【アーノルド・シュワルツェネッガー】~伝説のボディビルダー編~ボディビルダーとして世界最高峰のMr.オリンピアを6連覇を含む7度優勝!

【アーノルド・シュワルツェネッガー】~伝説のボディビルダー編~ボディビルダーとして世界最高峰のMr.オリンピアを6連覇を含む7度優勝!

アーノルド・シュワルツェネッガーは、オーストリアの片田舎で生まれ、あるきっかけからボディビルダーを志した。 例えば、アルコール中毒者は、たとえ深夜、たとえ雨が降っていても酒を買いに行く。 スポーツ選手も勝ったり、目標を達成する喜びが忘れられず必死に練習している。 その欲望が強かれば強いほど、たくさんの努力ができるというわけである。 アーノルド・シュワルツェネッガーも目標を達成するためになんでもやった。 ボディビルダーとして世界最高峰のMr.オリンピアを6連覇を含む7度優勝。 間違いなく史上最強のボディビルダーの1人だが、そのプロセスは欲望丸出しで、非常にシンプルな肉食系男である。


20世紀に入るとアメリカやイギリスでボディビル大会が開催されるようになる。
1939年には第1回Mr.アメリカ大会が行われた。
カリフォルニア州ベニス市のサンタモニカ桟橋の南にあるベニスビーチは通称:マッスルビーチと呼ばれ、たくさんの人がここに集まり読書や食事、そしてトレーニングを行う。
第2次世界大戦中、マッスルビーチ周辺は海外の戦地に行く兵隊の宿舎だったので、訓練やトレーニングをしていた場所だった。
マッスルコンテストが、マッスルビーチの屋外トレーニングジムの近くで、5月の最終日曜日のメモリアルデー戦没将兵追悼記念日、7月4日の独立記念日、9月第一月曜日のレイバー・デーの年3回開催された。
それは
男子ボディビル部門
女子ボディビル部門
マスターズ(35歳以上)ボディビル部門、
フィジック部門(男)
フィギュア部門(女)
ビキニ部門(女)
に分かれてビーチに似合う体を競うカリフォルニア最大級のアマチュアコンテストである。
1965年、マッスルビーチにゴールドジム第1号店がオープンし、アメリカのフィットネスのメッカとなっていった。

しかしボディビルは偏見にさらされやすいスポーツである。
「脳ミソ空っぽ」
「脳筋」
「露出狂」
「ナルシスト」
「同性愛者が多い」
など今日でも誤解されることが多い。
特に女性がボディビルを行うことについては否定的な意見が多く、逆に女性ボディビルダーの人口が多さとその国の文化レベルは比例するといわれている。
日本においては、石井直方や小山裕史など元トップボディビルダーが、トップスポーツアスリートを含めてスポーツトレーニングを理論的にも実践的にも牽引していることからもボディビルディングというスポーツの実用性の高さを証明している。

ボディビルと薬物とのかかわりは他のスポーツよりも深く1960年代にはその洗礼を受けたといわれる。
その結果、
「ボディビルダーはみんなドーピングしている」
というイメージもある。
実際には薬物を使用するボディビルダーと一切薬物を使用しないナチュラルビルダーがいる。
通常、両者が同じコンテストに出場することはなく各々、専用のコンテストがある。
ボディビルに「健康美」をみたいのか、「怪物」のような肉体をみたいのか、意見が分かれるところである。
伝説のボディビルダーであるセルジオ・オリバは、薬物に否定的だった。
彼は生涯で1度ステロイドを使用し、確かに筋肉を得られたものの
「筋肉がつきすぎる(美しくない)」
という理由で使用をやめた。

熱中

アーノルドは学校が終わるとタールからグラーツ行きのバスに乗り損ねるとヒッチハイクしてジムに通った。
夜遅くなってバスがなくなってもトレーニングを途中でやめることはなく家まで6㎞歩いて帰った。
そのトレーニングは建物が壊れると思うくらい激しかった。
土日はジムは休みだったが、アーノルドが入門後まもなくジムの窓ガラスが割られていることにクルト・マーヌルは気づいた。
アーノルドが週末も練習したさに梯子を借りてきて壁をのぼって窓を割り侵入していた。
クルト・マーヌルは怒ったが、やがてアーノルドの熱意にほだされた。
アーノルドは寒い冬の夜もトレーニングし続け、凍ったシャフトを握っていた手の皮膚がはがれていたこともあった。
トレーニング中は誰が話しかけても応答しないが、ジムのムードメーカーでよく人を笑わせた。
アーノルドは、クルト・マーヌル以外にも、グラーツにいたサミー・アディア・サードやイギリス空軍にいたヘルムート・ナウアなど有名なボディビルダーにも積極的にコンタクトしアドバイスを受けた。
またグラーツの政治家:アルフレッド・ガーストルとも親しくなり彼の所有していたアパートをトレーニング用に提供してもらった。
アルフレッド・ガーストルはユダヤ人だったが、アーノルドは父親がナチス党員であるにも関わらずそのアパートでトレーニングした後、彼の家で食事をした。

自宅以外に楽しみを見つけたアーノルドは教会を離れた。
これは1981年にカトリック教徒であるケネディ家のマリア・シュライバーと結婚するかもしれないというときまで続いた。
アーノルドは精神的にも肉体的にも大きくなっていったが、父親と兄は小さくなっていった。
グスタフは酒に酔ってバスに乗って女性の乗客に迷惑をかける不祥事を起こしラーバ警察へ転勤させられた。
兄のマインハルトは親にいわずに学校を辞めて電子部品メーカに勤め出した。
しかしその後、職を転々とし、借金を重ねた末、グスタフに払ってもらった。
15歳のアーノルドは、ボディビルと将来の夢だけだった。
お金を得るためにグラーツの大工の見習いをはじめた。
月給は1年目は250シリング、2年目は700シリング、3年目は1000シリングだった。
そしてグラーツのシュタイヤーホテルで行われたボディビル大会に初出場し準優勝した。
アルフレッド・ガーストルはボディビルが青少年の非行防止に役立つと政治家仲間に呼びかけた。
またアルフレッド・ガーストルは、後にアーノルドがアメリカで国籍をとるとき、彼のために奔走することになる。

戦車好き

アーノルドはグラーツを出てドイツに行く計画をした。
ドイツのボディビル専門誌「アスレチックスポーツマン」の出版者:ベノ・ダーマンに手紙を書いた。
以前にもボディビルの技術について質問を送り返事をもらったことがあった。
しかし1965年10月1日、18歳のアーノルドはオーストリア陸軍に徴兵され1年間、兵役義務に就いた。
グスタフは息子がグラーツ近郊の駐屯地に配置されるよう、また戦車好きの息子が戦車の操縦ができるように頼み込んだ。
父親のコネでオーストリア陸軍は戦車の操縦資格の年齢を21歳から18歳へ下げた。
アーノルドは戦車の発砲時の反動にスリルを感じ、その威力に感動した。
ブレーキをかけ忘れて1台の戦車を川に突っ込ませたがなにもいわれなかった。
これまで週1回だけしか食べられなかったが軍隊では毎日肉を食べることができ、大量のタンパク質に肉体は反応し筋肉が発達した。


10月30日、ベノ・ダーマンの誘いでドイツのシュトゥットガルトで行われるジュニア・Mr.ヨーロッパ大会に出場し、アーノルドは優勝した。
このときアーノルドはベノ・ダーマンにドイツまでの交通費を出してもらった。
しかしオーストリアの選手たちは車で一緒にシュトゥットガルトまで行った。
なのにベノ・ダーマンが駅まで迎えにいくとアーノルドは駅から出てきたという。
自分が勝つためには手段を選ばない男である。
またアーノルドは、この大会で審査員をしていたブッチガーに出会った。
ドイツのミュンヘンにジムを持ち、「ヘラクレス」「スポーツジャーナル」「スポーツレビュー」の3誌を発行していたブッチガーに
「コーチにならないか」
と誘われたが
「考えさせてくれ」
と答えた。
アーノルドは軍に無断で大会に出ていたためグラーツも戻ると処罰が待っていた。
営倉に拘置され毛布1枚で石の床の上に寝さされて食べ物も十分にもらえなかった。
しかし優勝したことを知ると軍当局の態度は一転した。
食べ物はたらふく食べられ、ボディビルのトレーニングに励んでオーストリアに栄誉をもたらすようにと応援してくれるようになった。
グラーツではアーノルドは英雄扱いを受けた。
しかし18歳にもなってもガールフレンドが1人もいなかった。
父も兄もプレイボーイだったし、グラーツのボディビル仲間はダンスホールやディスコに‪通っていたがアーノルドはそういう場所に行ったことはなかった。
ボディビルがあればデートなど必要なかった。

俺は危険があるからといってひるまないよ

1966年3月、アーノルドは大きな大会で2度目の優勝を果たし「Mr.ドイツ」のタイトルを手に入れた。
親はプロになることは反対だった。
グラーツで普通の仕事をするか、陸軍に入って軍人になって趣味でボディビルをやればいいと思っていた。
しかしアーノルドは安全、安易、平均、安定を嫌い、危険を冒し挑戦することを好んだ。
「俺は他人と同じようになるのが嫌だった。
人より違った人間になりたかった
リーダーと呼ばれるトップに立つ少数の人間の仲間に入り、その他大勢の1人になりたくなかったんだ。
というのはリーダー格の人間というのは100%の自分の潜在能力を引き出すヤツだからだ」
「強さは勝つことから生まれない。
苦痛を乗り越えてこそ強くなれるのだから。
困難にぶつかっても途中であきらめないこと。
それが強さなんだ」
「とにかくトップになりたいと思わなければならない。
英雄を崇拝するだけで終わらないで俺だってなれると自分に言い聞かすんだ」
「誰にだって潜在能力はある。
その力を出すのは自分に対する誓いなんだ。」
「幸福は偶然やってこない。
どんな夢もなんらかの危険をはらんでいる
特に失敗という危険だ。
だけど俺は危険があるからといってひるまないよ
失敗という危険を冒してもやり直せばいんだから。
永久に失敗するということはない。
10回挑戦したら11回目には勝つ確率は初めての挑戦より高いはずだ」
そしてドイツのミュンヘンのブッチガーのジムで働き出した。

1966年8月1日、アーノルドはミュンヘンのシラー通り36番地にあるブッチガーのジムでトレーニングを開始。
最初はジムでは寝泊まりし、マネージャーやコーチ、そして掃除など雑用の仕事も行った。
そしてトレーニングは1日7時間にも及んだ。
ミュンヘンにきて2ヶ月もたたない9月末、イギリス、ロンドンのビクトリアパレスで行われたMr.ユニバース大会に出場し2位となった。
Mr.ユニバースは世界一のボディビルダーを選出する大会で、1950年にはジェームズ・ボンド・シリーズで有名なショーン・コネリーも出場したことがあった。
アーノルドの巨体に観客は総立ちで2度もアンコールした。

関連する投稿


『ターミネーター』『コマンドー』など代表作6作品!BS12 トゥエルビで夏のシュワルツェネッガー特集が放送決定!!

『ターミネーター』『コマンドー』など代表作6作品!BS12 トゥエルビで夏のシュワルツェネッガー特集が放送決定!!

全国無料放送のBS12 トゥエルビにて、アーノルド・シュワルツェネッガー主演6作品が放送されます。


映画「ターミネーター2」の1/6スケールフィギュア『T-800(バトルダメージ/2.0版)』が発売決定!!

映画「ターミネーター2」の1/6スケールフィギュア『T-800(バトルダメージ/2.0版)』が発売決定!!

ホットトイズジャパンが展開するホットトイズの最上位ブランド「ムービー・マスターピースDX(デラックス)」シリーズより、1991年公開の映画「ターミネーター2」のフィギュア『T-800(バトルダメージ/2.0版)』が発売されます。


『ターミネーター2』が8月23日より全国リバイバル上映!“審判の日”8月29日はオリジナルステッカーの限定配布を実施!!

『ターミネーター2』が8月23日より全国リバイバル上映!“審判の日”8月29日はオリジナルステッカーの限定配布を実施!!

国内最大級の映画・ドラマ・アニメのレビューサービス Filmarks(フィルマークス)主催のリバイバル上映プロジェクトにて、90年代名作上映「Filmarks 90’s」第8弾として映画『ターミネーター2』が8月23日(金)より2週間限定でリバイバル上映されます。


77歳の誕生日を迎えたアーノルド・シュワルツェネッガー!出演映画の満足度ランキングが発表される!注目の第1位は!?

77歳の誕生日を迎えたアーノルド・シュワルツェネッガー!出演映画の満足度ランキングが発表される!注目の第1位は!?

株式会社つみきが運営する国内最大級の映画やドラマ、アニメのレビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」が、サービス内のデータに基づいた「アーノルド・シュワルツェネッガー出演映画 満足度ランキング」を発表しました。


90年代名作上映「Filmarks 90’s」第8弾!SFアクションの最高傑作『ターミネーター2』が全国リバイバル上映!

90年代名作上映「Filmarks 90’s」第8弾!SFアクションの最高傑作『ターミネーター2』が全国リバイバル上映!

国内最大級の映画・ドラマ・アニメのレビューサービス Filmarks(フィルマークス)主催のリバイバル上映プロジェクトにて、『ターミネーター2』が8月23日(金)より2週間限定でリバイバル上映されることが決定しました。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。