【MEMORIES】とは

3部作からなるこの映画は、どれもテイストが違うタッチで描かれていました。
1995年に公開されたこの映画は、後進の漫画家やアニメーターに大きな影響を与えたのは間違いないと思われます。

【MEMORIES】の3部作について
【MEMORIES】は3部作からなり、それぞれ監督が異なります。3作の共通点は、全て大友克洋さんの監修であったことです。
どの作品も、その監督の作風が違うことで飽きずに観ることが出来たのを覚えています。
それではさっそく作品と監督を振り返ってみたいと思います。
『彼女の想いで Magnetic Rose』
あらすじ
舞台は2092年の宇宙空間であり、スペースデブリと呼ばれる使われなくなった宇宙のゴミなどを処理する4人が体験する、幻覚を帯びた出来事が描かれています。
現実と幻覚の狭間で、吸い込まれていく様に落ちていく乗組員達は、必死で抵抗するものの、最後は深みに嵌ってしまうというエンディングでした。

物語の内容として、個人的にはちょっと怖かった印象があります。
特筆すべきはその映像の素晴らしさでしょうか。
映像はほんとに素晴らしく、それこそ吸い込まれる様な描写だったのですが、内容は観ていてちょっと辛かった記憶があります。恐ろしかったです(>_<)
監督:森本晃司
『最臭兵器 Stink Bomb』
あらすじ
研究に従事していた西橋製薬研究員の田中信男は風邪をこじらせており、間違って偶然造られた強力な臭気を発生する物質を口にしてしまう。
強烈な臭気を吐き出す信夫は、自分が原因で周りの人達が倒れていくことに気がつかずにいるが、対策本部は信夫の殺害以外に止める方法は無いと結論付け、一旦捕獲を試みるが・・・
なかなか笑えるラストが用意されています。

この作品はコメディタッチで、なかなか面白かったです。
主人公の信夫が、原因は自分だと気がつかない中、周囲は戦車等の軍事力まで投入し、大騒動になってる描写がコミカルに描かれていました。
ラストの後が気になりますが、物語としてはあそこで終わって丁度良かったのかなぁと思いました(^^)/
監督:岡村天斎
『大砲の街 Cannon Fodder』
あらすじ
大砲を撃つためだけに作られた移動都市の一日と少年と家族の日常を描いた作品。
少年は砲撃手に憧れを抱いており、無邪気な子供といて描かれていました。その父親は日々繰り返される、目的も曖昧な砲弾を詰める作業を延々と繰り返しています。
そこには閉鎖的で夢も希望も無い現実があり、そんな日々を淡々と暮らす様子が描かれていました。

3作の中で、この『大砲の街 Cannon Fodder』が一番印象に残っています。
最も印象深かったのが、少年が毎朝敬礼をしている肖像画の砲撃手はスマートで凛々しく描かれていたのに対して、現実の砲撃手は醜悪で太った体型をしていたところでしょうか。くだらない芝居掛りの所作に重きを置いている様子など、よくある閉鎖的な軍事国家の様子が上手に描かれていました。やや空恐ろしくも感じる作品だったと思います。
監督:大友克洋
【MEMORIES】を振り返ってみて
この映画はどうしても忘れられない作品でした。
3作共に印象の残り方が違うんですよねぇ
1995年当時にこの映画を観た時は、面白かったという様な感動ではなく、著名な方の絵画を観に行った時の様な、自分の文化レベルが上がった様な感覚を覚えました。
そういった意味では、大友克洋さんは大変貴重な作品を世に残したと思っています。
これから育っていく未来のアニメーターに、是非観て頂きたい作品だと思いました。
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