ルパン三世『ルパンVS複製人間』(山田康雄、吉川惣司監督)の魅力とみどころを徹底的に解体する!おすすめの場面を一挙ご紹介!~

ルパン三世『ルパンVS複製人間』(山田康雄、吉川惣司監督)の魅力とみどころを徹底的に解体する!おすすめの場面を一挙ご紹介!~

『ルパン三世』劇場映画化第1作目を記念した本作で、「ルパン」を語る上では決して外されない王道を行く最大傑作です。 これ1本を見れば『ルパン』の醍醐味すべてを見たような、そんな見応え十分の一作です。今回は本作の魅力を出来るだけ細かく解体し、誰にでも伝わるその魅力と脚色・技術について、じっくりお伝えしたいと思います。 本作の魅力は奇妙・トラウマ・幻想・ノスタルジック・ロマンスといった感動と斬新さを与えるもので、まさに無敵を冠するその脚色・演出効果は、未だ他のどの作にも破られていない「奇才の一作」として残っていることでしょう。


【『ルパンVS複製人間』の魅力!7】:幻想的な宇宙への旅

本作には「宇宙」を想わす壮大さがあり、それは本筋に運ばれる〝現実的な社会〟との遮断により「人間社会」がおもむろに表現されているようにも見えます。

頼りない人間の生命力が「不老不死」によって神になるという、非現実的な表層が織りなすロマンが圧巻です。

ラストシーンでは、マモーのオリジナルである〝巨大なブレイン〟が地球を立ち、太陽に向かってゆっくり自滅していきます。

このシーンでは「人類にはどうしても限界がある」

という切実な事実を諭されている気分にもなるでしょう。

この他にも、まだまだ語り尽くせないほど本作の魅力はあります。

ぜひこの感動は「自分の目と感覚」で憶えてみて下さい。

次章からは、「感動のみどころの数々」を7つ、厳選してお伝えしていきます。
ぜひ最後までおつき合い下さい。
それでは・・・

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!1】:マモー邸でのできごと

ルパンは不二子に「賢者の石」を奪われた後、不二子がマモー邸にいることを知ってすぐ邸に向かいます。

そこでルパンは、「幻想的な風景」を見ます。

そこには古代に生きた偉人・もう死んで居ないはずの人たちが、ウヨウヨ蠢いていたのです。

「ことによるってぇと…」

と半ば不安がりながらついにマモーの元へ辿り着きます。

ここまでの場面がなんとも奇妙なのです。

マモー邸でのなんとも不思議な寂寥の漂う密室的空間…。

まるで「行き当たり」のない無限回廊のような虚無が漂ってきます。

足場がなくなるような、ほの暗い幻想の世界に迷い込んだようです。
そして洗脳されたようなフリンチが番人としてそこへ現れます。
フリンチはルパンを殺そうと執拗に追いかけてきます。

この展開直前に見られた、「女の子が無言でジャンジャラ(車輪を棒で回して走る遊び)をするシーン」、この演出が見事なのです。女の子の影だけが映り、その辺りに漂う虚無感・喪失感が壮絶です。

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!2】:不二子がルパンを求めて砂漠を歩くシーン

不二子は「マモーに捕まって、その部下から手ひどい仕打ちに遭った…」と被害者を装いルパンに近づきます。これはわざとルパンをマモー邸に誘い込むためです。

そこでマモーからルパンも不二子も永遠の命をもらい、マモーとともに〝永遠〟を生きる計画がありました。

砂漠を当てもないようにさまよう不二子の様子と、その周りの黄色い砂漠の背景が、異常に寂寥感を感じさせます。

ギラギラと照りつけて太陽ですが、それすら「作られた光」のようで、〝繰り返しのパターン〟を恐怖に変えて植え込まれるような印象が感じられます。

さらにこのシーンで流れるBGMも哀愁が漂い、なんとも言えない寂しさが映えるサラウンドになります。

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!3】:砂漠での不二子とルパンの空間

砂漠を延々さまよった不二子はルパンに見つけられます。

それからいつも通りにルパン一家と合流。

そのとき「アジトを教えたのは不二子に違いねぇ!」と怒る次元と五エ門は、不二子をそれでも許そうとするルパンと一度別れます。

そして不二子とルパンは一夜の宿を借り、砂漠にあった最寄りのバラック小屋に入ります。

ここでの不二子とルパンのやり取りは、唯一ほっこりさせられる場面でしょう。

「ごめんね、ルパン」

と結局不二子に騙されるルパンですが、それまでの経過が面白い。

それまでに不二子はルパンに熱すぎる料理を食べさせたり、次元と五エ門が去ったことですねるルパンを慰めたり、不二子の優しさも垣間見られます。

なんだかこのシーンは「リアルな恋人同士の会話」が見えて楽しいです。

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!4】:夢を見ないルパン

ルパンはマモーから「永遠の命をともに生きようではないか?」と誘われますが、それを断固拒否します。

「実に残念だよ、君のその超現実的な発想がね…」

とのマモーはルパンの勧誘を諦め、ルパンの殺そうと企みます。

その際、ルパンの思考回路を暴き出そうと試みます(実験材料のため)。

しかし、スクリーンには何も映らない。

砂嵐のようなものだけが現れ、ルパンが夢を見ないことが証明されます。

この場面、マモーが唯一、本ストーリーで声を荒げます。正確に何に驚いてそうなったのかわかりませんが、「ルパンは夢を見ない!!!なぜだ!!?」というような極限の驚きを示すマモーがなんだか印象的です。

この場面を何度も吟味して、〝何を主張しているのか?〟を探求してみるのも面白いかも知れませんね。

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!5】:部屋のトリック

マモーがルパン一家を追いつめて、コロンビアでの大地震を引き起こす直前の場面でのこと。

マモーによって、ルパン、次元、五エ門、不二子の4人は、自分たちのネグラ(アジトの1つ)で休憩していたとき、部屋がまるで宇宙空間に放り出され、そこでマモーによる数々のスライドを見せられる「部屋のトリック」にかかります。

夢のような恐怖が伝わり、「幻か…?」と少しパニックになった次元に対しルパンは、

「ちょっと待て、ははぁーん…わずかだが、家具を動かした跡があるぜぇ?ほーらこんなトコにも、ポッカリ穴まで開いてらぁ」

と、さっきのマモーによる「部屋のトリック」を見破ります。

そしてその直後、安心しようとするルパンたちを裏切るように、ゆ~~っくりとマモーが窓の外に出現します(これもトラウマになるカットでしょう)。

そこで不二子はマモーと一緒に空の彼方へ消えていきます。不二子を奪われ、なおも非力を直面させられたようなルパンはそのマモーに、渾身の意地をぶつけて絶叫。

「お前が本当に神なら、今すぐ地震でも起こしてみろってんだよ!」

それを聞き届けたマモーは、

「よかろう!…思い知るがよい!」

というセリフを残し、その直後に大地震を起こします。

この場面ではなんとも「ルパン一家に残された無力」が浮き立ちます。

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!6】:マモーの体が燃え上がる

地震の脅威を知ってルパンはマモーのアジトに乗り込みます。そこには〝無数の核ミサイル〟が造られていました。

まるで近代的な科学設備が施された〝未来型の施設〟には、ほとんどの物を溶かせるレーザー照射・殺人装置などがあります。

ルパンは何とかマモーに近づくため、ある策を思いつき、核ミサイル打ち上げを中止させ、不二子を連れてそこから脱出しようと試みます。

マモーは、ルパンが近づこうとする際、レーザー照射で迎撃します。

しかしルパンは、ちょうど(ストーリー途中で)拾っていたポケットの中の斬鉄剣の破片を手に持ち、その破片の表面にレーザーを反射させて逆にマモーを焼いてしまいます。

結局マモーは、自分が作った装置によって滅んでしまいます。

このときの、「不二…子…」というマモーのセリフが、なんとも演出が上手く、最後の最後に「愛する人(不二子)を求めようとする人の姿」に見取れてしまうでしょうか。マモーのこれまで不二子を思う本気度が伝わります。

ぜひこのシーンを堪能して下さい。「自分ならこのマモーをどう見るか」を体感してみるのも一興でしょう。

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!7】:巨大な脳が宇宙を旅する

マモーのオリジナルは、巨大な脳でした。

幾つもの人工知能を組み合わせたような、宇宙耐久用のカプセルに入った巨大な脳が、これまで動いていたマモー体を操っていたのです。

つまり、それまで動いていたマモーの姿は「コピー」となります。

ルパンはようやく不二子の元に辿り着き、この巨大な「脳」であるマモー本体に対決します。

マモーは不二子を連れていくことを諦めて、そのまま「脳」の状態で地球を離れ、宇宙空間へ旅立っていきます。
しかしそのカプセルの表面には、それまでに(次元と別れたバーで)作った「ささやかな武器」(強力な時限爆弾)を貼りつけられてあるので、宇宙空間でマモーは爆発します

結果、マモーは脳だけをもって空間をさまよいます。
そしてその脳がゆっくり向かう先は、太陽。
マモーの本体である巨大な脳は、その場面でエンドロールに入ります。

(ルパン)「マモー、感謝しな。やっと死ねたんだ」

マモーの宿命に対して言うルパンのセリフにも、どこか暖かみを含ませながらも残酷な響きを合わせています。

マモーの本体(巨大な脳)の姿が、自滅に向けて歩いていく人間の姿と重なり、底知れぬほどの哀しさと虚無、そして新たな〝旅立ち〟のようなものを演出します。
何とも言えない設定の歪みや理想の叶え方が微妙で、幾つもの〝人間的な感情〟が、宇宙という巨大な闇の彼方へ吸い込まれていくようです。

【解説とみどころ】

本作は一般的なイチ押し作品として挙げられやすく、ルパン・シリーズの中で最高傑作とされる1品です(劇場映画版の中で)。

これを超える作品は未だにないともされており、またおそらく現代では「美術の巧み・設定と構想・幻想性・脚色の神秘性」を超えられないだろうとも言われてます。

その景色はまるで白昼夢を観ているような、日常ではよほどに得難いシュルレアリスムを余程に演出している特徴的な技法が見られます。

視聴者にはおそらく〝柔い繰り返しパターン〟を演出されているような、どれだけ味わっても味わい尽せない〝大きな虚無性〟すら感じられるでしょう。

静止画像に見る不思議な生命力を感じ、無気味さ加減を程よく底なしにするような、〝足場のない浮遊感〟さえ生まれてきます。

本作でもぜひ観てほしいのは、「マモー邸を走る女の子の影が現われたとき、わざと一瞬〝静止フィルム〟として演出させたシーン」です。

これによってさらに郷愁感を浮き立ち、視聴者にとっては「自分の思い出」を見ているような、不思議な遠近の表出さえ感じさせられるでしょう。

本作『ルパン三世VS複製人間』はそのストーリーはもとより、それを彩る美術的空間や設定の幻想性と郷愁感、加えてトラウマすら与えられる複合性が、他作の枠から1歩確立させて彩る〝絶妙傑作〟を生んでいるのでしょう。

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