概要

『スペースチャンネル5』ドリームキャスト版 パッケージ
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本作は、セガがドリームキャストで発売したリズムゲームです。
『スペースチャンネル5』というタイトルですが別に5作目という訳ではなく、作中に登場する同名の放送局名に由来しています。
新人リポーター「うらら」がダンスと音楽で世界を救うという、どこか70年代のディスコ映画を髣髴とさせるバカゲー感漂う一作でした。
しかしゲーム自体は作りこまれており、一昔前のSF的世界観にうららを取り囲む個性的なキャラクター、何より聴き応えのあるハイセンスな楽曲の数々は好評を博しました。
また、世界的に有名なシンガーソングライター/ダンサーの「マイケル・ジャクソン」がゲスト出演した事でも話題となりました。
ストーリー
AD2489年。スペースシップ遭難事故で最期の遭難者となった少女は宇宙放送局「スペースチャンネル5」のリポーターに救出される。
10年後、スペースポートに突如「モロ星人」と呼ばれる宇宙人が襲来、収容されていた人間が "踊らされる" という事件が発生する。
この怪事件の現場をリポートするため、「スペースチャンネル5」の新人リポーター「うらら」はスペースポートへ向かう。
やがてこの事件がスペースチャンネル5を危機的状況へ陥れる事となる…。
ゲームの特徴
大まかなゲーム内容
踊り自体はアップ、ダウン、ライト、レフト(↑↓←→)を基本にAB(や○×)ボタンを駆使して、先に行われる相手の動きを模倣するというものです。
大昔(1978年)にあった電子ゲーム『サイモン』を音ゲー風にリバイバルしたものでした。『サイモン』との大きな違いはボタンが増えたこと、リズムも真似なければならないことなどがあります。
時には銃で相手を倒したり、踊らされた一般人を救出ビームで助けたりとシューティングの要素も取り入れられています。お手本に併せて正解を入力すれば救出ビームが命中するため、演出上の要素ですが。
「シチョーリツ」が大事
ゲームは「テレビ中継リポート」の形を取っており、ゲームシステムや演出に結びついています。
踊りを完璧に決めると段々と「シチョーリツ」が上がっていきますが、ミスすると視聴率が下がっていき、遂には番組打ち切りとなってしまいます。
ダンスパートではライフも存在しますが、ミスに対する保険のようなものです。
最高で視聴率は100%。作中では度々ディレクターからそれらに個々の反応がなされ、テレビ中継という設定を存分に活用しています。
2周目の「エキストラモード」では視聴率によりステージ分岐が発生します。
実際のプレイ動画
上 「普通にプレイ」 下 「マイケル登場」
評価点
ゲーム内容について
ストーリーはミュージカル仕立てでテンポ良く進むため、見ているだけでも飽きません。ラスボス戦はかなり感動的な展開でした。設定のシュールさ故に終始バカゲー的ですが、レトロフューチャーも意識しており格好良さも感じられます。
タイトルにもあるように、なんでもかんでも宇宙の出来事で、人物や物までも「スペース」が付いています…。
主人公の「うらら」は見た目や喋り方などが独特であり、所謂テンプレ的な可愛い少女とは言い難いキャラ造形になっていますが、踊りにかける熱意を十分に感じ取れる描写が多く、非常に好感が持てます。「キャラクターの魅力はデザインや声優が全てではない」の好例といえるでしょう。
本作の後も、セガを代表するキャラクターの一人としてセガのオールスター作品やクロスオーバー作品で活躍しています。
ディレクターである「ヒューズ」を始め、ライバルの「プリン」や「ジャガー」といったノリの良いキャラクター達はユーモアに溢れており世界観を盛り上げています。
敵キャラのモロ星人も「人間を踊らせる」という目的のみで行動しているためか会話のノリが軽く、敵ながら愛着が持てます。
一般人キャラを救出すると、うららの後ろについて一緒に踊ってくれます。
また救出した人数によって踊りや音楽が変わるため、それらの分岐を見るやりこみも楽しいです。
二周目になると登場キャラ等が一周目とは若干変化し分岐が発生するという作りこみで、全体的なボリュームの少なさもカバーしています。
マイケル・ジャクソンについて
先述の通りあのマイケル・ジャクソンも「スペースマイケル」として登場しています(声も本人当て)。
アメリカに所用で出向いていた内海州史エグゼクティブプロデューサー(当時)が「マイケルがSEGAに対して怒っているようなので話を聞いてきてくれ」といわれ、本人の宿泊しているホテルへ出向いたところ、本人より「SEGAはマイケルジャクソンのゲームを作ると契約しているのに作ってくれない」との抗議を受けました。マイケルは大のSEGAファンでもあったのです。そこで製作中だったゲーム『スペースチャンネル5』を見せたところ「歌と踊りで銀河を救う」というダンサーのマイケルとしては大いに興味が沸く代物であったため、マイケル本人もいたく気に入り「自分もこのゲームに出たい!」と志願され、即出演が決まったらしいです。
問題点
入力判定がシビア
相手の動きを模倣するという都合上、音ゲーでは一般的な目安となる表示が特に存在せず、後述する仕様により相手のテンポとピッタリになるよう入力してもミス扱いになる事が多いです。このため既存の音ゲーとは少々違う感覚であり、一見して自分のミスした原因を理解しにくいです。コツを掴めない人にとってはとにかく思うように進めない仕様になっているのが残念です。
攻略では『画面より音楽に合わせてノリで入力する』と、処理落ちしていてもタイミングが合致しやすい…らしいです。
初心者向けの練習モードもなく、ステージに失敗すると最初からやり直しになってしまいます。
シビアな割に「処理落ち」や「音ズレ」が発生する
リズムやテンポと入力タイミングが重要なのですが、処理落ちが発生する箇所があります。
プレイステーション、セガサターンのRPGで良く用いられた「プリレンダリングムービー」を動く背景として再生し、その上に3Dのキャラクターを描写しています。
これにより背景が常に動きつつも、うららやモロ星人などがスムーズにダンスするという表現を実現しています。
しかし救出者が多数になった場合や素早いオブジェクトが飛び交うシーンなどで処理落ちが顕著に発生してしまいます。
音ゲーでは「致命的」(アーケードゲームではゲームとして成立しないほど)とも言われるこの仕様ですが、そもそも曲とストーリー、ノリを楽しむものでスコアを競ったりするゲームではないため、大きな問題点としては上げられていない場合が多いです。
総評

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演出・キャラ・ノリは全てにおいて高水準です。ドリームキャストのスペックをフル活用し、独自の世界観を作り上げ、未だに根強いファンを持つ傑作です。
スペックを最大限に活用した影響か処理落ちや判定ズレなども発生しますが、ノリとストーリーへの没入感を深めると全く気にならなくなり、また終始明るい雰囲気や終盤の胸打たれるアツい展開に感動さえも感じるほどで、ただの音ゲーの枠にとらわれない魅力ある物となっていました。
本稿で記載しております情報は、ゲームカタログ@wikiから引用させていただきました。
出典元はコチラです。
スペースチャンネル5 - ゲームカタログ@Wiki ~クソゲーから名作まで~ - アットウィキ