竹内力と並ぶ"Vシネマの帝王"にして、ミドルエッジ世代にとっても人生のセンパイとして無条件で尊敬出来る男。それが今回紹介する名優、哀川翔だ。

著書『ブレずに生きれば道は拓ける! 一翔両断!!』
ブレずに生きれば道は拓ける! 一翔両断!! (単行本) | 哀川 翔 |本 | 通販 | Amazon
頼れるアニキ、そして良き父親のイメージがありながら、芸能界入り前に数々の武勇伝を残している、哀川翔。更にクワガタの飼育やラリードライバーなど、自身の趣味の分野でも才能を発揮している彼の生き方こそ、正にミドルエッジ世代の男にとっての憧れと言えるだろう。
伝説の男、哀川翔とは

著書『俺、不良品。』
俺、不良品。 (竹書房文庫) | 哀川 翔 |本 | 通販 | Amazon
我々ミドルエッジ世代にとっては、やはり"劇男一世風靡"の選抜メンバーで結成された、"一世風靡セピア"の一員としてデビューした時の印象が強い、哀川翔。その後は、長渕剛主演のテレビドラマ『とんぼ』の常吉役で役者としても注目され、1989年の"一世風靡セピア"解散後に主演した東映Vシネマの傑作、『ネオちんぴら鉄砲玉ぴゅ~』で、役者としての地位を確かなものとし、遂に"Vシネマの帝王"の称号を得るまでになった。その自由で男気あふれるキャラクターから、バラエティー番組への出演も多い哀川翔だけに、芸能界入り以前の破天荒な人生や数々のエピソードも、そうした番組の中で断片的に語られて来た。
だが、芸能界に入る前に様々な伝説を残しているだけに、その全貌を掴むことは中々に難しい。
幸い、今回取り上げる伝記マンガ『実録・哀川翔』には、その誕生から現在まで彼の波乱に富んだ人生の全てが、一冊にまとまって収録されており、ファンにとっては正に彼の人生を知るための最良の資料となっている。
今回の伝記マンガ紹介を読まれて、彼の人生についてもっと深く知りたい!と思われた方は、以下のリンクからどうぞ。
哀川翔 - Wikipedia
哀川翔オフィシャルサイト |
『実録・哀川翔物語』概略

『実録・哀川翔物語』コミックス表紙
前回紹介した『シルベスター・スタローン物語』と同じシリーズとして刊行された、この『実録・哀川翔物語』。哀川翔の主演作『ゼブラーマン~ゼブラシティの逆襲』の公開に合わせて、2010年に発行されたこの伝記マンガは、通常は重版されないことが多いコンビニ・コミックスの世界において、何と増刷されるほどの大人気!熱狂的なファンを持つ哀川翔だけに、ファンにとってもそれだけ彼の人生についての興味が強かったという証明なのだが、果たして、彼の壮絶な人生とはいったいどんなものだったのか?
『実録・哀川翔物語』内容紹介

本作の扉絵

五人の子供の父親で愛妻家。哀川翔の壮絶な人生とは?
冒頭で触れた通り、"Vシネマの帝王"として年間最多12本のVシネマに出演した記録を持つ、哀川翔。遂に2004年には主演作品100本記念として『ゼブラーマン』が製作されるなど、今や自身の地位を不動の物とした彼の歩んで来た人生とは?

ヘリコプターの墜落事故で父が帰らぬ人に・・・。
昭和42年、海上自衛隊のパイロットだった父親が操縦するヘリコプターと、自衛隊の哨戒機が空中衝突し海上に墜落。父親は帰らぬ人となってしまった。この時、哀川翔の母親は三人目の子供を妊娠中で、しかも予定日の10日前だったため、遺体の確認には当時5歳の哀川翔が行くことに・・・。

柔道に明け暮れた中学生時代を経て高校へ!

専門学校入学のため、鹿児島から東京へ!
既に小学生時代からケンカを始めた哀川翔。中学時代に所属した柔道部での過酷な練習が、彼に強靭な肉体と根性をもたらし、高校時代の器械体操部での練習が、後の一世風靡セピアでの華麗なパフォーマンスへと繋がることになる。
だが、体育大学への推薦入学用願書を出し忘れてしまったことで、哀川翔は専門学校に入学するために、単身鹿児島から上京を果たすのだった。この運命のいたずらが無ければ、後の"Vシネマの帝王"は誕生しなかったに違いない。

芸能界入り前の意外な職業とは?
これはかなり有名な話だが、実は芸能界入りの前、19才の頃から雑誌『ポップティーン』のライターとして活躍していた、哀川翔。
専門学校卒業後もこのバイトを続け、当時の月収は何と40万円近くあったというから驚きだ。

遂に一世風靡セピアとしてデビュー!
この後、"劇男一世風靡"に参加し、渋谷NHKホール前の広場で路上パフォーマンスを披露することになる、哀川翔。当時の社会を巻き込む大ブームとなり、遂に観客が5000人を超える大記録を達成!
そして、上京からわずか3年目の昭和59年4月、遂にあの"一世風靡セピア"のメンバーとして芸能界にデビューすることになるのだった。

実名で登場する有名俳優たち!
実は本作中には、当時の哀川翔と交流があったり、運命的な出逢いをした芸能人が実名で登場する。中でも強烈なのが、上京したての哀川翔がボコボコにした少年ヤクザ軍団のリーダーが、後に名脇役となる中野英雄(当時16才!)だったというエピソードだろう。
その他にも、木村一八がよくヤクザにからまれたという話や、公美夫人との出逢いのエピソードなど、本人に取材した内容を元に描かれた本作の資料的価値は、非常に高いと言える。

1989年、一世風靡セピア解散・・・。
昭和63年に出演した長渕剛主演のテレビドラマ『とんぼ』での演技が高い評価を得て、俳優としても注目され始めた哀川翔。それと前後するようにして、一世風靡セピアは解散することになる。哀川翔自身は歌手としての活動を望んでいたのだが、世間は俳優としての哀川翔を求めていたのだった。
その後、公美夫人と結婚した哀川翔は、Vシネマやドラマに映画など役者として大活躍!遂に主演100本目を記念して『ゼブラーマン』が製作されることとなった。

哀川翔の人生哲学とは?

ミドルエッジ世代の心に刺さる、哀川翔のメッセージ!
「社会に出た後は無敵=敵を作らない方がいい」「死ぬまで現役でいたいよ」など、正にミドルエッジ世代にとっての金言名言が飛び出す、本作エンディングでの哀川翔へのインタビュー部分。
本作を読んだ上でこの言葉を聞くと、幼くして父を亡くし自身も波乱万丈の青春時代を送った哀川翔だからこそ辿り着いた、人生の真理であることが良く分かる。これからも生涯現役を貫いて、変わらず活躍し続けてくれることを願って止まない。
最後に
いかがでしたか?
まさか、芸能界入りまでにこれほどの修羅場をくぐって来たとは!これだけの人生経験を積んだからこそ、現在の哀川翔が誕生したと分かる内容の本作こそ、正にミドルエッジ世代必読の男の教科書と言えるだろう。
残念ながらコンビニ・コミックスの性質上、古書店や市場に出ることが少ないため、入手するにはブックオフのコンビニ・コミックスのコーナーを定期的に探すか、ヤフオクで検索するのが効果的だと思われる。
今回の記事で興味を持たれた方や、哀川翔ファンの方には是非読んで頂きたい作品なので、全力でオススメします!