『ガンプラり歩き旅』その75 ~1986年に既に存在していた“リゲルグ”という名の「究極の『アタリ』のゲルググ」~

『ガンプラり歩き旅』その75 ~1986年に既に存在していた“リゲルグ”という名の「究極の『アタリ』のゲルググ」~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、メカ単位での紹介をする大好評連載。 新展開では『機動戦士Zガンダム』(1985年)『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)まで、旧キットから最新のHGUCまで、商品の発売順に、再現画像と共に網羅紹介していこうという趣向になっております!


もっとも、2018年の今であれば、KPSや多彩なポリボールジョイントなどを使って、蛇腹がありのゲルググの肩を1/144サイズで再現することも簡単なのだろうが、あろうことかこのゲルググキャノンは、1983年というガンプラ初期の段階で、その蛇腹を逆に活かして、2軸の(プラ素材だが)可動軸を仕込むことで、肩が蛇腹部分と、上腕付け根部分の2か所で開き、さらに蛇腹付け根でしっかり回転し、さらに肩アーマーが(リゲルグの場合は肩バインダーが)独立して動くという、驚異のギミックを仕込むことに成功してしまった。その恩恵で、このキットでは両肩が、左右に水平以上に上げられるHGUCレベルに達している。

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バインダー内部も作り込まれていて、スラスターバーニアが並べられていて情報量がここだけ落ちるということもない

やはりバンダイも、当初の1/144 ゲルググの出来の酷さとユーザーからの酷評に、相当反省をしていたのだろう。
下半身等は、足首も膝も平均的な可動に収まっているのだが、肩の可動に関してだけ、異常なほどに拘りと進化の跡が見受けられるのだ。
また、今でこそアニメロボットの常識でもある「関節部分だけが装甲と違うパーツ」という概念は、絵的には『ガンダム』でも、既にガンキャノンや、ゲルググの膝などでその表現が始まっていたが、このキットでは肘関節部分も別パーツ化(しかも細かいモールド入りで)することで、上腕ロールを可能にしている。

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開脚は、今の目で見ると優秀ではないが、この時期のハンマ・ハンマやR・ジャジャの流れで見ると及第点である

多分おそらく、1983年当時、1/144 ゲルググキャノンは、1/144 ゲルググへのリベンジとして開発されたのだろうし、そのリベンジは見事に果たされていると言ってもよかった。
しかし、ゲルググキャノンの場合、バックパックが交換可能だったザクマインレイヤーとは違い、頭部のデザインが元のゲルググからはアレンジ変更されているため、バックパックを外しただけでは、ちゃんとした「1/144 ゲルググ」にはなりはしなかった。
また武装も、ビーム・ナギナタのパーツは入っていたが、長距離支援用として開発されたキャノンの設定があるため、元のゲルググが手にしていたビーム・ライフルのパーツは入っていなかった。
要するに、どこまで行ってもこのキットは、あくまでゲルググキャノンであり、バックパックを外しても、「ライフルを持っていない、顔の違うゲルググ」以上にはならなかったというのが当時の現実であり。
だからだろうか、ゲルググキャノンの素晴らしすぎるリベンジは、当時あまり話題にならず、ザクマインレイヤーやフルアーマーガンダムほどには、アニメ版ガンプラオンリーファンの手には届かなかった。

それから3年。
『ガンダムZZ』で要所をリファインされて、ゲルググキャノンはリゲルグとして再生された。
リゲルグは、ゲルググキャノンとは違って、顔は元のゲルググそのままである。
アニメ設定的にゲルググと違うところは、肩の大型バインダーとバックパックの他は、その頭部と、前腕に付くミサイルランチャー、あとはビーム・サーベルとビーム・ライフルが当時なりの最新型にデザインリファインされていたぐらいか。

そしてこのキットは、元のゲルググキャノンのランナーを全て残してあるので、元のゲルググ用の肩アーマーも、前腕の追加パーツも残されている。
その上で、新たに追加された「ゲルググそのままの頭部」これが何を意味するか?

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おそらく歴代キットの中で、もっとも優秀で出来の良い「ゲルググの頭部」モノアイスリットが別パーツなのもポイントが高い

少しわき道にそれるが、ここでこの、リゲルグの頭部の出来の素晴らしさにも触れておかなければなるまい。
このゲルググ頭部(正確にはリゲルグ頭部)、80年代のキットでありながら、首が回転だけではなく、上下に稼働するほか、「顔のパーツ分割が、元のデザインの装甲分割に沿っているので、合わせ目消しがいらない」「顔のモノアイレールが内蔵パーツで、頭部前面にモノアイスリットが空いている」という、まさにイマドキのHGUC仕様そのままを、30年前にやってのけた、恐るべきキットであった。

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その上、まるでイマドキのHGUCキットのように、頭部は回転するだけではなく、上下可動も可能になっている。この頭部と、ゲルググキャノン用パーツの肩を組み合わせれば……?

話を戻そう。
先ほども書いたが、この「1/144 リゲルグ」での新規追加ランナーは一枚。
先ほども書いたが、リゲルグのビーム・ライフルは、時代性に合せて新型の物がアニメ劇中で使用されている。
しかし、「リゲルグ用の新規追加パーツランナー」になぜか、「旧『ガンダム』でゲルググが使用していたビーム・ライフル」のパーツが入っており、むしろなぜかリゲルグ用のビーム・ライフルパーツが入っていない。「これ」は何を意味するのか?

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オプション。ここで紹介するのは「あえて」ビーム・サーベルだけ。理由は本文を参照

名探偵、皆を集めて「さて」と言い。
さて、皆さん。お分かりの方ももういらっしゃるでしょう。
ゲルググは、もともとバックパックがなかったモビル・スーツ。
そしてゲルググキャノンのランナーには、ゲルググ用の腕アーマーと肩アーマーとビーム・ナギナタがあるが、顔が違っていてライフルがない。
一方、リゲルグのキットには、リゲルグとしての「ゲルググと同じ顔」が入っていて、なぜか「リゲルグのものではない、ゲルググのライフル」が新規追加されている。
ここまで書けば、皆さんももうお判りでしょう。
そう、このキットは、表向きは「ゲルググキャノンの金型を流用したリゲルグのキットで、購入者は好きな方を組み立てられます」ですが、パーツ単位で取捨選択をすることで、実は「三つめの完成形」として「完璧な1/144 ゲルググ」を作ることが可能な、1/144 ゲルググVer.2」キットなのです!

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サーベルを構えたリゲルグ。今年ようやく発売が決まったHGUC版リゲルグには正式デザイン版ビーム・ライフルが付属する

……などとハッタリを効かせるほどでもない話なのかもしれないが。
結果として「リゲルグとしては」専用ライフルがないという、なんとも痛し痒しな仕様にはなっているが、おそらく、肘や膝や足首の可動範囲等の時代性を汲む前提があれば、むしろHGUC版よりは、このキットを「第三の完成形」として組んだゲルググの方が、最初の『ガンダム』に登場したゲルググのイメージに近い、という人が多かったとしても不思議はない。
実際、筆者が再現画像のためにこのキットを購入して作り上げた直後に、バンダイは長らく放置してあったHGUC ゲルググの金型を流用して「HGUC リゲルグ」の発売(2018年7月 2100円)をアナウンスした(ただしプレバン限定品)。
しかも、HGUCゲルググの致命傷だった「ライフルや関節等ことごとくABS」を、しれっとなかったことにするかのように、素材をKPSに変えて出しなおした。
ある意味「ちゃんと塗装してHGUC ゲルググを完成させたい人」向けですらあるHGUC版リゲルグ(しかし、シールドやナギナタは用意されていないという、中途半端な……)。

これがガルバルディβやバイアランであれば、苦渋の選択でHGUCの発売を待ち、総合会スケジュールに遅れが出ても、満を持す方向で『ガンダムを読む!』のガンプラ選びは進行しているのだが、このリゲルグについては、出番の少なさ、旧キットの出来の良さと志の高さ、HGUC版ゲルググの残念さ加減を総合的に見て、旧キットを使用することにした。

ガンプラ歴史の影に埋もれてしまったが「アタリのゲルググ」は「ここ」にあったのだと言い切っても良いと思う。

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バックパックのデザインは、『Zガンダム』のハイザック同様、MSVの流れを受け継いでいると言ってもよいだろう

その他、このキットでの特徴をいくつか。
まず、手首はこの時期から90年代中盤まで主流になる「親指だけが固定で、人差し指とその他の指が別個に動く可動指」が採用されている。
詳細はもう少し調べないとなんとも言えないが、ガンプラの1/144ではおそらく、『ガンダムZZ』の、この時期のキットから始まった仕様であると思われる。
もっとも、あくまでこのキットをゲルググとして組みたい人で、可動指手首のメカっぽさに違和感がある人向けに、このキットはゲルググキャノンのパーツを全て残してあるので、そこに付属してくる拳や平手を使うのもアリだろう。
また、リゲルグとゲルググの違いとしては、リアスカートの中のバーニアが、ゲルググやゲルググキャノンは3基だが、リゲルグは5基なので、そこは間違えてはいけない。
肩の可動は、上でも書いた驚愕の自在さを誇るが、肘や膝の曲がり角度はあまり大きくない。

しかし、バーニアが全て大きさを変えて別パーツになっていたり、モノアイがシールではなく、水転写デカールであったりと、スケールモデルテイストに溢れた懐かしい意味で評価が高くなる好キットではある。

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オプションや肘関節の可動範囲で、似たようなポーズしかとれないが、ライフルがあれば「化ける」素材なので、誰かHGUC版からライフルだけこちらに持たせてみてはどうか

本来は、時間があればと、HGUCゲルググに、肩のバインダーとバックパックと、腕のランチャーを移植するという、webでは定番の「なんちゃってHGUCリゲルグ」に挑戦してみようかと思っていたのだが、むしろ時間に追われてキットの素組になって、初めてこのキットのポテンシャルの高さに触れられて僥倖であった(ここ富野台詞調)。


もっとも、関節や可動軸はポリキャップが使われていないので、手にして動かしている分にはよいが、ポーズを付けていざ撮影しようと思うと、関節の保持力が(金型劣化のためか)ほぼ皆無なので、イメージ画像撮影では悩まされた。
余計なお世話かもしれないが、「究極の1/144 ゲルググ」をワンオフで作りたい上級モデラーであれば、HGUC版リゲルグをベースに悪戦苦闘するよりも、こちらを選んで、関節をポリキャップやボールジョイントに置き換えたり、可動範囲を広げる加工をしてみる方が、面白いし出来がよくなるのかもしれない。

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2000年代のバンダイが「正解」と提示したHGUC版ゲルググ(右)との比較。あなたならどちらに軍配を上げる?

今回は成型色を活かして部分塗装。
基本的には、キットの色をベースに、指定どおりのマルーンとネイビーブルーで追加塗装していった流れになるのだが。
一つツッコミを入れるのであれば、Wikipediaでのリゲルグの項目で、その配色を「マルーンとネイビーブルー」と断言してある部分があり、ソースとしてこのキットの塗装指示書が提示されているのだが。
実際に塗装してみると分かるのだが、このキットの成型色は、ネイビーブルーはほぼ完璧にMrカラーのネイビーブルーそのままなのだが、赤の部分に関しては、マルーンを使うと少し色味の彩度が強すぎるのだ。
まぁ無粋な横やりはいれたくもないが、当たってるのか外れているのかも希薄な80年代のプラモの塗装指定を、Wikiで公式カラーリング言及してしまうのは、どうだろうかと思わざるを得ない・

また、実はこのリゲルグ。彩色見本画像とキットの塗装指示が、劇中の配色と異なっている。
アニメ本編では、襟元が本体と同じマルーンで塗られていて、バックパックのプロペラントタンクは逆にネービーブルーで塗られているので、それを大前提に細部塗装。

両肩バインダーの内側と、モノアイのレールは艶消し黒。
襟元や手首のレッドはマルーンで、スリッパや膝頭、バーニアなどはネービーブルーで、バーニアの内側はモンザレッドで、外側はファントムグレーでそれぞれ塗装。
ビームサーベルはイエローで、コクピットハッチはルマングリーンで、モノアイは付属デカールでそれぞれ彩った。

なにぶん昔のキットなので組立には苦しめられたが、第一期ブームピーク時のバンダイの、設計技術力の凄みのようなものも感じさせてくれる傑作キットであることは間違いないだろう。

市川大河公式サイト

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