『ガンプラり歩き旅』その64 ~番外編 輝く銀河を駆け抜けるダイターン3!(後)~

『ガンプラり歩き旅』その64 ~番外編 輝く銀河を駆け抜けるダイターン3!(後)~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。 今回は前後編で、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、アオシマ製プラモデル群から、『ガンダム』の富野由悠季監督の名作『無敵鋼人ダイターン3(1978年)の、当時のプラモデルや最新キットを紹介していきます!


世の為、人の為!メガノイドの野望を打ち砕くダイターン3! この日輪の輝きを恐れぬのなら、かかってこいっ!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回の番外編で紹介していくのは、シミルボンでもその流れで『無敵鋼人ダイターン3』の作品紹介をするので、そこで再現画像に登場させるダイターン3のアクションフィギュアキットを終着点として、変形形態のダイファイターやダイタンクに用いたアオシマのキットなども合わせ、2回に分けてダイターン3プラモを紹介していこうという趣向です。


アオシマ 合体ロボット ダイターン3 1981年5月 1000円

合体ロボット版ダイターン3のパッケージ

今回の『無敵鋼人ダイターン3』再現画像で、ダイファイターとダイタンクの再現を務めるのは、アオシマがガンプラブーム追従で、1981年頃に展開していた、放映終了後の富野ロボットアニメを含んだ「合体ロボット」シリーズのダイターン3を選択した。

今回の番外編で『ガンプラり歩き旅』その60 ~イデオン編・8 番外編の番外編! 瞳こらせよ、産卵の時! 人よ命よ、生首を見る! スペシャルデラックスイデオン~(リンク)』でも触れたが、この時期アオシマは、児童層向けの「おやこ合体」「ミニ合体」「ポケットパワー」シリーズなどでオリジナルロボットの合体プラモデルを展開しつつ、ティーンズ向けのアニメスケールを1981年2月から正式に展開し始める。アニメスケールは、ガンプラがバンダイのベストメカコレクションの一角を占めながらメインストリームになっていったように、アオシマのアニメスケールシリーズもイデプラ一色になっていくのではあるが、さらにハイティーンに向けたアオシマは、イデプラだけを独立させて1/600シリーズを立ち上げるのである。

それに対して、アニメスケール立ち上げとほぼ同時期に、アオシマは「合体ロボット」シリーズを立ち上げる。
「合体ロボット」シリーズは、アオシマが版権を持っているサンライズロボットや自社オリジナルのロボットを題材に、同じロボット素体を使った2種類の変形のギミック付きがそれぞれまず別個で700円で売られ、最終的にそれらを統合した決定版画1000円で売られるという手順を踏んだ(この手順の踏み方は、ポケットパワーシリーズを踏襲している)。

完成した合体ロボット版ダイターン3

『伝説巨神イデオン』(1980年)の「合体巨神」「機動合体」、『無敵超人ザンボット3』(1977年)の「無敵合体」「合体超人」に並ぶ、アオシマの「合体ロボット」シリーズのダイターン3は、発売系列はそれぞれの作品の放映順とは微妙に異なる。
まずは700円定価で、ダイタンクに変形する「重機合体」とダイファイターに変形する「戦闘合体」が、「奇跡合体」「合体巨神」のイデオンに続き、ザンボット3より早い1981年4月に発売され、それらを統合した「合体ロボット ダイターン3」がすぐさま翌月に1000円で発売された。
ここで重要なポイントとしては、あくまで筆者は今回『ダイターン3』の変形状態のメカに、この合体ロボットシリーズを使うが、それはイデオンで言えば、1/600シリーズ版ではなく「合体巨神」版であり、残念ながらダイターン3とザンボット3では、イデプラの1/600シリーズに該当するリアルアニメテイストのスケールモデル風カテゴリは設けられていなかったのである。

また、なんというか身も蓋もない話ではあるが、この商品は「合体ロボット」シリーズと冠されているが、後に同シリーズで発売される『トライダーG7』(1980年)同様、ダイターン3は、そもそも「変形」はしても「合体」しない(笑)
だが、そこはそれ、バンダイ(旧ポピー)の「超合金」と同じで、アオシマの「合体ロボット」とはあくまでシリーズのブランド名だという解釈が前提で可能である。

サイドビューとバックビュー

完成した合体ロボット版ダイターン3を見ると、イデオンやザンボット3と比較して、プロポーションが向上してることが分かるだろう。
商品開発は3商品ほぼ同時期と思われるので、これは大河原邦男氏のデザインの功績であることが想像できる。大河原氏は、合体や変形をするメカデザインをするときは、自ら木を彫り出して玩具試作をプレゼンに持ち込んでいたことは有名だが、ダイターン3の場合、その変形のストレスの殆どは、脚付け根のジョイントがオフセットされていることから、脚が回転すると劇的に全体のシルエットが変化することと、膝が180度折りたたまれる変形をすることで、武骨な形状に鮮やかに変化することと、それら二つの変形において、ロボット時のシルエットのキーになる両肩の大きなアーマー(今回の文章では、このパーツを肩大アーマーと呼ぶ)が90度垂直に立って合わさることで、ロボットの印象を消し去った兵器らしさが醸し出される、この三点で成り立っている。

サイドビューとバックビューではバックパックの大きさが目立つが、これはバックパックがそのまま、ダイファイター時のメインウィングと垂直尾翼をかねるからであり、ここを小さく造形してしまうとダイファイター時が戦闘機に見えなくなる。
後年、バンダイの超合金魂などでは、大小二つのバックパックを使って差し替えでダイターン3とダイファイターを再現していたが、それもう「差し替え作業」であって「変形遊び」じゃないよね、と、大河さんなどは正直思うのだ。

ダイターン3の頭部

ポケットパワー版では、頭部は反り返るように襟元ごと背中へ向けて展開変形したが、今回は素直に差し替え式。ここで少し残念なのが、ダイターン3の顔の額の飾り(立て物?)が少し大きすぎて、人形の命ともいうべき顔の、特に目の部分が全く見えなくなってしまっていること。このキットはザンボット3と比較して目の部分の造形も良かっただけに、設計のケアレスミスか、惜しいウィークポイントになってしまっている。

ランナー状態

それでは、組立作業に遡って解説してみたい。
まずはランナー状態。ランナーは、白、赤、青と、今風のガンプラっぽいカラフルさだが、実はこれ、「重機合体」と「戦闘合体」2つのキットのパーツを合せた為に成り立ったランナー状態であって、決してアニメにおける色分けに準じているわけではなく、額の飾りやビッグ・ウェッブ、ウィングなどのイエローになるべきパーツが、赤と白のランナーに集中していたりして、結局全塗装することは前提のキットということになる。

ボディパーツの組立プロセス。白いのがポリキャップ

このキットを語るとき、まず特筆すべきはポリキャップ多用の仕様だろう。
写真を見てもらえば分かるが、ボディだけで実に5つのポリキャップを使う豪華さは、ガンプラでも80年代半ばを過ぎた辺りからのフォーマットレベルである。
アオシマはこのキットの前後から、主に『伝説巨神イデオン』の重機動メカの1/600 統一スケールのガンガ・ルブやザンザ・ルブ等でポリキャップを使用していくことになるのだが、今回のダイターン3の場合、それら重機動メカ群や、後のバンダイのガンプラにおけるポリキャップのように「関節の保持力を維持するため」が目的ではなく、どうやら「変形遊びで差し替えをするジョイント部分の保持力を維持するため」が目的であるようだ。
だが結果的には、脚の付け根や首や肩などの、付け外し部分の間接可動もポリキャップの恩恵を請けてはいる。

ポケットパワー版では固定だった脚の付け根にもポリキャップ装備。これで脚の前後可動も開脚も可能になる

何度も言うが、今回紹介するザンボット3とダイターン3のアオシマメインキットは、イデオンにおける比較対象は1/600 アニメスケールではなく「合体ロボット イデオン」であるので、ダイターンもザンボットも、売れ行き次第ではもっと設定に近いレベルでの合体や変形と可動が楽しめるハイティーン向け合体変形版が出ていたのかもしれない。

もっとも、合体ロボットシリーズでも、ザンボット3は同じシリーズのイデオンよりもアニメ設定に近い変形合体を成し遂げていたし、さらにダイターン3ではポリキャップを導入するなど、技術革新も進んでいる。
当時のロボットプラモ多数メーカー群雄割拠の中では、バンダイがメインストリーム過ぎたために基準が異なるアオシマは、時代遅れと受け止められたのかもしれないが、バンダイとは違う角度と速度で、しっかり進化し続けていたのである。

完成したダイターン3のポージング

さすが大河原メカというか、完成したダイターン3を見て、動きそうなところは一通り可動するのは素直に嬉しい。もっとも可動範囲は、さすがにそれほど広くはないが、同時期のガンプラと比較しても、同程度レベルであろうか(上の写真はなんとか頑張って「この日輪の輝きを恐れぬのなら」をやってみようとしたポーズ(笑))

腕の可動範囲

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