スケバン
女番長と書いて「スケバン」。はじめてスケバンという言葉が使われたのは1971年10月27日に公開された東映映画「女番長ブルース 牝蜂の逆襲」で、助監督、脚本を担当した皆川隆之の造語とされています。
そしてスケバンのイメージを決定づけたのは池玲子と杉本美樹のご両人。

杉本美樹vs池玲子
70年代、この2人のおかげで世の青少年たちは怖いお姉さんも色っぽいのだということを知ることになるのです。と同時に、怖いお姉さんとはすぐにエッチが出来るという間違ったイメージをインプットしてしまい、痛い思いをすることにもなります。
女番長ブルース 牝蜂の逆襲
先述しましたように、スケバンという言葉を世に知らしめた記念すべき作品。それが「女番長ブルース 牝蜂の逆襲」です。「女番長」という言葉は以前からありましたが、そのまま「おんなばんちょう」と読んでいたんです。スケバンのスケは「スケコマシ」のスケからとられたのだそうですよ。

女番長ブルース 牝蜂の逆襲
但し、ポスターではまだ「スケバン」ではなく「すけばん」と平仮名表記ですね。
しかし、なんと言っても読み方の違いもさることながら、他の女番長ものの作品との大きな違いは「バイカー映画」となっているところです。
そして、山城新伍が出演していることからも分かるように、お笑いの要素も取り入れているのはポイント高いです。
う~ん、当時歌手として人気だったピーターこと池畑慎之介が今観ると新鮮ですねぇ。
そして問題のオートバイセックスです。狂気。そう言い切って問題ないでしょう。なかには自分も「やってみたい」、そう思う方もおられるかと思いますが、冷静になってもう一度考え直すことをお勧めします。
池玲子
「女番長ブルース 牝蜂の逆襲」の主役を務めたのは池玲子です。池玲子といえば、ポルノ女優第一号として傑作「温泉みみず芸者」で主演デビューしたあの池玲子です。
巨乳を惜しげもなく披露するという初のトップレス番長として若者を魅了しました。
監督も「温泉みみず芸者」の鈴木則文で、「女番長ブルース 牝蜂の逆襲」が大ヒットしたこともあり監督、主演ともにそのままで2作目の「女番長ブルース 牝蜂の挑戦」が制作されます。

女番長ブルース 牝蜂の挑戦
池玲子、カッコイイですよね。このポスターからでも魅力が十分に伝わってきます。カーセックスはもう古い、これからはオートバイセックスだと言われたら、誰だって思わず「はい、お願いします」と即答してしまいますとも。
2作目もヒットしたことで女番長といえば池玲子のイメージが定着したのですが、なんと池玲子、女優を辞めて清純派歌手になることを決意します。ポルノ女優から脱却したかったのでしょう。実際、歌手になってしまうんですね。
女番長ゲリラ
池玲子が歌手になってしまったことで、シリーズ3作目の主役は、それまで脇役だった杉本美樹が演じることになります。昇格といっていいでしょう。

女番長ゲリラ
シリーズ3作目の「女番長ゲリラ」。出演者を見て「おやっ」と思われた方もいるかと思います。そうです。脱ポルノ宣言をして歌手となった池玲子の名があります。
実は池玲子、歌手としての活動に限界を感じ早くも復帰したんですね。その為に、「女番長ゲリラ」は池玲子と杉本美樹のダブルキャストになったという次第です。
杉本美樹
シリーズ4作目の「女番長」、5作目の「女番長 感化院脱走」の主役はめでたく杉本美樹が務めています。どうしても2番手ということで池玲子に比べると印象が薄い感じの杉本美樹ですが、女番長シリーズではもっとも多く出演してるんです。
4作目の「女番長」も良いのですが、中島貞夫監督によるスピード感あふれる演出とも相まって5作目の「女番長 感化院脱走」はカッコイイです。

女番長 感化院脱走
そのカッコよさは、現在でもTシャツが販売されていることからも伺えますね。「残念ながらオジサンには着る勇気はありません」と思わずに、ぜひトライして頂きたい!
池玲子が不在だった間、1972年の8月公開「温泉スッポン芸者」、9月公開「女番長ゲリラ」、10月公開「恐怖女子高校 女暴力教室」と3月連続で主演を演じるなど絶好調だった杉本美樹ですが、ポルノに拒否反応を示し1973年の「女番長 感化院脱走」以降東映を離れていくことになります。
叶優子
杉本美樹が去り、6作目「女番長 玉突き遊び」では3人目の女番長、叶優子が登場します。

女番長 玉突き遊び
本作は関本郁夫の監督デビュー作です。女番長シリーズを手掛ける前に既に実績があった鈴木則文監督、中島貞夫監督と比較されるのを避けるために新人の叶優子が起用されたという背景があります。
つまり東映は女優よりも監督を育てることに重きを置いたと。「女番長 玉突き遊び」とはそんな作品なんですね。
しかし、叶優子。悪くないですよ。キレイです。
ところが、あろうことか撮影中に叶優子は骨折してしまいます。で、「女番長 玉突き遊び」は公開延期となり、その穴を埋める「女番長 タイマン勝負」がシリーズ6作目として公開されることになります。
主役を務めたのは、なんと、あの池玲子です。
女番長 タイマン勝負
女番長シリーズは7作作られました。「女番長 玉突き遊び」が公開延期となり最終作となるわけですが、実質的には「女番長 タイマン勝負」が最終作といえますね。その主役が池玲子というのは因縁深いといいますか、まさに宿命の女。そう言うしかありません。

女番長 タイマン勝負
南沙織のような清純歌手になりたかったという池玲子。好みによるとは思いますが、南沙織に十分対抗できる美しさですよね。
「女番長シリーズ」は、池玲子に始まり池玲子に終わる。70年代の宿命の女、池玲子。カッコイイです。