第15回日本アカデミー賞
第15回日本アカデミー賞は1992年3月20日に国立京都国際会館で開催された日本アカデミー賞発表・授賞式である。司会は高島忠夫と田中好子。
最優秀作品賞『息子』
『息子』は椎名誠の小説『倉庫作業員』を原作に、山田洋次監督と朝間義隆が脚本を担当した映画。岩手県の山奥で暮らす父親と、都会でフリーターを続ける息子との葛藤や心の変化を描いている。
この日本アカデミー賞 最優秀作品賞のほか、第65回キネマ旬報ベスト・テン 委員選出日本映画部門第1位や、第46回毎日映画コンクール 日本映画大賞、第4回日刊スポーツ映画大賞 作品賞など、数々の賞を獲得することとなった。

息子
優秀作品賞は以下の通り。
あの夏、いちばん静かな海。
大誘拐 -RAINBOW KIDS-
八月の狂詩曲 (ラプソディー)
無能の人
最優秀監督賞:岡本喜八『大誘拐』
岡本喜八監督は鳥取県米子市出身。1959年の『独立愚連隊』で、一躍注目を集めた。
技巧派といわれ、クランクインの前にすべてのカット割りをコンマ秒単位で決めて撮影に臨んでいた。また『戦争批判・明治維新批判』をライフワークとして掲げ続けた。
『大誘拐』は持ち味の一つである娯楽色を強めた作品になっている。

岡本喜八
優秀監督賞と作品は以下の通り。
北野武(あの夏、いちばん静かな海。)
黒澤明(八月の狂詩曲 (ラプソディー))
竹中直人(無能の人)
山田洋次(息子)
最優秀主演男優賞:三國連太郎『釣りバカ日誌4』『息子』
三國連太郎は群馬県太田市出身。息子に俳優の佐藤浩市がいる。「三國連太郎」は、デビュー作である木下恵介監督の映画『善魔』での役名を芸名にした。この時の演技により第2回ブルーリボン新人賞を受賞している。
『釣りバカ日誌4』では鈴木一之助(スーさん)役を、『息子』では息子を心配する父親の浅野昭男役を演じての受賞。

三國連太郎
優秀主演男優賞は以下の通り。
緒形拳(咬みつきたい/大誘拐)
柴田恭兵(![ai-ou] /福沢諭吉)
竹中直人(無能の人)
松方弘樹(江戸城大乱/首領〈ドン〉になった男)
最優秀主演女優賞:北林谷栄『大誘拐』
北林谷栄は東京都中央区出身。30代から数多くの老け役を演じ「日本一のおばあちゃん女優」と言われてもいる。1959年の『キクとイサム』では混血児の孫を育てる祖母を演じて、第10回ブルーリボン賞主演女優賞を獲得した。
『大誘拐』では転んでもタダでは起きない強かで得体の知れない老ヒロイン ・柳川とし子を演じている。

北林谷栄
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優秀主演女優賞は以下の通り。
岩下志麻(新・極道の妻たち)
工藤夕貴(戦争と青春)
樋口可南子(陽炎/四万十川)
村瀬幸子(八月の狂詩曲 (ラプソディー))
最優秀助演男優賞:永瀬正敏『息子』『喪の仕事』
永瀬正敏は宮崎県都城市出身。1987年のテレビドラマ『ママはアイドル』に出演するなどしていたが、1990年に『ミステリー・トレイン』に出演して、ジャームッシュ作品に出演した若手俳優として注目を浴びてからは映画中心に活躍する。
『息子』では東京で一人暮らしをしている、タイトルの息子である浅野哲夫役を演じて受賞した。

永瀬正敏
優秀助演男優賞は以下の通り。
井川比佐志(上方苦界草紙/戦争と青春/泣きぼくろ/八月の狂詩曲 (ラプソディー))
緒形拳(グッバイ・ママ)
橋爪功(おいしい結婚)
松山千春(極道戦争 武闘派)
最優秀助演女優賞:和久井映見『就職戦線異状なし』『息子』
和久井映見は神奈川県横浜市出身。16歳の時、東京ディズニーランドでスカウトされて芸能界入りした。1993年には映画『虹の橋』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞などを受賞する。またサントリー「モルツ」ビールのCMに出演し、その中のセリフ「うまいんだな、これが」が流行語になった。
『就職戦線異状なし』ではエフテレビの人事である秋山葉子役、『息子』ではろうあ者の川島征子役を演じている。

和久井映見
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優秀助演女優賞は以下の通り。
荻野目慶子(陽炎)
樹木希林(戦争と青春/大誘拐)
風吹ジュン(無能の人)
松下由樹(新・同棲時代/波の数だけ抱きしめて)