「ファミリートレーナー アスレチックワールド」とは?

「ファミリートレーナー アスレチックワールド」は1986年にバンダイから発売された、ファミリーコンピューターのソフトです。ファミコンが発売されてから約3年。まだまだ子どもも大人も夢中で、どんどん新しいソフトが誕生していた頃です。
この「ファミリートレーナー アスレチックワールド」はその中でも画期的なソフトでした。ファミコンといえば手持ちのコントローラーで遊ぶものだった時代に、ファミコンにつないだマット状のコントローラーで人が実際に動いて遊ぶというまったく新しいスタイルで登場したからです。
ゲーム内容は、横スクロールの様々なアスレチックを制限時間内にクリアしていくというもの。年齢や性別に合わせた制限時間が設定されていましたが、この年齢別の基準は1983年の文部科学省(旧・文部省)がまとめた「体力・運動能力調査」データが使用されていたそうです。
ステージは以上の5つ。「ビギナーモード」と「エキスパートモード」があり、「エキスパートモード」になるとフィールドに動物が現れ邪魔されてすっ転びます。クリア時間によって瞬発力、敏捷性、持久力、柔軟性、集中力が採点され、それぞれ1〜10級のランク認定がされました。
「ファミリートレーナー アスレチックワールド」は不発だった?
私がこの「ファミリートレーナー アスレチックワールド」で遊んだのは友人の家でした。そもそも「ファミコンを繋ぐとテレビが壊れる」という謎すぎる都市伝説を親が信じており、ファミコンを買ってもらえない家庭だったのでファミコンにかなり憧れていました。
そんな環境だったので、この「ファミリートレーナー」を持っていた友人の事は相当羨ましかったのを覚えています。
友達と遊ぶとめちゃくちゃ盛り上がりました。かなり楽しかった記憶があります。足だけでなく手も使うのでおかしな態勢になるのも面白く、自分の思った通りにキャラクターが動かないのすらおかしくて笑いっぱなしでしたね。
そんな「ファミリートレーナー アスレチックワールド」ですが、そういえば持っていた友人は一人だけでしたし、実際あまりヒットしなかったそうです。こんなに画期的で面白いのに、なぜ?と思いますよね。
その理由はまず「当時の住宅環境」にあります。今ほど防音に力が入っていなかった昭和の住宅。このゲームで遊ぶという事は家の中でジャンプしたりその場で走ったりする訳ですから、相当ご近所迷惑な騒音がします。この頃はマンションというよりアパートや団地の家庭が圧倒的に多かったですから、このゲームは限られた家庭向けでした。
もう一つの理由は「バグの多さ」。そもそもファミコン自体がデリケートなものでした。ちょっとぶつけたら画面が飛ぶ、接触が悪くてバグる、ソフトも読み込まなくてしょっちゅうフーフーしましたよね。
そんなファミコンがファミリートレーナーのとんだり跳ねたりする振動に耐えられる訳がありません。発想は良かったのですが、そもそもファミコンとの相性は良くなかったのでした。
それでも筋肉痛になるほど楽しさは抜群!
売り上げとしては不発に終わってしまった「ファミリートレーナー アスレチックワールド」ですが、楽しさは抜群でした。実際のプレイ動画がこちら!
ご覧の通り、丸太を渡ったりいかだに乗って流されたりとかなりの運動量です。筋肉痛になるレベルで激しく動き回るので、外で遊ばない運動不足の現代っ子にこそ必要なゲームかもしれませんね。
「ファミリートレーナー アスレチックワールド」が発売された翌月には「ランニングスタジアム」が発売され、それ以降も続々と専用ソフトが登場しました。1987年には以下のソフトが発売されています。
ものすごくコンスタントに発売されてません!?本当に不発だったのか疑わしくなるくらいですが、最終的にファミリートレーナー専用のソフトは合計10本も国内では発売されました。
当時「足だとうるさいから手で叩く」という裏技(?)も流行ったそうで、どうにかして遊びたいという人は多かったのでしょうね。環境さえ整っていればもっとヒットしていたのは間違いありません。時代が早過ぎました。個人的には手持ちのコントローラーでも遊べるようになっていたらまた違ったのではないかと思います。
ファミリートレーナーはWiiで復活!大ヒット!

その後20年の時を経て、任天堂Wiiでファミリートレーナーは復活します。この時は時代が追いついたのか、全世界で販売数100万本を突破する大人気ソフトとなりました。体を動かして遊ぶのはやっぱりいつの時代も楽しいものです。