【Dの食卓】とは
『Dの食卓』(でぃーのしょくたく、略称:D食)は、1995年4月に発売された3DOのゲームソフトであり、後にセガサターンやプレイステーションにも移植されました。
マルチメディアグランプリ'95通商産業大臣賞を受賞し、全世界で100万本を販売したとされており、当時ゲーム業界では珍しかった3DCGで「映画」を意識した演出を行った画期的な作品でした。
開発中のタイトルは「トランシルバニア」であり、海外のゲームエーカーであるペンギンソフトウェア社のアドベンチャーゲーム『トランシルバニア』から強い影響を受けている作品です。
3DO版

ストーリー
舞台は1997年、LAダウンタウンの病院。
そこの院長を務める主人公の父親が、突如凶変して患者やスタッフを射殺し立て籠もるという事件が発生します。
それを受けて主人公ローラが父親の説得の為に病院に出向くのですが、そこで異次元の世界に引きずり込まれ、謎の古城に辿り着きます。
そこで待ち受ける謎とは・・・

ゲームシステム
当時の画期的なポリゴンによる画面となっており、基本的に一人称で進行していきます。
「インタラクティブ・シネマ」と呼ばれるカメラワークで、イベントが発生すると臨場感がありました。
ただ、現在当たり前となっているリアルタイムCGではなく、ムービーシーンと静止画が交互に使われていました。その為移動できるポイントと見られる向きは完全に決まっていました。
ヒントを与えてくれるものや先に進む為の様々なアイテムがありました。中でも母親の形見の「コンパクト」には助けられた方が多かったのではないでしょうか?
制限時間はリアルタイムで二時間となっていて、途中での自主的なセーブも出来ない様になっていました。このシステムには泣かされた方も多かった筈です。
セガサターン版とプレイステーション版の違い
ゲーム雑誌の評価を見てみても、大きな違いは無かった様子が見受けられます。
一部気になったのは、プレイステーション版の方が「個人的には対鉄仮面戦がサターン版よりシビアな気がした」というレビューがあったことです。
多少の違いがあったのかもしれませんね。
セガサターン版

こもればなし
当初3DOで発売された『Dの食卓』ですが、ゲーム中に登場する「玉虫イベント」の表現が当時としては非常に過激だったと言われています。
その為、発売禁止になるのを恐れて該当するイベントを削除したバージョンを「完成版」として関係者に配布し、実際に製品化する際に秘密裏に同イベントが入ったバージョンに差し替え発売されました。
ユーザーとしては大変嬉しい話しですが、よく通ったなぁと思いました。制作側にそれだけこの作品にかける熱意があった証拠でもありますね。
プレイステーション版

【Dの食卓】 ムービー
1995年にこの3DCGの画面を見た時には、度肝を抜かされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
クリエイター達のこの当時出来る限りを尽くしたこだわりが伝わってくる内容でした。
まるで映画を観ている様な感覚だったのを覚えています。
特にOPムービーのインパクトは素晴らしかったですよね!
【Dの食卓2】
『Dの食卓』続編と呼ばれていたこの作品ですが、内容はほぼ変わっており、世界観が継承されていたと表現した方が良いかもしれません。
もともとは3DOの後継機として発表された3DO M2のキラータイトルとして供給されるはずであったのですが、3DO M2が販売中止となりドリームキャストでの発売となりました。
ランダムに落ちてくる雪など、素晴らしいグラフィックであったにもかかわらず、処理落ちしないといった当時最高峰の出来栄えだったと考えられます。

ゲームディレクター 飯野賢治

『Dの食卓』をはじめ、画面表示一切無しで音だけでプレイするゲーム『リアルサウンド〜風のリグレット〜』など話題作を世に残した飯野賢治さんでしたが、2013年に高血圧性心不全のため東京都内の自宅で亡くなりました。享年42。
【Dの食卓】を振り返ってみて
発売当初は世界最高峰のゲームだったのではないでしょうか?
後にバイオハザードなどに続くCGゲームの草分け的なゲームだったと思います。
ゲーム性、世界観、ストーリー、どれをとっても繊細な作品でした。
この繊細さは間違いなく飯野賢治さんの持ち味だったと思います。
『Dの食卓』が後のゲームに大きな影響を与えたことで、今のリアルタイムのゲームがあるのではないかと考えると、もう一度プレイしてみる価値があるかもしれませんね。
素晴らしい作品でした!