必須で、標的が粉砕するほどの危険な技である。
最大の魅力は濃厚すぎる世界観
主人公の滝沢 昇は勿論、本作に登場するキャラクターはおバカで面白い人物ばかり。例えば正義漢で通っている滝沢は、口の上手さで相手を翻弄したり、卑怯な必殺技を容赦なく繰り出すこともある変人。弱々しいと思ったら突然暴れ始めたりと、次元爆弾のようなインパクトを持っている。周囲の人々も無駄に熱血だったり、計画性がなかったりといちいち読者の笑いを誘う。またストーリーの内容に特にメッセージ性は見当たらなかったりする。ひたすらハチャメチャなキャラクター達のやり取りが、本作の濃厚な世界観をよく演出しているのが特徴。憎み·妬み·劣等感·脳内解決理論などネガティブなものも、自然とギャグに変換出来ていることも、島本作品を知る人々から未だに評価されている理由のようだ。