オトナになる方法って?
1990年~1997年まで『花とゆめ』(白泉社)にて連載されていた『久美子&真吾シリーズ』ですが、シリーズ全体で単行本全15巻のうち10巻が「オトナになる方法」というタイトルです。
2001年に発売された文庫本(白泉社文庫)全8巻のタイトルを「オトナになる方法」とし、全シリーズを再録しています。
その後の続編として、主人公たちの子供世代を描いた「オトナのコドモたち」が2007年に発売されました。
久美子&真吾シリーズとは?
「紅茶王子」や「オレンジチョコレート」で有名な山田南平先生の初期代表作。
「123cmのダンディ」(1990年)からはじまって「オトナになる方法」(1994年~1997年)で完結。
17歳女子高生の加藤久美子は美人で性格も良い女の子。
野良犬に襲われていたところを小学4年生の真吾に助けられ、好きになる。
最初は相手にしなかった真吾だが、年上なのに泣き虫で可愛い久美子が気になり、恋仲に発展します。
現実ではなかなかありえない高校生と小学生の恋愛物語。
久美子は真吾が小学生だから好きになったわけではありません。
大人でも子供でも真吾だから好きになったのです。
それは真吾も同じ。
ただ周りはそう思ってくれず、久美子の友達からは「異常だ」と言われてしまいます。
小学生とは思えない男らしい一面をもっている真吾。
不器用で口が悪く、ぶっきらぼうな態度で久美子を傷つけては後悔する。
小学生からみれば高校生は大人。
好きな女の子を守りたいのに、子供の真吾ではどうしても大人には敵わない時があります。
普段はしっかり者で泣き虫、年上を感じさせない久美子も実はかなりの頑固者。
泣いても譲らない時は譲りません。
周りから何を言われても、真吾が好き、を譲らない強さがあります。
しかし、まだ小学生の真吾には分からないと気づかう場面では、逆に真吾を傷つけてしまうことも。
忙しい真吾の両親の代わりに授業参観へ行くことになったのですが、真吾に恥をかかせまいとお化粧をして向かいます。
いつもと違い綺麗な久美子を見て、年上という現実をつきつけられた真吾はつい素っ気ない態度をとってしまう。
そんな真吾の気持ちが分からず、戸惑う久美子。
未熟で幼くじれったい二人のやりとりも魅力です。
真吾の同級生や恋のライバル、いくつもの事件や試練を乗り越えていく二人。
口が悪くて短気でカッコつけだった真吾もやがて中学生に。
シリーズ初期は日常的なやりとりやイベントが多く、まったりとしていますが、主人公たちの成長とともにシリアスな展開が増えていきます。
早く大人になりたい真吾と年の差や進路について悩む久美子の温度差も、もやもやしつつ共感できるのではないでしょうか。
主な登場人物
加藤久美子(かとうくみこ)

加藤久美子
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主人公。
17歳の高校2年生。
美人で行儀よく近所でも評判のお嬢さん。
普段はしっかり者で大人しい性格だが、自分の気持ちを曲げない強さを持っている。
野良犬から助けてくれた真吾に一目ぼれし、猛アタックをかけるが、相手にされない。
真吾が初恋。
優しくて性格が良いだけでなく、真吾に対してだけ嫉妬やわがままをいう場面も多々ある。
池山真吾(いけやましんご)

池山真吾
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主人公。
10歳の小学4年生。
初登場時は身長123cmで小さいのを気にしていた。
シリーズ途中でもたびたび身長が低いことをネタとしており、最終的には175cmに。
両親は『池の湯』という銭湯を家族経営しており、真吾もよく手伝いをしている。
短気で口が悪く、勉強もできない。
しかし運動神経はよくスポーツ全般が得意で、スキーもかなりの腕前。
意外と面倒見がよく、親孝行でもある。
坂田歩(さかたあゆむ)

坂田歩
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真吾のクラスメイト。
顔も頭もよくお金持ちでフェミニスト。
IQ180の天才で5ヶ国語を話せる。
幼い頃両親が離婚し、4歳だった歩は自らの意思で父親と暮らすことを選んだ。
それは父親の方が好きだということではなく、自分の頭脳はいつか父親の役にたつとわかっていたからだった。
何もかも真吾と正反対だが、良き理解者で友人。
悦子のことが好き。
小沢悦子(おざわえつこ)

小沢悦子
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真吾のクラスメイト。
小学生とは思えないほど大人っぽい女の子。
美人だけど気が強い。
真吾のことが好きで告白するがふられてしまう。
その後のも真吾に絡んだり、久美子に冷たくあたったりする。
根岸良尚(ねぎしよしひさ)

根岸良尚
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真吾のクラスメイト。
小学生らしい小学生。
実は花火屋で継げば十二代目になる。
お調子者で真吾に良く殴られているが仲は良い。
谷川広子(せがわひろし)
真吾のクラスメイト。
広子と書いて「ひろし」と読む。
性格も大人しく女の子のような見た目で「ひろこ」とからかわれることも。
初恋の相手は真吾である。
ジョナサン=晶=冨嶋( じょなさん・あきら・とみしま)
真吾のクラスメイト。
イギリスからの転校生で関西弁を話すクオーター。
妹のキャロルを溺愛している。
広子のことが好きになる。
キャロル=絵麻=冨嶋( きゃろる・えま・とみしま)
ジョナサンの2歳下の妹。
転校初日に道で座り込んでいるところを歩に助けられ、好きになる。
当初は日本語を覚えようとせず、クラスにもなじめずにいた。
麻生啓子(まきけいこ)
久美子のクラスメイトで小学生の頃からの大親友。
なんだかんだで久美子のことを大切にしている。
真吾とのことも最初は認めていなかったが、久美子が本気だとわかると頼れる味方になった。
西崎真琴(にしざきまこと)
久美子のクラスメイト。
麻生のことが好きだが、小学生に夢中になる久美子を心配した麻生に久美子を紹介される。
大学にはいってから麻生と付き合いはじめ、卒業後は同棲する。
三枝五郎(さえぐさごろう)
真吾の従兄で19歳の大学生。
真吾とそっくりで大人版真吾と言われている。
女の子大好きで久美子にも興味を持つ。
真吾のことが大好きで、小さいころは真吾も懐いていた。
オトナになる方法の続編
2007年8月25日にコミックス発行。
真吾と久美子のその後が描かれ、二人の間に生まれた男女の双子が主人公。
成長して父親になった真吾は頼れるお父さんになっています。
その他、「広子とジョナサンのその後」、「悦子と歩のその後」、「キャロルのその後」が描かれた話が収録されている。