『ガンプラり歩き旅』その58 ~イデオン編・6 現代に蘇った1/600 伝説の巨神2つ! 瞳こらせよ、復活の時!~

『ガンプラり歩き旅』その58 ~イデオン編・6 現代に蘇った1/600 伝説の巨神2つ! 瞳こらせよ、復活の時!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。 今回は全8回で、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、『機動戦士ガンダム』(1979年)の日本サンライズ・富野由悠季監督の次作品『伝説巨神イデオン』(1980年)のアオシマ製プラモデル群から、現代に至るまでのイデオンフィギュアを、追いかけてみたいと思います!


Bメカ攻撃形態のイデオ・ノバ。ボディ後部は丸ごと差し替えであることで評価が別れそうな仕様

これが4個の「発動篇」になると、3つ目までは同じキットなのだが、4つ目の箱にはイデオン・ガンと、イデオンの平手パーツと、それぞれのソルメカを、イデオ・デルタ、イデオ・ノバ、イデオ・バスタに変形させるパーツが付属してくる。

Bメカ合体形態。Aメカとの合体の違いも次回解説

法則性は若干違うが、この商品構成4個でイデオン・ガンまで全て揃うというアイディアは、懐かしのアオシマ1/600 イデオン合体版のばら売りを思い出させてくれて、マニアにはたまらなかったりもするのだ。

Cメカ車両形態、ソル・コンバー。デザインモチーフは「幼稚園バス」

実際の完成度はというと。
まず先に言及しておかなければならないのは、如何に「バンダイのプラモデル」としては同じでも、設計や製造工程を担当している事業部が違うので、ガンプラのHGUCやMGの規格とは全く違う概念が、パッケージを開けると待っているということ。

Cメカ飛行攻撃形態、イデオ・バスタ。3メカの中では一番劇的な変化を見せるが、これもほとんどが差し替えで再現している

例を挙げると。
食玩だからなのか、コスト的な問題なのか、このスーパーミニプラシリーズは、フルアクションや変形を再現しながらも、ポリキャップもABSも使用せずに、プラ素材オンリーでキットが構成されている。

Cメカの合体形態

もっとも、KPSはプラモデル用接着剤に触れた部分は(特に赤い素材は)変色するので、素直にスナップフィットに徹するか、接着剤をもし使うならばかなり細心の注意が求められる。

合体した状態。プロポーションは顔小さめ、ボディ幅狭め、脚長めのイマドキ風アレンジ

しかし、実際に制作してみて分かるのは、ランナーにパーツを繋ぐゲートがかなり太いということと、おそらくKPSだからなのだろう、プラ素材がかなり弾性があり、柔らかい材質で成型されているということ。
また、このスーパーミニプラシリーズは、ランナー単位のパーツの配置などが、ホビー事業部のガンプラとは全く癖が違っている(これが設計技術の問題なのか、材質の問題なのかは分からない)。

イマドキ風のプロポーションを確認すると、肩幅と顔の大きさは、アオシマの1/810 イデオンとほぼ同じだということがこの写真からも分かる(手前がアオシマの1/810 イデオン)

組立自体の難易度は高くなく、標準的なガンプラのMGよりも若干容易な程度。
それでいて、ゴーグルは(アオシマ1/240 アニメスケール以来の)クリアパーツで、それは3つのイデゲージにも使われている。
色分けは、本体はほぼ完璧。

3つあるイデゲージは全てクリアパーツだが、Bメカのイデゲージだけは、ゲージと囲うグレーのプレートの切れ込みの円の直系が合っていない辺り少し残念か

しかし、色分けに関してはやや残る「完璧ではない部分」が遺恨を遺す仕様となっている。
最初は、イデオン状態での、襟首の白と、脛外側の紺色の二重線ラインが足りてないことが妙に気になり、どうしようか、でもまぁイデオン状態ならやまとのアクションフィギュアを使うからなぁと葛藤していたのだが。
このスーパーミニプラ版メインの、『伝説巨神イデオン』ビジュアル再現のメインの役目である3機のメカに分離させてみたところ、イデオ・ノバの武装の色の足りなさまでは仕方ないと思えても、やはりイデオンの襟に当たる白の欠落をはじめ、どうもBメカの顔がしまらないなーと思ったら、肝心のフロントのシャッターのグレーと、ヘッドライト周りの黒とブルーが欠落していると判明。
うーん。ここだけ部分塗装するか?と悩んでいたところ、Cメカを見ていろいろガッカリが噴出した。

再現画像より。ソロ・シップから出撃するイデオン3機メカ!

このCメカ。イデオンの脚の状態としての色分けは、トリッキーなパーツ構成でほぼ完璧なのだが、脛の外側の二重ラインの紺色の欠落だけではなく、ソル・コンバー、イデオ・バスタ時のカラーリングがめちゃくちゃすぎるのだ。
アニメの設定では、まずCメカ状態での機首は、スリッパ部の紺色より一段明るいブルーでベースが塗られ、機首で紺色は、コックピットウィンドウの周囲の枠組みだけなのだが、このキットではCメカの機首は両形態ともにスリッパと同じ紺色一色である。
ここまではまぁ、アニメの設定どおりの色を完璧に求めるのも、さすがに贅沢を言い過ぎだろう。他のパーツと同じく、シールで補えばいい。
しかし、紺色をブルーに補うシールが付属していないばかりか、アニメでは薄いスカイブルーのはずのコクピットウィンドウ用の付属シールが、なんと明るいグリーンなのである。
もちろんBメカ同様、ヘッドライトを補うシールはなし(Cメカのヘッドライトはイエロー)。
後述する「イデオン・ガンのグレー」もそうだが、一番怖いのは、元アニメを知らない世代が、この成型色とシール仕様を無検証で受け入れてしまって、今後の立体物におけるイデオンのカラーリングが、これを基準に設定されてしまうことだろう。
その辺りの危惧は払拭できないが、解説はひとまず次に可動のチェックに移ろう。

可動は、画像を見ていただけていれば充分お判りになると思うが、「無限ミサイル一斉発射ポーズ」をはじめ、イデオンで再現したい名場面はおおかた完璧にこなしてしまう運動性と可動性を誇っている。

バンダイが高らかに「再現可能!」と謡ったはずの、無限ミサイル一斉発射ポーズの精一杯

ただ、「無限ミサイル一斉発射ポーズ」は、そもそもあのシーンでのイデオン自体、アニメでの「二次元の嘘」の塊なので、アレをまんま立体物で再現しきることには限界があり、やまとのESI版も、このスーパーミニプラ版も、どうにか「そう見える気になれる」ところまでは辿り着いているかというレベル。

アニメ『伝説巨神イデオン』より、伝説になったアニメ版無限ミサイル一斉発射ポーズ

そういう意味では80年代のアオシマのイデオンプロポーションタイプは時代が悪かったとしか。

「無限ミサイル一斉発射ポーズが再現できる」と謡った歴代1/600 イデオンと元画像の比較。

画像は、右上がアオシマプロポーションタイプ、左下がこのバンダイスーパーミニプラ版、右下がやまとESI版。それぞれ実はあまり大差なく再現に至っていない。

なので、二次元の嘘を追い求める再現画像では、このバンダイ版イデオンを使って、上半身と両腕を別個に撮影して合成したものを用意した

基本的には、現代のイデオンキットとしてはほぼ満点なのだが、せっかくなので気になった点や、当時のアオシマのイデオンにも至らなかった点をいくつか。

まず、これは次回のイデプラ番外編最終回でも述べるが、イデオン独自の3機3種3段変形合体が、各形態はほぼパーフェクトに再現できているのだけれども、姿形を変えていくプロセスが、ほぼ9割「差し替え・刺し替え」であって、殆ど「変形」はしないということ。

付属のイデオン・ガン。詳しい評価は本文に譲るが、一番「うーん」と思ってしまったのは、成型色数の限界からくるグレーカラーだということ

そして次は、イデオン・ガンの付属はありがたいのだけれども、アニメ本編や、アオシマのイデオンでは再現していた「イデオン・ガンとイデオンを繋ぐエネルギーチューブ」が、完全にオミットされていて、だから当然イデオンの腹部の、チューブが繋がる、コネクタが露出するシャッターの展開も、差し替えですらなく、無視されているということ。
この二つに関しては、時代も技術も80年代ではガンプラ以下だったアオシマのイデオンが、果敢に挑戦していた部分だっただけに、今回の省略は少し寂しい気がする。

イデオン・ガンを構えたバンダイ版イデオン

プロポーション的には、アオシマ版はもとより、やまとのESI版と比較しても、小顔で肩幅が狭く、足が長い「イマドキのガンプラ風アレンジ」なので、好みは別れるかもしれない。

付属のイデオン・ガンを構えたバンダイ版(左)と、アオシマのイデオン・ガンを構えさせたやまと版(右)

確かにアオシマのイデオンはどのキットもトップヘビーだったが、写真をご覧になればお分かりのように、このスーパーミニプラ版は、アオシマ版最小の1/810 アニメスケール版と、顔の大きさや肩幅が同じなのだ(もっともこれは、この番外編でも述べた「当時から、1/810の上半身に、1/600の下半身を接続すればプロポーションは良くなる」というアオシマの癖とのギャップゆえかもしれないが)。

というわけで、やまとのESI版と、バンダイのスーパーミニプラ版。
現代に再生された、二つの「イデオンフィギュア」(超合金魂版は、あれはいろいろここで流れに乗せるのとはまた違うと思う。ガンプラ紹介でROBOT魂を持ち出さないのと一緒で)を並べて見ると、イデオンがどれだけ愛されてきたのか。どれほど当時の鮮烈な映像衝撃が打ち消せないファンが多いのかが分かるようで興味深い。

オマケに、同様のガッカリが、Cメカのビジュアルの大半を占めるウィング部分にも起きていて、ここはさすがにシールは付属しているのではあるが、アニメ設定だと3色の青で塗り分けられているウィングが、このミニプラ版では紺色ベースのパーツに対し、アニメではウィングには用いられていない“鮮やかなスカイブルー”でシールが形成されている。
ここまで配色の組み合わせ自体が違うと、シールで誤魔化すことすら、むしろアニメのCメカから遠ざかってしまう。

なので、やまと版との統一性も考えて、このバンダイ版も3種メカ単位で、まずは細部を追加塗装することにした。
まずは、Aメカの両腕を繋ぐフレームは、メタリックグレーで成型されていたのでクールホワイトで塗装。
Bメカは、機首のグリーンや紺はシールに頼るが、首周りのシャッター部分をニュートラルグレーで塗装。小さく2本突き出ている突起物もボディに準じたキャラクターレッドで塗装しておく。
Cメカのコクピットウィンドウは、スカイブルーとホワイトの混色。
Cメカは、実はソル・コンバー形態時にも、フロントに赤いラインが走っているので、そこはキャラクターレッドで塗装。
ソル・コンバーのヘッドライト周辺は、艶消し黒とイエローで塗装。イデオ・バスタ機首の赤はシールを用いた。
ソル・コンバーのフロントのシャッター部分は、Bメカと同じくニュートラルグレーで塗り分ける。
Cメカ機首全体の青は、ガンダムカラーのMSライトブルーを選択。
イデオ・バスタのウィングは、ここまで出てきた、ブルーFS15044とMSライトブルーの組合わせに、エアスペリオリティブルーを足して再現した。
A、B、C、共通してタイヤやキャタピラは、艶消し黒やニュートラルグレー、ガンダムカラーのMSファントムグレー等で塗り分けておく。

再現画像より。イデオン全編のクライマックス!

イデオン状態での、他の追加塗装箇所は以下のとおり。

・握り手、平手の2種類の手首を、ブルーFS15044で塗装
・首周りの襟を、クールホワイトで塗装
・肩部後ろのソルバニアヘッドライト部分を、艶消し黒とスカイブルーで塗装
・脛両外側の二重ラインを、ブルーFS15044で塗装

その上で、イデオン・ガンが濃いグレーであるという仕様について、いろいろ考えさせられた。
キットでは、各メカのフレームやタイヤやキャタピラなどと一緒くたに、濃いグレーで成型されているイデオン・ガン。
確かにこのグレー成型のままの方が、落ち着いた感じもするし、よりリアルなのだろう。
今回の記事でも、紹介写真はほぼ全て、成型色のままのイデオン・ガンで紹介している。
しかし、シミルボンでの再現画像では、アオシマ製イデオン・ガンを握ったやまと版と共演する予定なので、カットごとにイデオン・ガンの色が変わってしまうことは都合が悪い。
加えて、今回のグレー成型色仕様は、リアリティ重視の側面もあるかもしれないが、バンダイがガンプラでもよくやる、コスト削減のための、グレーパーツのアリバイ化かもしれないのだ(G3ガンダム等でやった「あの手法」である)。
加えて、筆者は特に最初の『機動戦士ガンダム』再現では、モビルスーツが持つ武装に関しては、今どきのガンプラの設定ではなく、徹底してアニメカラー準拠に拘ってきた。
であれば、ここではイデオン・ガンにもその法則を当てはめるべきだろう。
そう考えた筆者は、ここでの紹介画像を撮影した後、再現用に撮影を開始するタイミングで、イデオン・ガンをキャラクターブルーで塗り、アニメ設定に近い、アオシマ成型色と似せて塗装しておいた。
イデオン・ガンのスコープ等は、ガイアカラーのエメラルドグリーンで塗装している。

今回紹介した現代版イデオン2機。同じ1/600スケール表記だが、バンダイ版(左)とやまと版(右)では、全頭高もボリュームもかなり違っていて、並べて比較するといろいろ面白い

次回は『ガンプラり歩き旅』イデオン番外編の締めくくりとして、アオシマ1/600合体版と、スーパーミニプラ版との「合体・変形・各形態」の徹底比較を行いつつ、「歴代1/600 イデオン 総登場」をやってみたいと思う。

市川大河公式サイト

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