第68回アカデミー賞
第68回アカデミー賞は1996年3月25日に行われたアカデミー賞発表・授賞式である。
会場となったドロシー・チャンドラー・パビリオン
第68回目のアカデミー賞授賞式は、ドロシー・チャンドラー・パビリオンで行われた。
結果は、メル・ギブソンがスコットランド伝説の英雄ウィリアム・フォレストを描いた『ブレイブハート』が、作品賞、監督賞、音響編集賞を含む5部門を受賞した。
作品賞『ブレイブハート』（Braveheart）
実在の人物ウィリアム・ウォレスがスコットランドの独立のために戦うさまを描いた歴史映画。メル・ギブソンが主演・監督をつとめた。
13世紀末のスコットランドが舞台だが、ある場面では背後に走行している白色の乗用車が映ったままになってしまっている。
ブレイブハート
作品賞のその他の候補作は以下の通り。
アポロ13
ベイブ
イル・ポスティーノ
いつか晴れた日に
監督賞：メル・ギブソン『ブレイブハート』
いたずら好きなメル・ギブソンは、アニメのバッグス・バニーの宿敵であるエルマー・ファッドのモノマネをしながら監督し、多くの役者たちがシーンの途中で笑い出してしまうNGを出したという。
ギブソンは1979年のアクション映画『マッドマックス』の主役で有名になった。『リーサル・ウェポン』シリーズなどでも人気が出た。2004年には、私財30億円を投じてイエス･キリストの最期を描いた『パッション』を製作する。
メル・ギブソン(Mel Gibson)
他の監督賞ノミネートと作品は以下の通り。
クリス・ヌーナン（ベイブ）
ティム・ロビンス（デッドマン・ウォーキング）
マイク・フィギス（リービング・ラスベガス）
マイケル・ラドフォード（イル・ポスティーノ）
主演男優賞：ニコラス・ケイジ『リービング・ラスベガス』
『リービング・ラスベガス』は、ジョン・オブライエンの半自伝小説を原作にした映画。ラスベガスを舞台に、元・脚本家のアルコール依存症の男性と娼婦とのロマンスを描いた物語になっている。
ニコラス・ケイジはアルコール依存症のベン・サンダーソンを演じての受賞。
ケイジは『ゴッドファーザー』や『地獄の黙示録』で知られる映画監督のフランシス・フォード・コッポラの甥であるが、若い頃はそう呼ばれることを嫌がっており、それで本名のコッポラを名乗らなくなったという。
ニコラス・ケイジ(Nicolas Cage)
主演男優賞のノミネートは以下の通り。
リチャード・ドレイファス（陽のあたる教室）
アンソニー・ホプキンス（ニクソン）
ショーン・ペン（デッドマン・ウォーキング）
マッシモ・トロイージ（イル・ポスティーノ）
主演女優賞：スーザン・サランドン『デッドマン・ウォーキング』
『デッドマン・ウォーキング』は、死刑廃止論者である修道女ヘレン・プレジャンのノン・フィクションの同名小説を映画化したもの。「デッドマン・ウォーキング」とは死刑囚が死刑台に向かう際、看守が呼ぶ言葉。
スーザン・サランドンは、シスター・ヘレン・プレイジェーン役で出演している。サランドンは、1975年のヒット映画『ロッキー・ホラー・ショー』に主演女優として出演して人気が出た。
スーザン・サランドン(Susan Sarandon)
他に主演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
エリザベス・シュー（リービング・ラスベガス）
シャロン・ストーン（カジノ）
メリル・ストリープ（マディソン郡の橋）
エマ・トンプソン（いつか晴れた日に）
助演男優賞：ケヴィン・スペイシー『ユージュアル・サスペクツ』
『ユージュアル・サスペクツ』は、回想を効果的に用いた脚本で、謎の多い事件を描くサスペンス映画。
ケヴィン・スペイシーは、左側の手足に麻痺がある詐欺師ヴァーバル・キント役で出演した。1999年には『アメリカン・ビューティー』でアカデミー主演男優賞を受賞。2004年の映画『ビヨンド the シー 夢見るように歌えば』では、監督・製作・脚本・出演の4役を務める。
ケヴィン・スペイシー(Kevin Spacey)
助演男優賞のノミネートは以下の通り。
ジェームズ・クロムウェル（ベイブ）
エド・ハリス（アポロ13）
ブラッド・ピット（12モンキーズ）
ティム・ロス（ロブ・ロイ/ロマンに生きた男）
助演女優賞：ミラ・ソルヴィノ『誘惑のアフロディーテ』
『誘惑のアフロディーテ』は、ウディ・アレン監督・脚本・主演のコメディ映画。
レニーとアマンダの中年夫婦のとった養子マックスは、大変出来が良い自慢の息子で、この子の実の親も素晴らしいに違いないと思い込み、母親のリンダを探し当てるストーリー。
ミラ・ソルヴィノは、マックスの母親でポルノ女優のリンダ・アッシュ役で出演した。ゴールデングローブ賞とニューヨーク映画批評家協会賞でも助演女優賞を獲得している。
ミラ・ソルヴィノ(Mira Sorvino)
他に助演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
ジョアン・アレン（ニクソン）
キャスリーン・クインラン（アポロ13）
メア・ウィニンガム（ジョージア）
ケイト・ウィンスレット（いつか晴れた日に）
