ユーモアと切なさが同居する糸井節!『MOTHER2』はグラフィック・音楽・ゲーム性・すべてが高水準な傑作RPG

ユーモアと切なさが同居する糸井節!『MOTHER2』はグラフィック・音楽・ゲーム性・すべてが高水準な傑作RPG

今まで様々な時代の、数多のRPGを遊んできましたが、本作はその中でも1、2を争う至高の傑作です。そんな不朽の名作『MOTHER2 ギーグの逆襲』は1994年、任天堂から発売されました。糸井重里氏が手がけたことでも知られるこの作品は、含蓄のあるセリフや不思議でどこか温かさに満ちた世界観でプレイヤーの心を掴み、いまなお多くの人に愛され続けています。


「大人も子供も、おねーさんも」

このゲームをはじめると…

こどもはおとなに、おとなはこどもに、なってゆきます。

『MOTHER2 ギーグの逆襲』

Amazon | MOTHER2 ギーグの逆襲 | ゲーム

当時のCM

概要

不朽の名作ファミコンRPG『MOTHER』から5年の時を経て発売されたシリーズ2作目。現代アメリカ風の世界を舞台に、主人公とその仲間たちによる冒険を描いたRPGです。
プラットフォームをスーパーファミコンに移し、前作の雰囲気を継承しつつ大幅にパワーアップして帰ってきました。特に色調や音楽が鮮やかになっています。また、場面によっては『音』がヒントになっており、説明書ではちょっと大きめの音量でプレイすることを推奨していました。
基本的な要素は前作を継承していますが、シナリオや世界観の面で繋がりはありません。これは本作が「続編」ではなく「リメイク」としての位置づけが強いためです。

前作同様ゲームデザインには糸井重里氏が、音楽はムーンライダーズの鈴木慶一氏と様々なゲーム音楽に携わってきた田中宏和氏の二人の共作となっています。
ゲームのテキストはすべて糸井氏が監修しており、そのセリフの多さも大きな特徴の一つとなっています。ゲームのヒントやアドバイスといったセリフはもちろんのこと、ゲームとは全く関係のないただの世間話や糸井氏の遊び心あふれる愉快なセリフ、メッセージもたくさん含まれています。中には、期間限定であったり、特定のメンバーを気絶させることで初めて見ることができるメッセージも多数ありました。

シナリオ・演出・作風

抜群のシナリオ、演出、そして音楽

糸井重里氏が全てを手がけた抜群のシナリオと演出は本作の大きな魅力です。キャラクターのセリフにおける糸井節も健在でした。
鈴木慶一氏と田中宏和氏の手がけたポップでメロディアスな音楽はシナリオの展開と相まって要所要所でプレイヤーの感動を誘います。
「音楽を大事にする」という前作のコンセプトを見事に継承。プラットフォームがスーパーファミコンに移り、使用可能音源が大幅に増えたため、「音楽でどこまで遊べるか」にもチャレンジしています。そのため作中BGMはもちろん、効果音一つとっても遊び心がこもっています。
例として、BGMの中にはアメリカで大ヒットした楽曲のイントロをサンプリングしたものが多く用いられており、現代アメリカ風の世界観に絶妙にマッチしています。
本作で集めることになる"エイトメロディーズ"「SMILES and TEARS」は作中の演出と相まって非常に評価が高いです。

ファンサービス的な要素として、前作のBGMが随所にアレンジされて使用されているのも特徴です。サンプリング音もバリエーションが多く、とあるボス戦で生々しいゲップの音が鳴ったり、ネーム決定時に「OKすか?」と聞かれたり、自転車のベルの音が鳴らせたりと多種多様に存在します。敵の種類によって変化する戦闘BGMも数が豊富になって、よりゴージャスになりました。

前作との大きな違い

前作が比較的クラシックなアメリカンカルチャーを題材に少年期の冒険やノスタルジーを描いていたのに対し、本作はドラッグムービーやトランステクノなど「前衛的」なサブカルチャーを前面に押し出しています。
そのため文法の崩壊したエキセントリックなキャラクターが多数登場したり意図的に不条理なシナリオ展開を見せるなど、一見牧歌的に見える世界感に混ぜ込まれたサイケデリックな作風が、大きなギャップを醸し出しています。

特に戦闘時はBGMがエフェクトを多用したトランス調であったり、戦闘画面の背景が「オプアート風の鮮やかな絵柄がうごめくアニメーション」になった他、PSI(他のRPGで言うところの魔法やスキルといったもの。超能力)や一部アイテム使用時のエフェクトが抽象的なサウンドと独特な幾何学模様のアニメーションで演出される等、この傾向が顕著に現れています。

王道からトラウマまで

本作は地球規模の世界を舞台にしたスケールの大きな世界観が特徴で、都会、異国、魔境、地底世界など様々な場所を冒険していきます。
王道的な冒険ムードのみならず、シュールかつ不条理で不気味な雰囲気を醸し出すシチュエーションも多いです。特に「ムーンサイドの街」や「ラスボス戦」の演出は本作における生理的嫌悪感を煽るトラウマシーンとして、よく名が挙がります。

シナリオの骨子は「世界の救世主として選ばれた少年が仲間を探して旅立つ」というものではありますが、ストーリー上でこのような展開になるのは後半からで、前半はほとんど自由に(時には何が目的で行動していたのかプレイヤーも忘れるほどに)自分の生まれた町や近所の街を歩きまわれます。強制されるイベントが少なく、とてもフリーダムです。

世界観は前作同様アメリカンながら、ノスタルジックで現実的な雰囲気が強かった前作に比べるとテイストはやや王道的かつファンタジックに纏まっています。

あらすじ

イーグルランドの田舎町オネットに、ある夜、隕石が落ちる。
隕石から現れたのは未来人を名乗る不思議な虫ブンブーンだった。
彼から地球の未来に危機が迫っている事、
そして自分が地球を救う救世主となるべく存在であることを知らされた主人公は、
銀河宇宙最大の侵略者ギーグの野望を阻止するため、
世界に散らばる8つのパワースポットと、共に戦う仲間たちを探して旅立つのであった。

メインキャラクターの紹介

ぼく(デフォルト名:ネス)

主人公!スマブラでもお馴染みです。

ネス

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イーグルランドの田舎町オネットに住む男の子。未来からの来訪者ブンブーンより自分が地球を救う救世主たる存在であることを知らされ、内なる秘められた力を解放する8つのパワースポットと、共に戦ってくれる仲間たちを探しに旅立つ。
素早さはやや低めだが、能力値は全体的に高い。PSIは前作同様、回復・補助系がメインだが、今作では彼にしか使えない無属性の専用攻撃PSIが追加され、よりオールラウンダーな主人公らしさが確立した。

おんなのこ(デフォルト名:ポーラ)

幼稚園児です。超能力は攻撃系を得意とし、回復系は一切使わないというスタイルでした。

ポーラ

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オネットの隣町ツーソンで話題の超能力少女。
予知能力とテレパシー能力を持ち、予知夢で見たネスと運命を共にすべく彼に呼びかけを続け、共に旅立つ。
前作同様、HPと物理攻撃力の低さという欠点を持つが、彼女にしか扱えない強力な攻撃PSIの数々と素早さの高さが補っている。
攻撃力自体も前作の「おんなのこ」より上がっているため、物理攻撃でも十分役立ってくれる。

おともだち1(デフォルト名:ジェフ)

小高一貫教育の全寮制の名門校に在学しています。性格は本人曰く臆病らしいですが、ポーラの助けを求めるメッセージを聞いて寮を抜け出すあたり肝はすわっています。

ジェフ

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ネスたちの危機を救うべくウィンターズのスノーウッド寄宿舎から駆け付けてきた科学少年。
PSIは使えないが、IQの成長に応じて壊れた機械を修理して攻撃アイテムに作り変えたり、彼にしか使用できない強力な攻撃アイテムを扱える。
また「チェック」コマンドで敵の情報を知ると共にアイテムをくすねることができる。

おともだち2(デフォルト名:プー)

彼は戒律で一般的な食べ物を受けつけない為、使用してもHPが少量しか回復しません。

プー

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東の異国ランマ王国の王子。パーティの最年長。「ム」の修業を終えると共に自身が選ばれし子供の1人であることを知らされ、ネス一行の元へ駆けつけた。
異国出身ゆえに西洋の料理や衣類・道具の類は体質に合わないらしく、回復アイテムや装備品は専用のものが用意されており、通常のアイテムや装備品を使うと逆に回復量やステータスが大幅に低下してしまう。
攻撃PSIは(味方では)彼にしか使えないPKスターストーム系を中心に、一部、他のキャラが使えない上位のPSIを扱える。
IQがやや低めなため最大PPが少なめで、高威力のPSIを連発するとガス欠を起こしやすいのが欠点。

ポーキー・ミンチ

太めの体型で、意地汚いです。無人販売所の食べ物を(お金も払わずに)全て平らげてしまうくらい。

ポーキー

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ネスの隣人のミンチ家の長男。ネスの旅立ちのきっかけを作った張本人でもあり、やがて数奇な運命に導かれ、ギーグの手下としてネスたちの旅を妨害すべく暗躍するようになる。

どせいさん

どせいさんはどせいさんでごじます。ぽえ~ん。ぷー。

どせいさん

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ゲーム画面

意欲的なシステムの数々

本作のシステムは前作から引き継がれているものが多いです。
一方で、他ではあまり見られない、本作独自の特徴的かつ意欲的な新システムが搭載されているので、その一部をご紹介します。

ドラムロール式パラメータ

ダメージや回復によるHPの増減が一挙になされるのではなく、ドラムロールの回転によって徐々になされるというシステムです。
つまりHP残量を上回るダメージを受けても、HP表示が完全に0になるまでは行動ができます。0になるまでに回復すれば力尽きることもなく、さらに体力減少は戦闘終了時にストップします。
このシステムを活かして「敵から致命的なダメージを受けてもあえて回復せず、すばやくコマンドを入力してHPが尽きる前に敵を全滅させる」「回復をしたときはドラムの回転が止まるまでコマンド入力せずに待ち、致命的なダメージを受けた際により多くの時間が稼げるよう備える」「倒すと爆発して大ダメージを与えてくる敵を最後に倒し、ダメージを最小限に抑える」などの様々な戦略を練ることができました。
また、新たなパラメータ「ガッツ」が高いと、ごくまれにHPが0になっても気絶せずHP1で踏み留まることがあります。このパラメータの値が高いとクリティカルヒット(SMAAAASH!)が出やすくなる他、致命傷を負ってもHP1で踏みとどまる確率が高くなっていきます。

シンボルエンカウント方式

昨今はシンボルエンカウントを採用したゲームも当たり前のようになってきましたが、当時は革新的でした。

シンボルとエンカウントした人の図(イメージ)

熊に遭遇した人のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

フィールド上を主人公と同様に移動している敵シンボルに接触することで戦闘に突入するという方式です。そのへんを適当に歩いている動物系や道路上をうろつく乗り物系の敵、こちらが近づくまで動かない植物系の敵、不規則な挙動やワープを駆使する宇宙人系の敵など、敵シンボルは種類に応じてそれぞれ特徴的な動きをします。
フィールド上の車や動物、植物系のモンスターなどは近づいてみないと敵かどうか判別し難いですが、人間系の敵の場合はフィールド上の一般人キャラと動きが異なること以外に「顔色が悪い」という特徴で区別されており、視覚的にわかりやすくなっています。
1つのシンボルは敵1体に対応していますが、敵シンボルと接触すると付近にいる敵シンボルも吸い寄せられるように近寄ってきて、複数の敵と戦闘することになります。
敵シンボルとの接触の際に、敵の背後から接触すると先制攻撃を行えたり、逆にこちらの背後に接触されると敵に先制攻撃されたり、といった要素もありました。

パーティメンバーのレベルが大幅に高い場合、敵シンボルが逃げていくようになります。この場合や、先制攻撃を取った際に通常攻撃で倒しきれる場合、接触時には戦闘シーンを省いて一瞬で勝利できます。余計な戦闘を省いてゲーム進行が快適になる他に、自分の成長を実感できる演出的効果もあり、非常に革新的でした。

個性的な状態異常

本作には他作品ではあまり見かけないユニークな状態異常が多数存在します。
主人公限定の状態異常「ホームシック」の他、「日射病」「気持ち悪い」「変」「キノコ」「ゴースト」「ダイヤモンド」などで、その効果も様々でした。
これらの治療法も一風変わっているものが多いです。例えば、ホームシックになった場合は母親に電話をすれば克服でき、頭にキノコが生えた場合はヒーラーやキノコ狩りをしている人に買い取ってもらうことで治せます。

味付け用調味料

食べ物系アイテムの使用時に自動的に併用されるアイテムなんてものもありました。「しお」「タバスコ」「コンデンスミルク」などの調味料類です。
その食べ物と相性が良ければ回復量が2倍になります。例えばゆでたまごと塩、ピザとタバスコ、バナナとコンデンスミルクなどの組み合わせが相性が良いです。
味付け小物は安価なので、高い回復効果を持つアイテム一個を購入するより、低い効果のアイテム+相性のいい味付け小物を買う方がお金の節約になりました。また戦闘中に1ターンで大きく回復できる利点もあります。
PPを回復したり基礎能力値を上昇させる貴重なアイテムにも適用されるため、上手く使えばゲームを楽に進められます。
ただし味付け小物と回復アイテムの分で、アイテム欄を二つ占有するというネックもあります。また味付け小物の消費は強制なので、持ち物の組み合わせに気を付けていないと、相性の悪い食べ物に対しても勝手に使用されてしまいます。この辺りの駆け引きも含めてユニークな要素でした。
味付け小物単体で使用することも可能ですが、回復量は極めて低いです。

どこでもアイテムの管理・売買が行えるシステム

「運送屋・ピザ屋」
電話で連絡をすると一定時間後に担当員が駆け付け、運送屋ではアイテムの預け入れ、ピザ屋では回復アイテム・ピザの購入が可能です(双方とも有料)。
ストーリー上、一時離脱してしまう仲間キャラにキーアイテムを預けていた場合、離脱と同時に自動的に運送屋に預けられます。その旨はちゃんと電話で伝えられるので心配は無用です(笑)。

アイテム「道具屋の看板」
看板を見つけた客が全力ダッシュで近付いてきて、不要なアイテムを買い取ってくれます。敵の蔓延るフィールドだろうとダンジョンだろうとお構いなしでおじさんやおばさんが駆けつけては消えていくその流れはなかなかシュールです(笑)。

双方ともに、地上フィールドの他、ダンジョン内でも利用可能です。
ただし、一部のダンジョンと地底大陸のフィールド上では使用不可。使用不可能な場所で連絡したり、連絡後に使用不可能な場所へ移動した場合、苦情の電話がかかってきて強制的にキャンセルされます。

前作からの改善点・評価点

エンカウントの煩わしさの解消

前述のシンボルエンカウント方式の採用に伴い、エンカウントの煩わしさが解消されました。
マップの広さに対して考えれば、比較的敵シンボルの配置数は多くなく、程よいエンカウントで戦闘が楽しめます。
主人公が強くなると敵シンボルが逃げていくため、経験値の足しにならない弱い敵といちいち戦闘する手間もありません。この場合、例え接触したとしても背後を取られない限りは、画面の一瞬の暗転とともに戦闘に勝利します。
敵シンボルに接触さえしなければ戦闘が起きないため、敵シンボルを回避する手段を使えば戦闘を回避することもできます。
ただしその方法はややテクニカル。具体的にはテレポートの前動作によるダッシュの利用や、フィールドの画面表示範囲の調整による敵シンボル出現判定のやり直しなど。
アイテム「スキップサンド」を用いて移動速度を上昇させることでも敵シンボルを回避しやすくなります。
戦闘終了後は一定時間敵シンボルをすり抜けることができる上に、この時は敵が追ってこないため、この間に敵シンボルを通り抜けて先に進んだり、敵の背後を取って先制攻撃を狙うことができます。

ゲーム進行の快適さの向上

「有料ヒント屋の追加」
本シリーズは一般人のセリフが豊富ですが、攻略と関係無い「雑談」が多く、一度詰まるとヒントや原因に気付きにくいので救済措置としての有用性は高いです。
前作にも一応存在はしたのですが、聞けるのが一部の重要事項に対するヒント3つのみだったのに対し、本作では進行状況に応じて教えてくれる内容が随時変わっていきます。ヒント内容も分かりやすく、すべきことをピンポイントで教えてくれることもあったりと利便性が向上しています。
また、総額3000ドルもかかった前作に比べ、値段もお手頃でした。
ちなみにこのヒント屋も、ヒント以外にユニークな小話を話してくることがあります。

「はなす」や「チェック」のコマンドをワンボタン&片手で実行できる「便利ボタン」がLボタンに割り当てられたところも高ポイントですね。

「移動性能の改善」
前作に比べてフィールド上での歩行速度が上昇しています。マップ自体も前作よりも広くはないため、相対的にテンポの遅さはあまり感じずに済むようになりました。
しかも移動速度をさらに上昇させるアイテム「スキップサンド」が導入されました。
消費アイテムですが序盤から購入でき、移動速度が一定時間上昇します。
また高速移動できる乗り物として「じてんしゃ」が存在します。ただし当たり判定が大きく非常に操作し難い上、「2人乗り禁止」ということで乗れるタイミングも限られるため、高速移動手段というよりはお遊びアイテムといった感じのものですが。

発動に助走が必要なPSI「テレポートα」を途中でわざと失敗し、助走を高速移動代わりに使うという小技もあります。

「1人あたりのアイテム所持可能数が増加」
回復アイテムも1人で十分な数を持てるようになり、ドラムロール式戦闘システムの採用もあってHPが減少しているキャラクターに対するフォローもしやすくなりました。
前作にはなかった「アイテム説明文」も追加され、その内容もユーモアセンスあふれる解説で充実しており、面白味があります。

グッズ(アイテム)の効果の明確化と遊び心溢れる『説明』

キーアイテムから装備品、回復グッズに至る全てに「せつめい」が付き、解説されるように。「なんどでもつかえる。」「いちどつかうとなくなる。」等回数も教えてくれます。
装備品は装備できるキャラや、耐性まで説明してくれるようになりました。
回復グッズも数値付きでどれくらい回復するか教えてくれる上、移動速度アップのスキップサンドも何秒効果が持続するか丁寧に教えてくれます。

やたら長文で凝った説明のついたグッズも

例えば「サマーズふうパスタ」がそれにあたるでしょう。

「16せいきのサマーズおうサマーズ3せいがこのんだといわれているパスタだ。
とうじのサマーズきゅうでんにはうでにおぼえがあるりょうりにんが
たすうでいりしていた。あるなつのひのこと、サマーズおうのきさき
アンナ・サマーズが「ああ、おいしいパスタがたべたい!」と…。
……………。
………せつめいがながくなりそうなのでけつろんをいおう。
たべるとたいりょくがやく110かいふくする。」
(原文)

…とこんな感じでした。ゲーム内容とは全く関係のない文章ですが、読んでいると楽しくなってくることうけあいです。

もちろん長い説明文ばかりではありませんが、一言コメントが添えられていたりと、よりグッズの特徴を一層引き立てているため、どんなモノか面白可笑しく想像しやすくなっているのもポイントです。

ストーリー展開の説明不足感の改善

前作ではゲーム中でストーリーの道筋がキャラクターのセリフから明かされる要素はかなり少なかったのですが、本作ではテキスト面での説明不足感はある程度、解消されています。
ゲーム開始冒頭でラスボス「ギーグ」の素性や冒険の目的が簡潔に語られる他、シナリオ毎のボス攻略後に次の目的地が示されるなどして、話の筋道や次に向かうべき目的地がわかりやすくなっています。

賛否両論点

シナリオの作風

前作同様、世界の情勢やキャラクターの心情などの描写が極めて少なく、シナリオの細部をプレイヤーの想像に委ねるスタイルをとっています。
特に、冒頭から登場する主人公の隣人ポーキーが敵として暗躍するようになってしまうまでの経緯などが一切語られません。プレイヤーがその動機を推察することすら極めて困難なほど、ポーキーに関する描写は少ないです。
このようにプレイヤーの感性に委ねる点が多い点などを含め、万人受けし難い要素も比較的多いです。RPGというジャンルに対して「自由度」や「ストーリーの作り込み」を求めるプレイヤーには不向きであり、そういう意味においては本作も人を選ぶ作品ではあります。
ただし、シリーズを通して物語の核心部分は語られない傾向にあり、そこをプレイヤーの想像に委ねる点は良くも悪くも「MOTHERならではのスタイル」と言えます。
設定やストーリーを深く作りこんだ作風を好むユーザーにとっては批判点になりやすいですが、この辺りの評価に関しては、やはりプレイヤーの感性や受け取り方次第によるところが大きいでしょう。

問題点

シナリオ進行に伴う行動可能範囲の制限

フィールドが全て広大な1枚絵で形成され地続きであった前作と異なり、本作ではシナリオ毎にフィールドマップが道路やトンネルなどの通路でハッキリと区切られている他、グラフィックの表現力も上がって箱庭的な趣が強くなったため、前作と比べると全体的に狭さを感じさせられます。
シナリオ進行に関してもシナリオの攻略順が明確に固定化されており、それに伴ってフィールドの行動範囲が制限されます。
このため、前作や同時代の他のRPGに比べるとシナリオ面・行動範囲両面において自由度は低めです。
前作は鉄道が利用できるようになった中盤以降の自由度が非常に高かったため、それと比較すると本作の自由度の低さが不満点として挙がる事がままあるのは仕方がない部分ですね。

パーティ編成面での自由度の低さ

ポーラ、プーがそれぞれ、あるイベントで前触れなしに強制離脱してしまいます。
特にプーは前後でセーブできない状態で離脱するため、持たせていたアイテムが暫く取り戻せなくなってしまいます。(キーアイテムは除く)
離脱によってこちらは戦力が低下する訳ですが、敵の強さはほとんど変わらないため相対的にきつくなってしまうところも痛いです。
さらに、ここでテレポートを使うと同じダンジョンのやり直しになってしまい、余計きついことになります。

総評

長時間プレイ(2時間位)するとパパから休憩をすすめる電話がかかってきます。これは前作「MOTHER」からの仕様です。そして、MOTHERシリーズは長時間プレイに釘を差すゲームとしては先駆的存在だったのです。

『MOTHER2 ギーグの逆襲』パッケージ裏

Amazon | MOTHER2 ギーグの逆襲 | ゲーム

当時の標準的なRPG像と大きく異なる前作の特徴は「MOTHERらしさ」という言葉でよく言い表されます。その独自性を保ったままの完全新作が遊べる事を喜んだファンは多かったでしょう。
オーソドックスな戦闘システムは一風変わった緊迫感のある戦闘システムへ洗練、昇華され、より広く深く掘り下げられた世界観もたっぷりと楽しめます。
他のRPGでは味わえない独自性と「少年少女の大冒険物語」という王道さを兼ね備えた、まさしく「大人も子供も、おねーさんも」楽しめる、後世に残したい傑作です。

余談

本作を語る上で外せないのが、プログラミングを担当した岩田聡氏に関するエピソードですね。
開発当時は相当に行き詰っており頓挫しかかるほど難航を極めていたのですが、これを見た岩田聡氏が「いまあるものを活かしながら手直ししていく方法だと2年かかります。イチからつくり直していいのであれば、半年でやります」と言い実現させたというエピソードは、氏のプログラミングの手腕を含め、現在でも語り草になっています。
「MOTHER2 ふっかつさい 記念対話」によると、その当時グラフィック、シナリオ、サウンドなどの素材は完成していたものの、ゲームとして動かせる状態には無かったようで、岩田氏がプログラムを手がけると半年で動くようになっていたらしいです。
そのような困難な過程を経て作られた本作のプログラムですが、ロムの解析が進んだ現在では、凝った作り込みが所々に確認できます。
例えば、データの破損に対して入念な対策が施されているとか。二重のエラーチェックでセーブデータの故障を防ぐほか、万が一の場合でも復旧できるようバックアップ用に予備データが保存される仕組みを搭載。おかげで、本作はデータがすごく消えにくくなっています。
それでも消えてしまった場合のメッセージがさりげなく用意されていたりも。
海賊版対策も「強引に起動していた場合エンカウントが異常に増える」「最後の対策がギーグ戦中に発動する」などといった形で5重に仕込まれていることが判明しています。

最後に ~8 Melodies~

『MOTHER2』を遊んでいると、ふとしたセリフの中に哲学を感じることが多々あります。年齢を重ねるにつれて、思わぬ場所での何気ないメッセージに、思わず「人生って、そんなところがあるよね……」と考え込んでしまうことが増えてきて、今さらながら『MOTHER2』の深さに感心してしまいます。
そんな『MOTHER2』は、今はWii Uのバーチャルコンソールで気軽に遊べます。20年前以上前のことを思い出しながら遊ぶもよし。まだ遊んだことがない知人にオススメするもよし。筆者は自分の子どもがある程度の漢字が読めるようになったら遊ばせたいなと思っています。小学生には難しい内容かもしれませんが、ポーキーへのむかつきとか、マジカントやムーンサイドでの衝撃とかは、子どもの時のほうが心に残るような気がしますので。

本稿で記載しております情報は、ゲームカタログ@wikiから引用させていただきました。

出典元はコチラです。

MOTHER2 ギーグの逆襲 - ゲームカタログ@Wiki ~クソゲーから名作まで~ - アットウィキ

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