子供の頃、超怖かった昭和時代の『トラウマ絵本・怖い絵本』(児童書)16選

子供の頃、超怖かった昭和時代の『トラウマ絵本・怖い絵本』(児童書)16選

恐いもの見たさが勝る…いつの時代も子どもは「怖い、怖い」と言いながら、怖い物に興味がある…。子供の頃に見て、読んで恐かったトラウマ絵本(恐い本)を振り返ってみましょう。


日本傑作絵本シリーズ『なおみ』(初版発行:1982年)/ トラウマ絵本の最高峰

6歳の私と、“私のうまれるずっとまえから私のそばにいた”人形の「なおみ」。この「ふたり」の交流と別れを通して、子どもの「時間」を美しく描き出した写真絵本です。

恐くて怖くてたまらなかったが、気になって何度も読んだ…。今読んでも、恐い。

日本傑作絵本シリーズ『なおみ』(初版発行:1982年)

ノスタルジックな写真絵本を背景に、とにかく不気味な雰囲気が漂う。

まるで命が宿っている友達のように、人形の「なおみ」に語り続ける6才の少女。

日本人形が怖い!人形の「なおみ」の存在感に圧倒される…。

6歳の「わたし」は、ずっと人形の「なおみ」と一緒だった。子供の目にはかなり怖い本に映るだろう。

この作品の人形が怖いのは、命があるように見えるからだ。読み進むほどにどんどん怖い。

いつも一緒にいて、時には話し声すら聞こえるほどの存在だった「なおみ」が病んで死んでしまう…。

心に残るロングセラー絵本『おしいれのぼうけん』

何度注意されても言うことを聞かない子は真っ暗なおしいれに入れられて、謝るまで出してはもらえない。そこで、恐ろしい「ねずみばあさん」に出逢い、追いかけられます。

お昼寝前に、ミニカーのとりっこでけんかをしたさとしとあきらは、先生に叱られておしいれに入れられてしまいます。そこで出会ったのは、地下の世界に住む恐ろしいねずみばあさんでした。
ふたりをやっつけようと、追いかけてくるねずみばあさん。でも、さとしとあきらは決してあきらめません。手をつないで走りつづけます―。

累計220万部、心に残るロングセラー絵本『おしいれのぼうけん』 / 子供の頃、こわいけど、なぜか大好きな絵本

言うこと聞かない二人の男の子が、押入れに閉じ込められてしまう。押入れにはネズミばあさんがいるのでは…と子供は恐れるようになる…。

ネズミばあさんの怖いこと…。

幻のトラウマ絵本『ピカピカのぎろちょん』(1968年・あかね書房)/ トラウマ児童文学として名高い。

ある日、いつもの歩道橋に三人のおまわりさんがいました。大きな穴があいてしまったので橋は渡れないと言います。学校は休みになり、新聞は配達されず、テレビには何も映りません。すべては「ピロピロ」のせいらしいのですが、大人たちにもその正体はよくわかっていないようです…。

『ピカピカのぎろちょん』は、トラウマ児童書として名高いが、児童文学史上もっともカルトな怪作と評する向きもある。何とも不思議な物語。

ピカピカのぎろちょん(復刻版)/ シュールキングと呼ばれた佐野美津男の伝説の物語

1980年発行の怖すぎる絵本『地獄』(千葉県安房郡三芳村延命寺所蔵)/ 子供が怯えるレベルのトラウマ絵本。

この本の中の地獄絵は、千葉県安房郡三芳村延命寺に所蔵されている十六幅の絵巻をもとに構成したものです。これは、一七八四年(天明四年)、江戸の絵師によって描かれたものですが、作者の名はわかっていません。

制作に当たり、延命寺の佐々木竜之さんには、いろいろご便宜を図っていただきました。また監修は国立文化財研究所の宮次男さんにお願いして細かい点のご指導をいただきました。写真は、国立文化財研究所で古い絵巻を撮ってベテランの市川和正さんを煩わし原画の忠実な再現に成功しました。

本文のストーリーは室町時代につくられた“平野よみがえり草紙"などにより、白仁成昭さんが構想し、中村真男さんが文章を起しました。装幀、レイアウト、本文中一部の絵は、気鋭のデザイナー貝原浩さんがやりました。

1980年発行の絵本『地獄』(千葉県安房郡三芳村延命寺所蔵) / 「死のこわさ」を学習する

閻魔王の裁きを受けて、悪いことをしたものは地獄へ落される…。

閻魔王

ひとの死に対する恐れは本能といわれるものでしょうが、それはまた、学習によって強められることを、日常の経験を通して私たちは知っています。

昔の人が医学の末発達のそのころ、地獄絵を子どもらに見せ、死の怖れを語り、行動の自制を求め、生への執着を強めて子孫の持続を計ろうとした。と考えると、この絵図はその時代の人が生んだ大いなる叡知の一つといえます。

地獄の鬼が罪人を攻め、切り刻んでいた…。

1971年の初版『八月がくるたびに』

いきなり白い光が、ぴかあっと光りわたりました。とっさに、にんぎょうをつかんでうつぶせたきぬえに、ものすごいバク風がおそいかかりました。1945年8月9日、長崎に原子バクダンがおとされたのです。そのとき、きぬえは5つでした。

1971年の初版『八月がくるたびに』

せなけいこ「いやだいやだの絵本」シリーズの『ねないこだれだ』/ トラウマ絵本の代名詞

『ねないこだれだ』は、刊行以来、50年以上にわたって愛され続けています。

幼い子にはちょっぴり怖いのでは…と思われそうですが、子どもたちは「大好き!」。身近な大人と一緒に安心できるなかで味わう、ちょっぴり怖いおばけの世界は格別。人気の秘密は、「怖いけど、大好き!」のようです。

せなけいこ「いやだいやだの絵本」シリーズの『ねないこだれだ』

せなけいこ「おばけえほん」シリーズ

きらいな食べ物も古くなったお人形も、「こんなもの、くずかごへすてちゃうわ」と、なんでもポイとすててしまう女の子。するとある日、くずかごから大きな手が出てきて、女の子は中にひきこまれますが、さて……。

せなけいこさんの「おばけえほん」シリーズには、いろいろな日本のおばけが次々と出てきます。

1975年08月発行の絵本『くずかごおばけ』

モチモチの木 / トラウマ絵本の代表格

小学校教科書にも長く広く採用されており、令和2年度の全ての3年生の教科書に掲載されている。切り絵作家・滝平二郎さんの絵も力強く印象的。

版画絵が怖い、トラウマという意見も多く、子供の目からしたら、やや不気味に映ったのでしょう。

じさまと暮らす豆太は、5歳になっても夜中に一人でせっちんに行けない。せっちんは外にあり、その横には大きなモチモチの木が、空いっぱいに枝を伸ばして立っていた。じさまはどんなにぐっすり眠っていても、豆太の「じさまぁ」の一言にすぐ目をさまし、真夜中にせっちんに連れていってくれた。豆太の父親は熊と闘って死んだほど度胸のある人。じさまだって64歳の今でも、かもしかを追いかけて岩から岩へ飛び移ることができる。それなのに、どうして豆太だけがこんなに臆病なんだろう……。

モチモチの木

くもだんなとカエル

ピカドン / 原爆・原爆被害をテーマ・モチーフとした作品

丸木位里・赤松俊子(丸木俊)による1950年の絵本。

ピカドンは、第二次世界大戦末期の1945年8月、広島および長崎に投下された原子爆弾の俗称。

ピカドン (丸木位里・丸木俊)

木下蓮三・木下小夜子が1978年に制作した短編アニメーション。のちにセル画をもとに絵本として刊行(ダイナミックセラーズ刊)。

ピカドン (木下蓮三・木下小夜子)

ひろしまのピカ

昭和20年8月6日、原子爆弾の光が広島の空をつらぬきました。戦争への怒りと鎮魂と平和への願いをこめて送る絵本。世界二十数ヶ国で読み継がれています。

ひろしまのピカ

『風が吹くとき』/ イギリスで1982年刊のものを新たな訳で

出版当時から、漫画のコマ割りの手法を使ってシリアスな問題を描いた、絵本の常識をくつがえす作品として、大きな評判を呼んだ作品です。

それから15年以上たった今、ソ連は崩壊し、米ソ2大国が国際政治を大きく左右していた時代は去って、世界の情勢はもっと複雑になってきているように思えます。しかし、最近のインドやパキスタンの核実験で明らかになったように、核兵器をパワーゲームの切り札とみなす風潮はまだまだ盛んです。

そういう意味では、核戦争の脅威は去ったわけではありません。まだ、核は使用しなくても、ジムやヒルダのようなふつうの人たちが犠牲になる戦争は、世界各地で多発しています。レイモンド・ブリッグズがこの絵本で描こうとした状況は、表向きの形は変わっても、今でも存在しているのです。この絵本が、親子いっしょに、もう一度核の問題、そして戦争の問題を考えるきっかけになってくれれば幸いです。

イギリスで1982年に出版された作品『風が吹くとき』 (日本語)

トラウマ絵本『ビビを見た!』

1974年に出版された児童書『ビビを見た!』は、多くのファンの支持により、2004年に復刊された。

盲目の主人公ホタルに「7時間だけ見えるようにしてやろう」と言う声が聞こえた。ホタルの目が見えるようになると同時に、回りの人は光を失った。しかもホタルの住む町が正体不明の敵に襲われるとテレビ放送が始まった。人たちは町を脱出するための列車に乗り込んだ。ホタルは列車の中で不思議な緑色の少女ビビと知り合う。その列車を巨人が追ってくる。巨人をなだめられるのはビビだけだ…。

『ビビを見た!』(1974年理論社刊の再刊)

ドイツの子供向け絵本『もじゃもじゃペーター』/ 全部の話がバッドエンド…

『もじゃもじゃペーター』(ドイツ語:Der Struwwelpeter)は、1845年にハインリッヒ・ホフマンにより発表された、ドイツの子供向け絵本。

日本では、本書は1936年に『ボウボウアタマ』の題で、伊藤庸二の訳で帝都書院から初めて翻訳出版された。

父さん母さんの留守にマッチで遊んだパウリちゃん。スープ嫌いのカスパール。母さんとの約束破ったコンラちゃん。食事中にお行儀の悪いフィリップ。さあ、みんなどうなったでしょう…? ドイツで広く読み継がれている絵本。

もじゃもじゃペーター (ほるぷクラシック絵本) / 150年以上読み継がれている世界的ベストセラー絵本

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怖い昔話の絵本『三枚のお札』

むかしむかし、山にくりひろいにいったこぞうさんが、おそろしいやまんばにつかまってしまいました。こぞうさんは、おしょうさんにもらったさんまいのおふだに、ねがいをたくして、ひっしになってにげますが…。

たまたま泊めてもらった家の婆さんが実は山姥で、小僧が食べられそうになってしまうという話。お札を駆使しても、執拗に追いかけてくるのが怖かった。

さんまいのおふだ (日本名作おはなし絵本)

怪談の絵本『耳なし芳一』

琵琶を弾きながら、源平の物語をみごとに語る芳一は、平家の怨霊にとりつかれてしまいます。芳一を守るため、おしょうは芳一の体じゅうにお経を書きますが、両耳だけ書き落としてしまい…。(『耳なし芳一』)表題の『耳なし芳一』や『雪女』をはじめ、のっぺらぼう、ろくろ首など、今も読みつがれている小泉八雲の怪談・奇談20話を収録。小学上級から。

耳にだけお経を書き忘れたことによって、怨霊に耳を取られてしまうのは、小さな子どもにはトラウマ級の怖さ。

怖い怪談絵本『耳なし芳一』

怖い絵本に関連するリンク・関連項目

国語の教科書に載っていた懐かしいみんなが好きなお話:スイミー・ごんぎつね・ちいちゃんのかげおくり・セメント樽の手紙 他 - Middle Edge(ミドルエッジ)

昭和期における絵本の歴史について。 - Middle Edge(ミドルエッジ)

絵本のチカラは偉大!発行部数200万部超えの絵本たち。 - Middle Edge(ミドルエッジ)

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