第57回アカデミー賞
第57回アカデミー賞は1985年3月25日に行われたアカデミー賞発表・授賞式である。

会場となったドロシー・チャンドラー・パビリオン
第57回目のアカデミー賞授賞式は、 例年通りドロシー・チャンドラー・パビリオンで行われた。
結果は、ミロス・フォアマンがブロードウェイの同名舞台演劇を映画化した『アマデウス』が、作品賞、監督賞、主演男優賞を含む8部門を受賞した。
作品賞『アマデウス 』(Amadeus)
若くして亡くなった天才音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの謎の生涯を、宮廷音楽家アントニオ・サリエリとの対決を通して描いた映画。前述のとおり、ブロードウェイの舞台『アマデウス』を映画化したもの。
このアカデミー賞の他にも、英国アカデミー賞4部門、ゴールデングローブ賞4部門、ロサンゼルス映画批評家協会賞4部門、日本アカデミー賞外国作品賞などを受賞した。

アマデウス
作品賞のその他の候補作は以下の通り。
キリング・フィールド
インドへの道
プレイス・イン・ザ・ハート
ソルジャー・ストーリー
監督賞:ミロス・フォアマン『アマデウス』
ミロス・フォアマンは1975年の『カッコーの巣の上で』でもアカデミー監督賞を受賞した。この『アマデウス』で2作目の受賞となった。
本作では作曲家モーツァルトの伝記映画を製作したが、他にも画家ゴヤの人生や、ポルノ雑誌「ハスラー」創刊者のラリー・フリントの人生を映画化している。

ミロス・フォアマン(Miloš Forman)
他の監督賞ノミネートと作品は以下の通り。
ウディ・アレン(ブロードウェイのダニー・ローズ)
ロバート・ベントン(プレイス・イン・ザ・ハート)
ローランド・ジョフィ(キリング・フィールド)
デヴィッド・リーン(インドへの道)
主演男優賞:F・マーリー・エイブラハム『アマデウス』
主演男優賞も『アマデウス』からの受賞。
F・マーリー・エイブラハムは、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世に仕える作曲家アントニオ・サリエリ役で受賞した。ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門)も獲得している。
本来エイブラハムはモブキャラとしてキャスティングされていたが、台本の読み合わせでたまたまサリエリ役を代演した際、演技力の高さを認められ、監督からサリエリ役を任された。

F・マーリー・エイブラハム(F. Murray Abraham)
主演男優賞のノミネートは以下の通り。
ジェフ・ブリッジス(スターマン/愛・宇宙はるかに)
アルバート・フィニー(火山のもとで)
トム・ハルス(アマデウス)
サム・ウォーターストン(キリング・フィールド)
主演女優賞:サリー・フィールド『プレイス・イン・ザ・ハート』
『プレイス・イン・ザ・ハート』は、アメリカ南部の専業主婦の女性が突然夫を亡くし、周囲の人々の協力を受けながら自立してゆく姿を描いた映画。
サリー・フィールドは専業主婦エドナ・スポルデイングを演じての受賞。1979年の『ノーマ・レイ』に続き2回目のアカデミー主演女優賞を得た。
2007年には『ブラザーズ&シスターズ』でエミー賞主演女優賞(ドラマシリーズ部門)を獲得する。

サリー・フィールド(Sally Field)
他に主演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
ジュディ・デイヴィス(インドへの道)
ジェシカ・ラング(カントリー)
ヴァネッサ・レッドグレイヴ(ボストニアン)
シシー・スペイセク(ザ・リバー)
助演男優賞:ハイン・S・ニョール 『キリング・フィールド』
『キリング・フィールド』は、ニューヨーク・タイムズ記者としてカンボジア内戦を取材したシドニー・シャンバーグの体験を基に製作された作品。
ハイン・S・ニョールは演技経験がまったくないカンボジア出身の医師で、当時俳優ではなかった。作中ではカンボジア人助手のディス・プランを演じている。実際に4年間、武装組織クメール・ルージュの元での強制労働の経験があった。
助演男優賞のノミネートは以下の通り。
アドルフ・シーザー(ソルジャー・ストーリー)
ジョン・マルコヴィッチ(プレイス・イン・ザ・ハート)
ノリユキ・パット・モリタ(ベスト・キッド)
ラルフ・リチャードソン(グレイストーク -類人猿の王者- ターザンの伝説)
助演女優賞:ペギー・アシュクロフト『インドへの道』
『インドへの道』は1924年に発表されたE・M・フォースターの長編小説を原作とした映画。サンサ・ラマ・ルウ脚色の舞台もベースとされている。デヴィッド・リーン監督の14年ぶりの劇場映画かつ遺作である。
ペギー・アシュクロフトは、主人公の英国娘アデラとの婚約者ロニーの母であるムーア夫人役で出演。77歳での受賞となり、助演女優部門の最年長受賞者となっている。

ペギー・アシュクロフト(Dame Peggy Ashcroft)
他に助演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
グレン・クローズ(ナチュラル)
リンゼイ・クローズ(プレイス・イン・ザ・ハート)
クリスティーン・ラーティ(スイング・シフト)
ジェラルディン・ペイジ(パッショネイト 悪の華)