ルパン三世『ルパンVS複製人間』(山田康雄、吉川惣司監督)の魅力とみどころを徹底的に解体する!おすすめの場面を一挙ご紹介!~

ルパン三世『ルパンVS複製人間』(山田康雄、吉川惣司監督)の魅力とみどころを徹底的に解体する!おすすめの場面を一挙ご紹介!~

『ルパン三世』劇場映画化第1作目を記念した本作で、「ルパン」を語る上では決して外されない王道を行く最大傑作です。 これ1本を見れば『ルパン』の醍醐味すべてを見たような、そんな見応え十分の一作です。今回は本作の魅力を出来るだけ細かく解体し、誰にでも伝わるその魅力と脚色・技術について、じっくりお伝えしたいと思います。 本作の魅力は奇妙・トラウマ・幻想・ノスタルジック・ロマンスといった感動と斬新さを与えるもので、まさに無敵を冠するその脚色・演出効果は、未だ他のどの作にも破られていない「奇才の一作」として残っていることでしょう。


〈概要〉

1978年12月16日に公開された本作は、モンキー・パンチ原作アニメとしては劇場映画第1作になります。

作品タイトルは『ルパン三世』ですが、ビデオソフト化の際に以後の劇場作品と区別するため、『ルパンVS複製人間』という副題があらためて付けられました。

全国ネットで放送された『ルパン三世・TV第2シリーズ』の高視聴率を受け、製作費5億円をかけて製作された超大作です。

ルパン三世と謎の人物マモーとの「賢者の石」を巡る争奪戦が描かれ、世界初の長編アニメビジョンであるとともに、通常より大判のセル画が用いられています。
キャラクターデザインは椛島義夫によって新たに描き起こされました。

1989年から始まったテレビスペシャルの初期4作(『ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発!』から『ルパン三世 ロシアより愛をこめて』まで)のキャラクターデザインは本作をイメージしています。

クローン技術をテーマにしたSF作品は当時の流行に即したものであり、細胞分裂の限界(テロメア参照)などクローンに関する知見を盛り込む一方、実際のクローン技術では組成不可能な「複製人間」を登場させています。

配給収入は9億1500万円で1979年公開の日本映画としては9位にランクイン。キネマ旬報ベスト・テンでは26位でした。

【メイン・ゲストの登場人物】

●マモー/声:西村晃
不二子に賢者の石を渡すよう依頼した謎の怪人物。表向きでは世界一の謎の大富豪。子供ほどのような低い頭身で、不気味な姿をしている。

●スタッキー/声:大平透
アメリカ合衆国大統領特別補佐官(実在するポスト)で、次元曰く「世界で一番偉え男を操っている、おっちゃん」。米国へのマモーの脅迫に対し、極秘裏に対応を進めていた。

●ゴードン/声:柴田秀勝
スタッキーの部下。スタッキーと共に次元、五エ門を取り調べた。

●フリンチ/声:飯塚昭三
マモーの手下で、用心棒をしている大男。

―レギュラー陣の声優キャスト―

●ルパン三世/山田康雄/ボブ・バーゲン(英語版)
●峰不二子/増山江威子/パトリシア・小林(英語版)
●次元大介/小林清志/エリック・マイヤー(英語版)
●石川五エ門/井上真樹夫/カーク・ソーントン(英語版)
●銭形警部/納谷悟朗/デヴィッド・ポーヴァル(英語版)

【1分でわかるあらすじ】

静まり返った異国の地で、「ルパンが死んだ」という報を受けた銭形警部は、いつものようにICPOの特権を生かし、辺境の地にあるルパンのアジトに飛び込んだ。

そこで銭形が見たのはルパンの死体。

「お前が死ぬはずがない!」と泣きながら銭形の耳には「ルパンの美声」がふと聞えてくる…。

「相変わらず殺気立ってんなぁ、とっつあん?」

飄々としたルパンの声。

とたんに銭形の表情は一変し、いつもの追い駆けゴッコ。そのままルパンは逃げてしまう。

一方、マモーという富豪が、合衆国(ステイツ)を揺るがす取り引きを吹っかけていた。合衆国はむろん要求を呑まない。

マモーはある計画を立てながら、不二子とともに「賢者の石」と呼ばれる〝人を永遠に生かせる複製のキーアイテム〟を求め、人類の運命を変えようとしていた。

合衆国大統領のスタッキーはじめ部下のゴードンやフリンチは、ようやくマモーと接触を持ったルパン一家をマークし始め、次元大介・五エ門を確保し、ルパンの行き先を聴き出そうとする。

やがてマモーは不二子と2人だけの〝永遠の楽園〟を築こうと暗躍し始める。

ルパンはやがてマモーのアジトを割り出し、一対一の決闘をする。

けれど、超人的な能力に対抗することができず、大きな力の差を見せつけられたまま、ついに屈服してしまいそうになってしまう。

ルパン三世 ルパンVS複製人間 - Wikipedia

製作費5億円「ルパン三世VS複製人間」を10倍楽しく観る豆知識【我が名はマモー】 - NAVER まとめ

【『ルパンVS複製人間』の魅力!1】:冒頭からコピーとオリジナル!?

本作のメインは「コピーとオリジナル」の点に終始しており、その冒頭から識別不可能なID工作が重みを増してきます。

本作は「ルパンが死んだ場面」から始まりますが、そのルパンの生死さえ曖昧にさせられる点が、まず「つかみ所のない魅力」になっています。

ストーリーの最後まで、「生き残った方のルパンがコピーかオリジナルなのか」が判りません。結末では、複製(クローン)に関する神秘的な響きを醸し出します。

視聴者側に「コピーとオリジナル」の区別がつかないままの悶々としたわだかまりが残るのは、本作ならではの妙味となるでしょう。

【『ルパンVS複製人間』の魅力!2】:とっても静かな展開

本作は冒頭からまるで「静止画」を見せられているような、かなり静寂のシーンが連鎖してきます。

一見「モンタージュ」を見せられているような感覚を得させられ、その〝妙な静けさ〟はとても奇妙を醸し立てます。

その特殊な「静けさ」というものはまるで『first tv』に見られた大人の感覚すら表現してくるでしょう。
この引き込まれ方が最高にシュールで魅力的!

本作に見られる〝場面・行間ごとを読ませる特有のセンス〟は実に秀逸で、きっと「奇妙なノスタルジー」を想わせてくる不思議な彩りに感じられるでしょう。

【『ルパンVS複製人間』の魅力!3】:孤立した空間の魅力

本作の大きな魅力は、ルパン・次元・マモーの立ち位置に見られる個別の活気や生気です。

何気に淋しい場面が連続する本作ですが、その場面ごとの各キャラクターの躍動と存在感がその「1人の空間」を彩ります。

その空間はストーリーの要所に散りばめられていますが、どの場面においても各キャラクターは「自分の空間」を作り上げます。

その場面の1つ1つがストーリー全体を盛り上げ、視聴者側(観る側)にも「その場面に向き合わせ、そのキャラクターの生気に浸透する陶酔のような不思議を与えてくれます。

その〝1対1で作品とつき合わせる底抜けの爽快感〟をぜひご覧ください。この魅力の点も大きな魅力です。

【『ルパンVS複製人間』の魅力!4】:淋しい世界でのノスタルジー性

本作を観る上で欠かせない空間が要所に表れる静止画です。

絵グラや微妙な演出が功を奏し、その場面に釘づけになるような「トラウマ的な魅力」が満載なのです。

ルパンや次元が対峙しているそれぞれの場面でも、この〝静止画〟の演出が奇妙に成り立ちます。

その微細の躍動感をまたストーリーの輪にかけるように広げられる聡明な運びが、観ている人には壮大なスケールを与えてくるでしょう。

ストーリー後半に出てくる、「ルパンがマモー邸に忍び込むシーン」の秀逸さは見事!

おそらくこの『ルパンVS複製人間』のクライマックスと言ってよい程の幻想と神秘が入り混じった場面に相違ありません。

奇妙にも、そこに「昔に知ったノスタルジー」がひらひらと注ぎ込まれます。

【『ルパンVS複製人間』の魅力!5】:場面は必要以上に描かれない

本作では、主にマモーが理想とする「永遠の世界」が描いかれますが、本筋として残される表層には「マモーの突飛な理想が決して実現しない」というさも現実的な観点が根強く残ります。

絶対向き合わない「パラレルワールド」を請け負いながら、まるで幻想小説を読んでいるかのような脚色を成立させます。

この点です。この点の「2つの世界が何なく浮き掘られる様子」をご堪能下さい。

劇場版『ルパン』の前後作には決して観られなかった高次レベルの作法があります。

テレビシリーズの『ルパン』でもこのような〝行間を読ませる手法〟が幾重にも並んで表れています。

【『ルパンVS複製人間』の魅力!6】:冷徹な寂寥感

冒頭から最後まで、本作に彩られる各場面の調子は〝青白い淡い脚色〟で描かれていきます。

昼間の繁華街を歩く次元の姿さえも、なんとなく不幸な出来事を想わせる予兆を匂わせます。

とくに以下のシーンが見ものでしょう。

・ルパンのアジトの1つが不二子によって壊滅させられたシーン
・マモーが催眠にかかった不二子を抱きかかえて空へ消えていくシーン
・ルパンと次元がボロボロに崩れたバーで別れを交わすシーン

これらのシーンでは、誰か大切な人に抱きつきたくなるような、無性の寂寥が身を打ちます。

この寂寥に酔わせてくれる本作ならではの調子を堪能下さい!

哀愁という言葉じゃ表現できない、実にノスタルジックな痛快を感じさせる演出力が、従来の『ルパン』に彩られた〝永遠のロマン〟を写し出します…。

【『ルパンVS複製人間』の魅力!7】:幻想的な宇宙への旅

本作には「宇宙」を想わす壮大さがあり、それは本筋に運ばれる〝現実的な社会〟との遮断により「人間社会」がおもむろに表現されているようにも見えます。

頼りない人間の生命力が「不老不死」によって神になるという、非現実的な表層が織りなすロマンが圧巻です。

ラストシーンでは、マモーのオリジナルである〝巨大なブレイン〟が地球を立ち、太陽に向かってゆっくり自滅していきます。

このシーンでは「人類にはどうしても限界がある」

という切実な事実を諭されている気分にもなるでしょう。

この他にも、まだまだ語り尽くせないほど本作の魅力はあります。

ぜひこの感動は「自分の目と感覚」で憶えてみて下さい。

次章からは、「感動のみどころの数々」を7つ、厳選してお伝えしていきます。
ぜひ最後までおつき合い下さい。
それでは・・・

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!1】:マモー邸でのできごと

ルパンは不二子に「賢者の石」を奪われた後、不二子がマモー邸にいることを知ってすぐ邸に向かいます。

そこでルパンは、「幻想的な風景」を見ます。

そこには古代に生きた偉人・もう死んで居ないはずの人たちが、ウヨウヨ蠢いていたのです。

「ことによるってぇと…」

と半ば不安がりながらついにマモーの元へ辿り着きます。

ここまでの場面がなんとも奇妙なのです。

マモー邸でのなんとも不思議な寂寥の漂う密室的空間…。

まるで「行き当たり」のない無限回廊のような虚無が漂ってきます。

足場がなくなるような、ほの暗い幻想の世界に迷い込んだようです。
そして洗脳されたようなフリンチが番人としてそこへ現れます。
フリンチはルパンを殺そうと執拗に追いかけてきます。

この展開直前に見られた、「女の子が無言でジャンジャラ(車輪を棒で回して走る遊び)をするシーン」、この演出が見事なのです。女の子の影だけが映り、その辺りに漂う虚無感・喪失感が壮絶です。

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!2】:不二子がルパンを求めて砂漠を歩くシーン

不二子は「マモーに捕まって、その部下から手ひどい仕打ちに遭った…」と被害者を装いルパンに近づきます。これはわざとルパンをマモー邸に誘い込むためです。

そこでマモーからルパンも不二子も永遠の命をもらい、マモーとともに〝永遠〟を生きる計画がありました。

砂漠を当てもないようにさまよう不二子の様子と、その周りの黄色い砂漠の背景が、異常に寂寥感を感じさせます。

ギラギラと照りつけて太陽ですが、それすら「作られた光」のようで、〝繰り返しのパターン〟を恐怖に変えて植え込まれるような印象が感じられます。

さらにこのシーンで流れるBGMも哀愁が漂い、なんとも言えない寂しさが映えるサラウンドになります。

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!3】:砂漠での不二子とルパンの空間

砂漠を延々さまよった不二子はルパンに見つけられます。

それからいつも通りにルパン一家と合流。

そのとき「アジトを教えたのは不二子に違いねぇ!」と怒る次元と五エ門は、不二子をそれでも許そうとするルパンと一度別れます。

そして不二子とルパンは一夜の宿を借り、砂漠にあった最寄りのバラック小屋に入ります。

ここでの不二子とルパンのやり取りは、唯一ほっこりさせられる場面でしょう。

「ごめんね、ルパン」

と結局不二子に騙されるルパンですが、それまでの経過が面白い。

それまでに不二子はルパンに熱すぎる料理を食べさせたり、次元と五エ門が去ったことですねるルパンを慰めたり、不二子の優しさも垣間見られます。

なんだかこのシーンは「リアルな恋人同士の会話」が見えて楽しいです。

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!4】:夢を見ないルパン

ルパンはマモーから「永遠の命をともに生きようではないか?」と誘われますが、それを断固拒否します。

「実に残念だよ、君のその超現実的な発想がね…」

とのマモーはルパンの勧誘を諦め、ルパンの殺そうと企みます。

その際、ルパンの思考回路を暴き出そうと試みます(実験材料のため)。

しかし、スクリーンには何も映らない。

砂嵐のようなものだけが現れ、ルパンが夢を見ないことが証明されます。

この場面、マモーが唯一、本ストーリーで声を荒げます。正確に何に驚いてそうなったのかわかりませんが、「ルパンは夢を見ない!!!なぜだ!!?」というような極限の驚きを示すマモーがなんだか印象的です。

この場面を何度も吟味して、〝何を主張しているのか?〟を探求してみるのも面白いかも知れませんね。

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!5】:部屋のトリック

マモーがルパン一家を追いつめて、コロンビアでの大地震を引き起こす直前の場面でのこと。

マモーによって、ルパン、次元、五エ門、不二子の4人は、自分たちのネグラ(アジトの1つ)で休憩していたとき、部屋がまるで宇宙空間に放り出され、そこでマモーによる数々のスライドを見せられる「部屋のトリック」にかかります。

夢のような恐怖が伝わり、「幻か…?」と少しパニックになった次元に対しルパンは、

「ちょっと待て、ははぁーん…わずかだが、家具を動かした跡があるぜぇ?ほーらこんなトコにも、ポッカリ穴まで開いてらぁ」

と、さっきのマモーによる「部屋のトリック」を見破ります。

そしてその直後、安心しようとするルパンたちを裏切るように、ゆ~~っくりとマモーが窓の外に出現します(これもトラウマになるカットでしょう)。

そこで不二子はマモーと一緒に空の彼方へ消えていきます。不二子を奪われ、なおも非力を直面させられたようなルパンはそのマモーに、渾身の意地をぶつけて絶叫。

「お前が本当に神なら、今すぐ地震でも起こしてみろってんだよ!」

それを聞き届けたマモーは、

「よかろう!…思い知るがよい!」

というセリフを残し、その直後に大地震を起こします。

この場面ではなんとも「ルパン一家に残された無力」が浮き立ちます。

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!6】:マモーの体が燃え上がる

地震の脅威を知ってルパンはマモーのアジトに乗り込みます。そこには〝無数の核ミサイル〟が造られていました。

まるで近代的な科学設備が施された〝未来型の施設〟には、ほとんどの物を溶かせるレーザー照射・殺人装置などがあります。

ルパンは何とかマモーに近づくため、ある策を思いつき、核ミサイル打ち上げを中止させ、不二子を連れてそこから脱出しようと試みます。

マモーは、ルパンが近づこうとする際、レーザー照射で迎撃します。

しかしルパンは、ちょうど(ストーリー途中で)拾っていたポケットの中の斬鉄剣の破片を手に持ち、その破片の表面にレーザーを反射させて逆にマモーを焼いてしまいます。

結局マモーは、自分が作った装置によって滅んでしまいます。

このときの、「不二…子…」というマモーのセリフが、なんとも演出が上手く、最後の最後に「愛する人(不二子)を求めようとする人の姿」に見取れてしまうでしょうか。マモーのこれまで不二子を思う本気度が伝わります。

ぜひこのシーンを堪能して下さい。「自分ならこのマモーをどう見るか」を体感してみるのも一興でしょう。

【『ルパン三世VS複製人間』みどころ!7】:巨大な脳が宇宙を旅する

マモーのオリジナルは、巨大な脳でした。

幾つもの人工知能を組み合わせたような、宇宙耐久用のカプセルに入った巨大な脳が、これまで動いていたマモー体を操っていたのです。

つまり、それまで動いていたマモーの姿は「コピー」となります。

ルパンはようやく不二子の元に辿り着き、この巨大な「脳」であるマモー本体に対決します。

マモーは不二子を連れていくことを諦めて、そのまま「脳」の状態で地球を離れ、宇宙空間へ旅立っていきます。
しかしそのカプセルの表面には、それまでに(次元と別れたバーで)作った「ささやかな武器」(強力な時限爆弾)を貼りつけられてあるので、宇宙空間でマモーは爆発します

結果、マモーは脳だけをもって空間をさまよいます。
そしてその脳がゆっくり向かう先は、太陽。
マモーの本体である巨大な脳は、その場面でエンドロールに入ります。

(ルパン)「マモー、感謝しな。やっと死ねたんだ」

マモーの宿命に対して言うルパンのセリフにも、どこか暖かみを含ませながらも残酷な響きを合わせています。

マモーの本体(巨大な脳)の姿が、自滅に向けて歩いていく人間の姿と重なり、底知れぬほどの哀しさと虚無、そして新たな〝旅立ち〟のようなものを演出します。
何とも言えない設定の歪みや理想の叶え方が微妙で、幾つもの〝人間的な感情〟が、宇宙という巨大な闇の彼方へ吸い込まれていくようです。

【解説とみどころ】

本作は一般的なイチ押し作品として挙げられやすく、ルパン・シリーズの中で最高傑作とされる1品です(劇場映画版の中で)。

これを超える作品は未だにないともされており、またおそらく現代では「美術の巧み・設定と構想・幻想性・脚色の神秘性」を超えられないだろうとも言われてます。

その景色はまるで白昼夢を観ているような、日常ではよほどに得難いシュルレアリスムを余程に演出している特徴的な技法が見られます。

視聴者にはおそらく〝柔い繰り返しパターン〟を演出されているような、どれだけ味わっても味わい尽せない〝大きな虚無性〟すら感じられるでしょう。

静止画像に見る不思議な生命力を感じ、無気味さ加減を程よく底なしにするような、〝足場のない浮遊感〟さえ生まれてきます。

本作でもぜひ観てほしいのは、「マモー邸を走る女の子の影が現われたとき、わざと一瞬〝静止フィルム〟として演出させたシーン」です。

これによってさらに郷愁感を浮き立ち、視聴者にとっては「自分の思い出」を見ているような、不思議な遠近の表出さえ感じさせられるでしょう。

本作『ルパン三世VS複製人間』はそのストーリーはもとより、それを彩る美術的空間や設定の幻想性と郷愁感、加えてトラウマすら与えられる複合性が、他作の枠から1歩確立させて彩る〝絶妙傑作〟を生んでいるのでしょう。

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