B'z RUN(1992年10月28日発売)。
1つの区切りのアルバム、初期の集大成ともいえるアルバム。
あくまでも個人の感想としてお読みいただければと思います。
ここまでのB'zは、松本さんがバックグラウンドとして参加していたTM NETWORKの雰囲気がかなり濃かった「だからその手を離して」のリリースから、一気に突き進んできた初期のB'zサウンドが、ここで完全に濃縮しきった作品であると、私は思います。
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この10月の「RUN」の発売の後、神曲「いつかのメリークリスマス」を含むミニアルバム「FRIENDS」を、1992年12月9日に立て続けに発表し、これからもB'zのリリースは続々続くんだな!!と、大いにファンを期待させました。
しかし、翌年1993年は、これもB'zの代表曲の一つになった「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」と、「裸足の女神」の2つのシングルの発表に留まり、アルバムは1993年にはB'zは発表しませんでした。
この空白に近い1993年という年が、おそらくB'zが初期の「若さあふれる作品」から、「大人が聴くじっくりとした雰囲気の作品」への移行期だったのではないかと、後から振り返ると思います。
その後1994年に、シングル「Don't Leave Me」と、ものすごい分量のB'z初の2枚組アルバム「The 7th Blues」は、ブルースという名をアルバムにつけたように、「ノリノリ」路線に決別をつけ、より熟成した「大人のグループ」になっていく流れになります。
ただ、完全に路線変更したわけではなく、その後「 LOVE PHANTOM 」や、「ねがい」、「love me, I love you」の時期には、もとの「ノリノリ」のB'z路線に戻ってはいます。
それでは、アルバム「RUN」の収録作品を見ていきましょう。
1. THE GAMBLER
イントロがオルガンから始まる、このアルバム自体のイントロにふさわしい、「さあ、これからどんなbeatが流れてくるのかなー!?」という期待がいやが上にも高まる作品です。
いなせな男は皆ギャンブル好き。もちろん金をかけるギャンブルだけの意味ではなく、人生自体がギャンブル、のような、「イチかバチか」の人生を送る男の魅力を余すところなく歌い上げた作品です。
「明日はどの目が出るか 誰にもわかりはしない・・・」と、余韻をもって終わるところが、次の、シングルにもなった「ZERO」へといざなう、伏線となっているようにも思えます。
参考動画 コピーバンドで「THE GAMBLER」。
2. ZERO
1曲目「THE GAMBLER」とは正反対の、毎日が同じことの繰り返しのような男の、しがない日常をロックで歌い上げた、シングルにもなった作品です。
「思わぬ工事渋滞で 赤いランプを眺めりゃ」という描写に、もっと活気のある人生を送りたいのに、クルマの運転まで思い通りにいかない、ままならぬ人生を歩み、ウジウジしている男の嘆きを感じます。
曲の後半は、「もうこんな人生はこりごりだ!すべて変えたい、ゼロにしてやり直したい!」という魂の叫びを感じさせる激しい曲調。
異論を承知で申し上げれば、「松本さんのギターの魅力を思い切り感じたいならどの作品か?」と問われれば、私個人は迷わずこの「ZERO」を挙げたいと思います。
稲葉さんの、曲の途中のラップ調のセリフもいい!!。
この動画の冒頭で稲葉さんと「ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!」とセッションしているのが、「3人目のB'z」と呼ばれる明石昌夫さんです。
最初はスッキリした短髪の金髪だったのですが、この頃から髪の毛がものすごく長くなり、かなりの量のヒゲもたくわえ、モンスターのような風貌に変わっていっています。
B'zのライブ映像ではなかなか映らない明石昌夫さんですが、一旦映るとそのインパクトがすごいんです。B'zのライブ映像を見るときは、この明石昌夫さんを血眼になって探すほど、好きですねー。
【3人目のB'z】明石昌夫さんが音楽業界のことを教えてくれたよ!! - Middle Edge(ミドルエッジ)
明石昌夫さんは、こんな風貌なので一見コワイ感じの人なのかな、と思っていましたが、実際はすごーくやさしい、ポップな感じの人なんです。
こちらの書籍、現在は中古品のみの販売になってしまっているのですが、実にフレンドリーに、音楽業界の話をしてくれています。
(中古品のみにつき、売り切れ、価格変動の場合があります。2018年4月28日調べ。)
3. 紅い陽炎
「紅い陽炎」(あかいかげろう)という、不思議なタイトル。
怪しく燃え上がる(陽炎が燃え上がるという表現が正しいのかはわかりませんが。)、もやーっとしたイリュージョン的世界をギターで再現したらこうなるよな、という、ミステリアスな松本さんのギターから始まる曲です。
歌詞は、おそらくすごく繊細でナイーブな女性と図らずも付き合ってしまった男の想いを歌い上げたと推測される、こちらもミステリアスな歌詞です。
貴女の気持ちがよくわからない、でもなぜか惹かれていく、その様が、掴もうと思ってもつかめない「かげろう」のようである、と比喩しているのではないかと思います。
参考動画 紅い陽炎 B'z。
ここまでが、このフルアルバム「RUN」の序章に当たる3作品であると思います。
この後、アルバム表題曲であり、その後もアレンジされながら歌い続けられている「RUN」へと進みますが、紙面が長くなってしまいますので、また別の機会にご紹介できればと思います。
この3曲だけでも本当に密度の濃いアルバムです!!。
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2018年4月28日現在、まだ「20世紀交歓所」で出品されていますね。
VHSデッキをお持ちの方は、ぜひオススメの逸品ですよ!!。