今年で開発60年を迎える即席めん
日清食品の創業者・安藤百福氏が『チキンラーメン』を開発したのは、1958年のこと。今からちょうど60年前です。つまり、ミドルエッジ読者諸子にとって、『チキンラーメン』もといその子孫に当たる多種多様な「即席めん」は、生まれた時から存在する定番の食べ物となるわけです。
この「即席めん」の中には、明星食品の『チャルメラ』や日清食品の『出前一丁』など、今も昔も小売店に並び、庶民に親しまれ続けるロングセラー商品もあれば、逆に、昔はよく見かけたのに最近見かけないなぁ~という商品もあったりするものです。たとえば、サンヨー食品から発売されていた、志村けんをイメージキャラクターに据えた『ケンちゃんラーメン』や、高級感をウリにしていた『楊夫人(マダムヤン)』などが、そういった「売れていたのに消えた即席めん」の代表格と言えるでしょう。

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1974年にハウス食品から発売された『たまごめん』
今回紹介する『たまごめん』は、まさにそんな幻の人気即席めんの一つでした。発売元は、即席めん業界の始祖・日清食品でも、「赤いきつね・緑のたぬき」でお馴染みの東洋水産などでもありません。ハウス食品です。ハウス食品といえば、バーモントカレーやククレカレー、北海道シチューといった、即席カレー・シチュールーのイメージが強いかも知れませんが、実は、即席めんも取り扱っているのです。それこそ先述した『楊夫人(マダムヤン)』もそうですし、現役の商品でいうと、ご当地ラーメンのパイオニア的存在で、博多とんこつの美味しさを全国に知らしめた『うまかっちゃん』も同社から販売されています。
ハウス食品が即席めん業界に参入したのは、1973年のこと。今はなき同社の即席めんブランド「シャンメン」を発表したところから始まります。この「シャンメン」シリーズの一つとして翌年1974年から発売されたのが『たまごめん』でした。
『ミネソタの卵売り』の替え歌が印象的だった『たまごめん』のテレビCM
コッ、コッ、コッ、コッ、コケッコ~♪
私はハウスの~、た・ま・ご・めん~♪
こんな歌い出しからはじまるCMソングで人気を博したハウスの『たまごめん』。この歌はオリジナルソングではなく、1951年にリリースされた暁テル子のヒット曲『ミネソタの卵売り』が元ネタ。余談ですが、この楽曲、あまりにもキャッチーなため、80年代にイシイ食品の『たまごにべんり』のテレビCMにも同じく替え歌として使用されていました。
漫画『ちびまる子ちゃん』でも紹介された
印象的だったのは、テレビCMだけではありません。「麺の中に卵が練り込んである」という分かりやすくて斬新で具体的な謳い文句が、大衆のハートをガッチリキャッチし、しかも、1袋「37円」という低価格だったため、特に子供たちの間で爆発的なブームになったのでした。
この大流行の様子を今に伝える作品が、漫画『ちびまる子ちゃん』です。麺に卵を練り込んだことによって実現した深い味わいとつるつるの食感に、まる子は「こんなうまいラーメンは初めてだ!」と大感動。「毎週土曜日のお昼はたまごめん」と決めて、その味に舌鼓を打っている姿が描かれていました。ちなみに後年、『ちびまる子ちゃん』で取り扱っていたことに引っかけたのか、「マルちゃん」でおなじみの東洋水産からも、『たまご麺』が発売されていました。

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懸賞品のおもちゃ『たまごツイスト』も大人気に!
『ちびまる子ちゃん』の中でも描かれていたのですが、『たまご麺』には『たまごツイスト』というなかなか当たらない懸賞品が存在していました。遊び方はいたってシンプル。片足の足首にはめて、もう片方の足に引っかからないようにグルグル回すというものです。
『ちびまる子』の中では、まる子のいとこの「ひろあき」がこのプレミアムグッズを見せびらかすために、七五三の時にさくら家へと持ってきます。まる子が果敢にチャレンジするも足に引っ掛けてしまい、「いたいよ~」と嘆くのに対し、ひろあきは「これだから素人に貸すのは嫌だったんだよ!」と嫌味を言っていました。

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このように、当時の子供たちを夢中にさせた『たまごめん』及び『たまごツイスト』ですが、いつの間にか販売終了となってしまいました。しかし、1980年代後半にハウスから再発売されたり、先述のようにマルちゃんから類似品が登場したりと、定期的に市場を賑わせています。またいつかどこのメーカーからでも良いので、リバイバルしてもらいたいものです。
(こじへい)