橋本治
1977年の第29回小説現代新人賞において佳作を受賞したのが、橋本治の「桃尻娘」です。1977年といえばパンク元年として知られていますが、橋本治が小説家としてデビューした年でもあるんですね。

桃尻娘
橋本治といえば、東大在学中に駒場祭のポスターに書いた「とめてくれるなおっかさん 背中の銀杏が泣いている 男東大どこへ行く」というコピーで有名ですね。
勿論、多くの著作があり、そちらが本業、そちらが有名なわけですが、そんな中でも「桃尻娘」は一味違います。瑞々しと言うか何というか、やはりパンクの年にふさわしい青春小説といえます。
竹田かほり
小説が話題となったことで映画化の話が持ち上がります。主役の榊原玲奈(さかきばられな)役として白羽の矢が立ったのが、デビュー間もない竹田かほりです。
前年の「ピラニア軍団 ダボシャツの天」に次いでの映画出演ですが、今回は主役ですからね。気合も入ろうというものです。
ところで、女優のイメージが強い竹田かほりですが、実は歌手としてのデビューの方が先なんですよ。

竹田かほり
デビュー曲は1975年11月に発売された「うわのそら c/w おもちゃ箱なんて欲しくない」です。当時、竹田かほりは17歳。かわいいですね。
桃尻娘(ピンク・ヒップ・ガール)
桃尻娘と書いてピンク・ヒップ・ガールと読みます。桃尻ですが、ピーチ・ヒップではありません。ピンク・ヒップです。お間違えのないように。
と言うことで、映画「桃尻娘」は1978年4月29日に公開されました。

桃尻娘(ピンク・ヒップ・ガール)
いかにも同じクラスにいそうな女の子と言う感じの竹田かほりは適役ですが、その親友役の亜湖がまたバッチリはまり役です。
「桃尻娘」において竹田かほりの演技力うんぬんを言うのは見当違いでしょう。普通の女の子が普通に演じている。そこがいいんです。それだけでいい。それ以上はいらない。つっぱってはいても、まだあどけない笑顔に癒されます。
ロマンポルノではありますが、出演者は片桐夕子、岸部シロー、内田裕也となかなか豪華。橋本治もちょい役で特別出演しています。
桃尻娘 ラブアタック~プロポーズ大作戦
第2弾は一年後の1979年4月28日に公開された「桃尻娘 ラブアタック」です。「ラブアタック」というのは、横山ノック、上岡龍太郎の司会で1975年11月2日から1984年10月14日まで放送されていたゲーム形式の恋愛バラエティ番組です。大人気でしたからね、便乗したということでしょう。

桃尻娘 ラブ アタック
原作は「桃尻娘」の後、「その後の仁義なき桃尻娘」、「帰って来た桃尻娘」、「無花果少年と瓜売小僧」、「無花果少年と桃尻娘」、「雨の温州蜜柑姫」と1990年9月まで続きます。息が長いですね。映画の方はと言いますと、「桃尻娘 ラブアタック」の後に1980年4月26日に公開された「桃尻娘 プロポーズ大作戦」で竹田かほり主演のものは最後となります。

桃尻娘 プロポーズ大作戦
このシリーズ、徐々に竹田かほりのヌードはなくなっていき、その筋のファンはガッカリしていくのですが、明るいお色気は彼女の持ち味となります。
その後の印象に残る作品と言えば、松田優作主演のテレビドラマ「探偵物語」でしょう。ナンシー・チェニーと共にマスコット的な役割をはたし人気を得ました。
その他の桃尻娘
「桃尻娘」は1986年に相築彰子を主演としてフジテレビの「木曜ドラマストリート」の枠で2話制作されました。
2月27日に「桃尻娘」が、8月28日には「帰ってきた桃尻娘」が放送されています。
このテレビ版の素晴らしいところは、出演者や演出が自然であるというところも魅力なのですが、オープニングで使われたスリー・ドッグ・ナイトの「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」をはじめ、ビートルズ「ミスター・ムーンライト」、シェール「悲しきジプシー」、エルトン・ジョン「ユア・ソング」、ビーチボーイズ「踊ろよベイビー」、ジェファーソン・エアプレイン「あなただけを」といった洋楽がオリジナルのまま使われていたことです!それでけでも楽しめます。
1996年には再び日活に戻ってビデオドラマ「桃尻娘〜コギャルの法則〜」が制作されました。

桃尻娘〜コギャルの法則〜
現在のところ「桃尻娘〜コギャルの法則〜」が最後となります。魅力的な女の子を発掘して、また新たに制作してくれないものかと思いますが、現在の女子高生の実態は原作とは大きく離れてしまっていますからねぇ。原作そのままでは無理がありますかねぇ。
しかし、魅力的なテーマですから新作を期待せずにはいられません!