第71回アカデミー賞
第71回アカデミー賞は1999年3月21日に行われたアカデミー賞発表・授賞式である。

会場となったドロシー・チャンドラー・パビリオン
第71回目のアカデミー賞授賞式は、 ドロシー・チャンドラー・パビリオンで行われた。
結果は、ベルナルド・ベルトルッチが愛新覚羅溥儀の生涯を映画化した『恋におちたシェイクスピア』が、作品賞、主演女優賞、助演女優賞を含む7部門を受賞した。
作品賞『恋におちたシェイクスピア』(Shakespeare in Love)
『恋におちたシェイクスピア』は、シェイクスピアの現実の恋と劇中劇を交錯させて描いたロマンス映画。第56回ゴールデングローブ賞 コメディ・ミュージカル部門作品賞も獲得した。
言わずと知れた劇作家シェイクスピアの、『ロミオとジュリエット』の製作の裏での恋が描写されている。作中にはシェイクスピアはもちろん、エリザベス1世やクリストファー・マーロウなど、エリザベス朝の歴史上の人物が多数登場する。

恋におちたシェイクスピア
作品賞のその他の候補作は以下の通り。
エリザベス
ライフ・イズ・ビューティフル
プライベート・ライアン
シン・レッド・ライン
監督賞:スティーヴン・スピルバーグ 『プライベート・ライアン』
『プライベート・ライアン』は、第二次世界大戦時のノルマンディー上陸作戦において、兵士ライアンの救出に向かう兵隊たちの物語。原題の"Saving Private Ryan"とは、「兵卒ライアンの救出」という意味である。
スティーヴン・スピルバーグといえば、『ジョーズ』、『E.T.』、『ジュラシック・パーク』、『シンドラーのリスト』などで知られる名匠。1993年の『シンドラーのリスト』に続き、2回目のアカデミー監督賞受賞となった。

スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)
他の監督賞ノミネートと作品は以下の通り。
ロベルト・ベニーニ(ライフ・イズ・ビューティフル)
ジョン・マッデン(恋におちたシェイクスピア)
テレンス・マリック(シン・レッド・ライン)
ピーター・ウィアー(トゥルーマン・ショー)
主演男優賞:ロベルト・ベニーニ『ライフ・イズ・ビューティフル』
『ライフ・イズ・ビューティフル』は、ロベルト・ベニーニが監督・脚本・主演をつとめた作品。第二次世界大戦でのユダヤ人迫害(ホロコースト)を、ユダヤ系イタリア人の親子の目線で描いている。1998年の第51回カンヌ国際映画祭では審査員特別グランプリを受賞した。
ロベルト・ベニーニは、イタリア人の俳優兼映画監督で、コメディアンでもある。今回の受賞で、外国語でのアカデミー主演男優賞を受賞した初めての男優になった。また、ヨーロッパ映画賞 男優賞にも輝いた。

ロベルト・ベニーニ(Roberto Benigni)
主演男優賞のノミネートは以下の通り。
トム・ハンクス(プライベート・ライアン)
イアン・マッケラン(ゴッド・アンド・モンスター)
ニック・ノルティ(白い刻印)
エドワード・ノートン(アメリカン・ヒストリーX)
主演女優賞:グウィネス・パルトロー『恋におちたシェイクスピア』
主演女優賞も『恋におちたシェイクスピア』からの受賞。
グウィネス・パルトローは、資産家の娘ヴァイオラ・デ・レセップス役で出演している。この役は゛男装して劇団に潜り込んで、抜群の演技力でロミオの役を得る”という難しい役どころだが、見事に演じ切って今回の受賞につながった。
パルトローは本作でゴールデングローブ賞 主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)も獲得。1998年の『ピープル』誌にて「最も美しい人々」の一人に選ばれた。その後、同誌の2013年の「最も美しい人2013年版」ではトップに輝いた。

グウィネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)
他に主演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
ケイト・ブランシェット(エリザベス)
フェルナンダ・モンテネグロ(セントラル・ステーション)
メリル・ストリープ(母の眠り)
エミリー・ワトソン(ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ)
助演男優賞:ジェームズ・コバーン『白い刻印』
『白い刻印』は、ラッセル・バンクスの小説『狩猟期』を原作とした作品。雪に閉ざされた田舎町を舞台に、人生に疲れた中年警官がリゾート開発に絡む陰謀を嗅ぎつけたことで起こる悲劇を描いたサスペンス映画になっている。
ジェームズ・コバーンは、グレン・ホワイトハウス役での受賞。コバーンはアメリカで柔道を学んで黒帯を取得したり、ブルース・リーに武術とアクションを学んだりしている。「タフガイ」なスターとして、西部劇やアクション映画で活躍した。

ジェームズ・コバーン(James Coburn)
助演男優賞のノミネートは以下の通り。
ロバート・デュヴァル(シビル・アクション)
エド・ハリス(トゥルーマン・ショー)
ジェフリー・ラッシュ(恋におちたシェイクスピア)
ビリー・ボブ・ソーントン(シンプル・プラン)
助演女優賞:ジュディ・デンチ『恋におちたシェイクスピア』
助演女優賞も『恋におちたシェイクスピア』からの受賞となった。
ジュディ・デンチはエリザベス女王役で出演。デンチは『007』シリーズで、3代目「M」を1995年~2012年まで17年間に渡って演じたことで、世界的に知られている。
1988年にはその貢献が認められ、イギリス王室から「Dame(デイム)」の称号を授与された。

デイム・ジュディ・デンチ(Dame Judi Dench)
他に助演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
キャシー・ベイツ(パーフェクト・カップル)
ブレンダ・ブレッシン(リトル・ヴォイス)
レイチェル・グリフィス(ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ)
リン・レッドグレイヴ(ゴッド・アンド・モンスター)