『日本の「ゲームセンター」史』
2022年3月3日に『日本の「ゲームセンター」史 娯楽施設としての変遷と社会的位置づけ』という本が福村出版から刊行されることとなりました。
筆者は、立命館大学ゲーム研究センターにて客員協力研究員として籍を置いている川﨑寧⽣氏。
なお博士論文要旨によると「立命館大学大学院先端総合学術研究科」という科に所属しておられたようです。
専門は社会統制史や日本史。
博士論文は「日本のゲームセンターが社会に根付いた要因の一つと思われる、社会統制史を重点的に調査」したもの。
ここから「日本の賭博やその周囲に関する厳格な社会統制を回避すべく、ゲームセンターが遵法精神を維持した上で、多様な客層を保持するために店舗形態として全国へ広がった事が、ゲームセンターの社会的定着に寄与したことを明らかとした」とのこと。
んー、難しい。
もう少しわかりやすく言うと「ゲームセンターの店舗形態の多様性と日本社会に根付いた過程や要因を調査」したのが本書で、上記論文をブラッシュアップしたものなんだそうです。
本書の目次

ゲームセンター
はじめに
序章
第1章 ゲームセンターを対象にした先行研究、およびこれまで記述されてきた日本ゲームセンター史の整理
第2章 日米ゲームセンター史の比較分析 ─場所・空間の定着過程に着目して─
第3章 日本のゲームセンター史が持つ特殊性の分析
第4章 ゲームセンターにおける店舗形態の特徴 ─先行研究における議論の整理を中心に─
第5章 ゲームセンターが社会に根付く過程のケーススタディ1 大人向けゲームコーナー ─都市型娯楽の新しい形としての「ゲーム機が導入された喫茶店」─
第6章 ゲームセンターが社会に根付く過程のケーススタディ2 子供向けゲームコーナー ─駄菓子屋や玩具屋に広がったゲームプレイの形─
第7章 娯楽施設としてのゲームセンターの変遷 ─店舗形態に影響を与えた要素を中心に─
終章
あとがき
昔々から現代まで

UFOキャッチャー
「日本で普及した娯楽施設、ゲームセンターの歴史を店舗の形態により4種に分類し、当時の文献、新聞・業界誌の記事やフィールドワークをもとに各々の盛衰と現状を分析する」
ミドルエッジ世代よりさらに前の、1920年代後半のゲーム場にもふれているそうですから凄い研究書ですね。
そして本書は、新型コロナウイルスの影響によって変化が起きた、現在のゲームセンター業界についてもふれています。
ゲームセンターの「昔々から現代まで」を知ることができる本書。歴史を知りたいという方は、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
なお同氏は1990年代の初頭、親にファミコンを隠された経験があり、そこからアーケードゲームに魅了されていったんだとか。
なんだか急に親近感を覚えてしまいます。