第61回アカデミー賞
第61回アカデミー賞は1989年3月29日に行われたアカデミー賞発表・授賞式である。

会場となったシュライン・オーディトリアム
第61回目のアカデミー賞授賞式は、昨年に続き シュライン・オーディトリアムで行われた。
結果は、バリー・レヴィンソンが自由奔放な青年とサヴァン症候群の兄との兄弟愛を描いた『レインマン』が、作品賞、監督賞、主演男優賞を含む4部門を受賞した。
作品賞『レインマン』(Rain Man)
事業に失敗して破産寸前のチャーリー(トム・クルーズ)と、重いサヴァン症候群の兄レイモンド(ダスティン・ホフマン)との出会いから兄弟愛が芽生えるまでを描いたヒューマンドラマ。
第46回ゴールデングローブ賞、第39回ベルリン国際映画祭でもそれぞれ作品賞を受賞した。
日本では2006年に舞台化され、チャーリー役で椎名桔平、レイモンド役で橋爪功が出演してヒットした。

レインマン
作品賞のその他の候補作は以下の通り。
偶然の旅行者
危険な関係
ミシシッピー・バーニング
ワーキング・ガール
監督賞:バリー・レヴィンソン『レインマン』
監督賞も『レインマン』からの受賞となった。
また、このアカデミー監督賞のほか、ベルリン国際映画祭金熊賞も獲得している。
バリー・レヴィンソンはテレビの台本を書いているうちにメル・ブルックス監督と知り合い、『サイレント・ムービー』の脚本に参加するようになり、1982年の『ダイナー』で監督デビューした。
1997年には『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』でベルリン国際映画銀熊賞を受賞する。

バリー・レヴィンソン(Barry Levinson)
他の監督賞ノミネートと作品は以下の通り。
チャールズ・クライトン(ワンダとダイヤと優しい奴ら)
マイク・ニコルズ(ワーキング・ガール)
アラン・パーカー(ミシシッピー・バーニング)
マーティン・スコセッシ(最後の誘惑)
主演男優賞:ダスティン・ホフマン『レインマン』
ダスティン・ホフマンは前述のとおり、重いサヴァン症候群のレイモンド役での受賞。
1979年の『クレイマー、クレイマー』に続き2度目の受賞となった。
ホフマンは1967年の『卒業』で、年上の女性と同年代の女性との間で揺れ動く大学生役でアカデミー主演男優賞ノミネートを受け、有名になった。1969年の『真夜中のカーボーイ』でも同賞にノミネートされている。

ダスティン・ホフマン(Dustin Hoffman)
主演男優賞のノミネートは以下の通り。
ジーン・ハックマン(ミシシッピー・バーニング)
トム・ハンクス(ビッグ)
エドワード・ジェームズ・オルモス(落ちこぼれの天使たち)
マックス・フォン・シドー(ペレ)
主演女優賞:ジョディ・フォスター『告発の行方』
『告発の行方』は、アメリカで深刻な社会問題となっているレイプを扱った作品。
ジョディ・フォスターはレイプされる女性のサラ役で出演している。本作でゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ドラマ部門)も受賞した。
また、1991年の『羊たちの沈黙』でもアカデミー主演女優賞に輝くことになる。

ジョディ・フォスター(Jodie Foster)
他に主演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
グレン・クローズ(危険な関係)
メラニー・グリフィス(ワーキング・ガール)
メリル・ストリープ(A Cry in the Dark)
シガニー・ウィーバー(愛は霧のかなたに)
助演男優賞:ケヴィン・クライン『ワンダとダイヤと優しい奴ら』
『ワンダとダイヤと優しい奴ら』は、盗まれたダイヤモンドの行方をめぐるクライムコメディ映画。
ケヴィン・クラインは、高額のダイヤモンドを盗み出す共犯者であるヒットマンのオットー役を演じた。
日本でも顔が知られるようになったのは、1982年の『ソフィーの選択』に出演したことが大きい。近年では、2017年公開の実写版『美女と野獣』に、ベルの父モーリス役で出演している。

ケヴィン・クライン(Kevin Kline)
助演男優賞のノミネートは以下の通り。
アレック・ギネス(Little Dorrit)
マーティン・ランドー(タッカー)
リヴァー・フェニックス(旅立ちの時)
ディーン・ストックウェル(愛されちゃって、マフィア)
助演女優賞:ジーナ・デイヴィス『偶然の旅行者』
『偶然の旅行者』は、アン・タイラーの『アクシデンタル・ツーリスト』を原作とした映画。旅行ガイドブックのライターのメーコンと、8歳の病弱な息子と暮らすミュリエルとの恋愛ドラマを描く。
ジーナ・デイヴィスは、主人公の相手役の型破りな女性ミュリエル・プリチェット役で出演している。
デイヴィスは下着メーカーのカタログに載っていたところをシドニー・ポラック監督に見出され、1982年に『トッツィー』で映画デビューした。1991年には『テルマ&ルイーズ』でテルマ役を演じてアカデミー賞主演女優賞及びゴールデングローブ賞にノミネートされる。

ジーナ・デイヴィス(Geena Davis)
他に助演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
ジョーン・キューザック(ワーキング・ガール)
フランシス・マクドーマンド(ミシシッピー・バーニング)
ミシェル・ファイファー(危険な関係)
シガニー・ウィーバー(ワーキング・ガール)