マイケル・ジャクソンのスムーズ・クリミナル、なぜ倒れない?

マイケル・ジャクソンのスムーズ・クリミナル、なぜ倒れない?

マイケル・ジャクソンの代表曲の一つ 「スムーズ・クリミナル」。その曲の際でマイケル・ジャクソンは、バックダンサーと共に、直立したままで前に傾斜するというポーズをとります。しかし、普通にやると倒れてしあうそのポーズ。いったいどうやっているのでしょうか?


スムーズ・クリミナル

「スムーズ・クリミナル」は、数多いマイケル・ジャクソンのヒット曲のなかの一つです。7曲目にシングルカットされた楽曲で、大ヒットアルバム「Bad」にも収録されています。2009年に行われた、好きなマイケル・ジャクソンの曲の人気投票では、堂々第3位に入るというマイケルの曲の中でもかなりの人気曲ですね。

曲名が決まるまで

「スムーズ・クリミナル」の名づけは、曲名のようにスムーズにはいきませんでした。当初は「Chicago 1945」という名前で制作されていたのです。しかし後に、「Al Capone」に発展、試行錯誤を繰り返した後に「Smooth Criminal(スムーズ・クリミナル)」に決まったと言う訳なんです。

曲中「Annie, Are You OK?」というフレーズが頻繁に連呼されます。ここで出てくるアニーとは、一体誰の事なのでしょうか、気になりますよね。実は、様々な推測が流れる中、ドキュメンタリー映画「BAD25」において、アニーとは心肺蘇生訓練用のマネキンの名称だと明らかにされたのです。そう、訓練用のマネキンで人間では無かったのですね。またマイケル自身も、実際に心肺蘇生訓練を受けたそうです。

ゼロ・グラヴィティ

そして、「スムーズ・クリミナル」で一番に注目されたのが、ダンスの途中に行われるパフォーマンス。マイケル・ジャクソンが、ゼロ・グラヴィティという非常に高度な難しい技を披露しているのです。

ゼロ・グラヴィティ(アンチグラビティ)は、まず両手両足を揃えて起立し、その状態から踵を支点にして、身体を前方へゆっくりと倒していきます。そして斜め45度になったら静止し、その後にまた元の体勢に戻すという一連の動きをいいます。

このパフォーマンスを実現させるため、マイケル・ジャクソンはマイケル・ブッシュ及びダニエル・トンプキンスと連名で特許も取得しています。ダンスの一連のポーズで特許を取るって、それほどに重要な技だったのでしょう。

ライブでは困難なパフォーマンス

この印象的なダンスパフォーマンスが最初に行われたのは、1988年に上演された長編作品「ムーンウォーカー」において、「楽曲Smooth Crimina(スムーズ・クリミナル)」でのことでした。ただし、映画内ではワイヤーを使って吊り上げる形で撮影されています。これが元々行われたダンスパフォーマンスとしてのゼロ・グラヴィティの原型だった訳ですね。

ただこの仕掛けでは、即時の脱着はできません。映像の中では可能なダンスパフォーマンスも、ライブを行うステージでこの仕掛けを用いて、このダンスパフォーマンスを再現することは不可能でした。ですのでその年のバッド・ツアーでは、「スムーズ・クリミナル」のダンスパフォーマンスでは、そのパートは省かれていたのです。

ライブで再現するために

そして1992年になって、このダンスパフォーマンスをライブ上で再現するため、考え出された技術がゼロ・グラヴィティだったのです。この技術を使えば、ツアーにおいてステージ上で再現ができるようになったのです。映像作品におけるパフォーマンスとステージ上におけるパフォーマンス、その仕組みと仕掛けが異なっているのはしょうがないことですね。

時系列的に見ても、映像でのダンスパフォーマンスが行われた後で、技術としてのゼロ・グラヴィティが考案されステージ上で再現することができたという順番になります。ただしこのパフォーマンスは誰でもできるというものではありません。自力で直立の姿勢に戻す際、脊椎と筋肉をはじめとした強力な体幹がないとできる技ではないのです。

演出的な技も

ゼロ・グラヴィティをライブ中に行う際、演出の技も必要となります。ダンスの途中、バックダンサーの一人が爆弾を持って出てきて、スポットライトがそこに集中します。闇に隠れている間に、マイケルと他のバックダンサーが傾斜の準備をするのです。そして、スポットライトが戻ると同時に注目のパフォーマンスが行われるといった手順となります。

それでも傾斜が終わる時に、前にいたバックダンサーの一人が足が仕掛けからうまく外れずによろけてしまったりしたことも。そしてモスクワでのコンサートにおいて、足の金具が外れてしまってマイケルが前に倒れたのです。でもマイケルにとっては、それも何のこと状態、何事もなかったように踊り続けてました。さすがトップスターですね。

ゼロ・グラヴィティの仕組み

それでは、特許に基づくそのゼロ・グラヴィティの仕組みをご案内します。まずは、使用する靴は、足首までを覆うブーツ上のもの。かつ、かかとの位置にフックがひっかかるようV字の金属のパーツが付いています。

パフォーマンスの時は、床から頭を出したT字型のフックに靴のかかとを引っかけ、そのまま足を軸にして上半身を倒していくのです。その後、自力で直立姿勢まで引き上げるのですが、腹筋・背筋・腓腹筋などに相当な力が加わります。最後にフックから靴を外して、ダンスを続けます。実際のステージでは。そのフックは即座に引っ込むようになっているんですよ。

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