「四重奏ゲーム」はいつりぼんに掲載されていた?
「四重奏ゲーム」(カルテットゲーム)は、りぼん1988年4月号から6月号まで連載されていました。3話という短い連載でしたが印象に残っている人も多いのではないでしょうか。
当時「りぼんっ子」だった私も衝撃を受けた作品の1つです。
吉住渉さんは1984年にりぼんオリジナル初夏の号で「ラディカル・ロマンス」でデビューしました。当時は大学2年生でした。大学卒業後は大手電機メーカーに就職して働いていたんです。ですが漫画との両立が難しくなり、1988年に退社。漫画家1本でやっていくことになりました。
四重奏ゲームはちょうどその頃に発表された作品ですね。りぼん作家はりぼんオリジナルでデビュー、りぼんに読み切り掲載、りぼんで連載というパターンが多いですが、吉住渉さんはりぼんで読み切りを書かずいきなり連載しています。つまりこの四重奏ゲームがりぼんデビュー作でもあるんです。それだけ注目されていたんでしょうね。
四重奏ゲームは3話完結なのでりぼんマスコットコミックスで単行本は全1巻です。「ハート・ビート」、「Another Day」という短編も同時収録されています。りぼんマスコットコミックスは絶版になっていますが、現在デジタル版が販売されています。1巻完結の昔のコミックスがデジタル化されるなんて珍しいですよね。
四重奏ゲームは短くても人の心に残る作品だったということが分かります。
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四重奏ゲームのあらすじ

四重奏ゲームはタイトルの通り、四重奏(カルテット)に関係するお話です。
舞台は音楽大学の付属中学校。ある日、友成笑、的場類、安東妙子、樫本孝純の4人が呼び出されます。数日後に行われる演奏会で、4人で四重奏を演奏してほしいと校長とバイオリン科の教師、神田から頼まれました。この演奏会では学校のOBであり、世界的なバイオリニストである伊集院英至がこの学校のために演奏をしてくれるのです。
4人はそれぞれ学校の有名人。お互い顔は知っていますがその程度の関係です。さらに誰一人四重奏の経験がないので反対するのですが結局引き受けてしまいます。それでも個性の強い彼らは反発し合い、なかなかうまくいきません。四重奏の楽曲はシューベルトの「虹」という幻の楽曲ともいわれている曲です。
一方、この中学校では小池という教師の失踪事件がありました。4人は小池の部屋の石膏の中から「ステラ」と書かれた古い楽譜を見つけます。4人は失踪事件と楽譜に何か関係があるのではないかと考えるようになりました。初めはソリが悪かった4人ですが、事件の真相を解こうとすることでだんだん団結していきます。ですが、小池の失踪を調べようとすると何者かに邪魔されているかのような事件が起こります。
そんな時伊集院英至がテレビで使用しているバイオリンに「ステラ」という愛称がついていることを話していました。何か大きな事件に関わっているように感じる4人ですが・・・。
小池の失踪の真相の謎、そしてこの楽譜は何を意味しているのでしょうか。
あらすじだけ見ていくと暗いサスペンスのような感じがしますが、主人公は中学生ですし、ラブコメっぽい要素もあるので読みやすいです。大人でも子どもでも読めるのではないでしょうか。
私は小学生の時に読んだ作品ですが、今読んでも引き込まれます。吉住渉さんの絵もこの頃から変わっていなくてとってもきれいですよ。
四重奏ゲームの登場人物
最後に四重奏ゲームの登場人物を紹介していきますね。
友成笑(ともなり えみ)
この物語の主人公。中学3年生。バイオリン科所属でバイオリンの腕はピカ一。明るい性格でムードメーカー的な存在。8歳までドイツで過ごしていました。
次第に類に惹かれていきます。
的場類(まとば るい)
中学3年生。チェロ科所属。成績優秀で作曲の才能もある。理屈っぽいところもあるけれど、4人のまとめ役でリーダー的存在です。
次第に笑に惹かれていきます。
安東妙子
中学3年生。ビオラ科所属。大人っぽい印象の美少女。付属高校のツッパリたちと親交があるツッパリ少女でもあります。この辺は時代を感じますね。
孝純に惚れられて付き合うことに。
樫本孝純
バイオリン科所属の中学3年生。女生徒にモテる校内一のプレイボーイ。
妙子に惹かれ、付き合うことになります。
伊集院英至(いじゅういん えいじ)
笑たちの学校のOBで世界的に有名なバイオリニスト。普段は世界中で演奏会を行っていますが、日本での公演のため戻ってきました。
神田
この学校の教師でバイオリン科。笑たちに四重奏を組むように提案し、楽曲も指示した人物。
小池
この学校の教師。現在失踪中。ステラの楽譜を持っていた可能性あり。
四重奏ゲームの結末(ネタばれ)
サスペンスですのでこれから読もうかなと思っている人は、以下は読まないことをおすすめします。
演奏会本番の日、4人は指定されていた楽曲「虹」ではなく、類の作曲した「四重奏ゲーム」という楽曲を演奏します。演奏会に来ていた外国人客はこれに激怒します。
演奏会を終えた4人は笑がいないことに気が付きます。笑は神田を呼び出して、「楽譜を返してください」と問い詰めていました。
この事件の発端は失踪した小池でした。神田は学生時代から楽器の密輸などを行っていて、そのことを知った小池は神田を脅迫し、「虹」の楽譜を使って一儲けしようと持ち掛けたのです。
小池は今どうしているのかは不明でした。神田は真相を知った笑を殺そうとしますが実際には殺しませんでした。ですが、自主はせず、海外に逃亡してしまいました。
そこに3人と伊集院が駆け付けます。伊集院はじつは笑の父だったのです。
「虹」の楽譜は返却され、4人には平穏な日常が戻っていきます。
ちょっと少女漫画とは思えない真相なんですよね。しかも犯人が捕まっていないというのがびっくりです。他にはなかなかない作品なので、短編にもかかわらずいまだに人気があるんでしょうね!
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