『くじら12号』の概要
1997年2月に発売されたJUDY AND MARY(ジュディマリ)にとって11枚目のシングル『くじら12号』。60万枚以上を売り上げた前作「クラシック」から約4ヶ月での発売でした。
YUKIの高く、伸びのある歌声が印象的な同曲は、オリコンの週間ランキングで第3位を記録し、ゴールドディスクの「ゴールド」を獲得しています。また、タイアップとしては、本田技研工業の原付きバイク「ライブ・Dio」のCMソングに起用されています。当時アイドルだった広末涼子と楽曲の軽快さがマッチし、爽快感溢れる内容となっていました。
《短冊形も懐かしいシングル》

『くじら12号』
《当時16歳のヒロスエ》
サッカーファンであるTAKUYAが作詞作曲を担当
『くじら12号』は、作詞をTack and Yukky、作曲をTAKUYAが担当しています。ジュディマリの楽曲のほとんどはYUKIが作詞を担当していますが、同曲はTAKUYAと共作しており、Tack and Yukky名義での担当となっています。
”ドルフィンキックで しびれてみたいな”という特徴的な歌詞は、TAKUYAが作詞活動に加わることで生まれたそうです。
大のサッカー好きで知られるTAKUYA。『くじら12号』の”12号”に込められた意味はサッカーのサポーターを表しています。そして、TAKUYA自身が、同曲はサッカー日本代表の応援歌の意味があると後に語っています。

1997年頃のサッカー日本代表のユニフォームを着用しているTAKUYA(画像左)
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さらに”太陽が目覚めたら あの海へ行こう”の”太陽”とは日本のことを指しています。日本が”日出ずる国”と呼ばれることに関係あるのでは?と推測できますが、日本サッカーの躍動感を象徴するには最適なワードに思えます。
また、”ドルフィンキック”は、捕鯨が身近にあり、”クジラを食べる日本人のキック”を意味しているそうです。
発売当時の日本サッカーの状況はどんなだった?
ここで『くじら12号』とも密接な関係があると言える日本サッカーについて、簡単に触れてみたいと思います。同曲が発売された1997年頃はどのような状況だったのでしょうか。
93年5月、華々しく開幕したJリーグ。それまで日本サッカーは”冬の時代”と呼ばれ、試合会場の来場者数は寂しく、メディアでも大きく取り上げられることは多くはありませんでした。さらに日本代表はワールドカップのアジア予選でも勝ちきれず、ワールドカップ出場は”夢のまた夢”といった状況でもありました。
しかし、Jリーグ人気の後押しもあり、開幕と同年にはワールドカップ出場まであと一歩と迫る”ドーハの悲劇”を経験します。その後、失意の中でもエースの三浦知良がセリエAに挑戦、96年のAFCアジアカップではベスト8(前回大会は優勝でしたが)と日本代表は急速に力を付けていきます。

1997年には加茂監督の更迭もありました
さらに96年の5月には、アジア初開催となる02年の日韓ワールドカップ開催も決定。多くのサポーターがワールドカップを意識し、達成可能な目標として捉えていた時期ではなかったでしょうか。
そして、同曲発売の97年は、翌98年のフランスワールドカップへの最終予選を控え、さらなる代表強化を図りながら、初戦の9月を迎えます。9月7日、国立競技場でウズベキスタンと対戦し、三浦知良の4得点で快勝しています。
その後ワールドカップ初出場に黄色信号が灯りますが、新星・中田英寿が躍動し、チームは息を吹き返します。11月に行われたマレーシア・ジョホールバルでのアジア第3代表決定戦。延長でイランを下した”ジョホールバルの歓喜”により、見事出場権を獲得しています。
同曲が2月の発売ですので、発売当時はメディアがしきりにワールドカップ予選を盛り上げていた時期だったと記憶しています。さらに”開催国でワールドカップ未出場国はない”としきりに煽っていた頃だと思います。そういった状況もあり、サッカーを愛するTAKUYAは、日本代表を応援する歌詞を書いたのではないでしょうか。
現在も愛聴され続けている『くじら12号』
毎週木曜に放送されているラジオ番組・YOKOHAMA RADIO APARTMENT コアラモード.による「ゆ〜かりナイト」。
2019年12月、リスナーの投票で生演奏の曲目が決まる番組内の人気コーナー「今日のあなたはどっちモード?」では、『くじら12号』と欧陽菲菲「ラヴ・イズ・オーヴァー」が投票対決。僅差の接戦ながら惜しくも『くじら12号』は敗れてしまいましたが、番組に関するツイートで改めて同曲の人気の高さを感じることができます。
また、他にも益子寺かおり(妖精達)と中尊寺まい(例のK)が日本に再びバブルを起こすために結成したユニット「ベッド・イン」。彼女たちのツイートには、なんとTAKUYAが登場しています。ツイートの文言を見るといささか卑猥な内容で思わず赤面してしまいますが笑
今も愛聴されている『くじら12号』。発売から22年が経っても、ファンにとっては決して色褪せない名曲となっています。
ジュディマリの再結成はあるの!?最新の噂
2001年に解散したジュディマリ。再結成への期待は膨らむ一方ですが、実際の現実度はどの程度なのでしょうか。
2019年7月時点の情報では、TAUYAが自身のツイッターで再結成を「望んでない」と発信しています。また、同年6月に開催された「今だから語ってしまおうトークJAM」というイベントに、ジュディマリのメンバーだった恩田快人、五十嵐公太、そしてTAKUYAの三人が登壇。そこでYUKIが自身のソロ活動においては、ジュディマリのボーカルとしてのイメージが再びつくのは好ましくないと感じている、といったニュアンスの発言をTAKUYAがしています。
最近では、1999年のCharaとYUKIによるユニット「Chara+YUKI(チャラユキ)」が20年ぶりに復活するなど、ファンを驚かせてくれたYUKI。
過去を振り返らない性格とも言われる彼女ですが、もし再結成されることがあれば大きな話題となることは間違いありません。淡い期待を持ちながら、いつかのサプライズを待ちたいと思います。

chara + yuki「愛の火 3つ オレンジ」
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