『ガンプラり歩き旅』その47 ~特別企画・1 1/144 歴代コア・ファイター全機集合!~

『ガンプラり歩き旅』その47 ~特別企画・1 1/144 歴代コア・ファイター全機集合!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第47回は、過去から現代に至る間に、発売されたキットに付属していた、1/144 コア・ファイターを全て揃えて紹介する特別企画です!


今回紹介する全コア・ファイターが編隊を組んで宇宙を飛行しているデジラマ。実はこれは、富野由悠季氏の小説版『機動戦士ガンダム』冒頭の、コア・ファイター宇宙訓練の図の再現画像でもある

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回の特別企画は、ガンプラ開始から37年間の間に、ガンダムやGアーマー、コア・ブースターなどのキットのオマケで付属していた1/144のコア・ファイターを、全て揃えて比較しながら、その歴史と流れを追っていきます。

1/144 コア・ファイター 5種

見よ! 37年間のガンプラの歴史で、1/144で立体化された5種のコア・ファイター勢ぞろい!

今回紹介するコア・ファイターの、『機動戦士ガンダム』(1979年)作品内の設定では、地球連邦軍のV作戦モビル・スーツ、ガンタンク、ガンキャノン、ガンダムの3機のそれぞれの腹部に変形収納され、小型核融合エンジンとなり、同時に緊急時や機体破壊時には、パイロットと学習コンピュータデータの帰還率を高めるための、緊急脱出カプセルを兼任するとされている。
また、作戦次第では戦闘中の換装や合体の可能性もあるため、必要最小限の、ミサイルやバルカン砲程度の武装を有する、小型戦闘機としても活躍する。
戦争後半では、Gスカイやコア・ブースターの機首部分も担当して、ホワイトベースの戦力増強に一役買った。

一方、1979年の本放映当時、コア・ファイターを使ったコア・ブロックシステムを売りにした、ガンダムの合金玩具を発売していた、『ガンダム』メインスポンサーの玩具会社クローバー的には。
コア・ファイターは、コア・ブロックに変形することで、ガンダム、ガンタンク、ガンキャノンのどれとも合体できる万能戦闘機であり、コア・ブロック変形時は、それぞれのスーパーロボットの腹部をモノコックで構成するパーツになる。
ガンダム達3機のメカは、このコア・ブロックを挟むことで、各自の上半身と下半身を縦横無尽に組み替えた自由自在な変形(3×3なので、9種類)が可能で、敵や地形に合わせて、その時々のシーンに最適な形状で戦う機動戦士となる。

時代時代の解釈の差や、商品ギミックの違いなどから生み出された5種類のコア・ファイター

この、アニメ作品設定内(もしくは、富野監督以下『ガンダム』スタッフ)と、玩具会社クローバーの、ビジネスとしてのコア・ファイターの扱いの差が、かなり明確に、ガンダムブーム当時、初期視聴率の低さや、その後の評価のうなぎ上り、劇場版映画の興行成績の高さ、アニメ設定を重視したガンプラの社会現象、放映当時は悪かった玩具の売り上げが、放映終了直前から右肩上がりを見せたクローバー、といった、様々なビジネスの結果論を生み出すわけだが。

その「コア・ファイターへの温度差」と、今回の特別企画の「歴代コア・ファイター勢ぞろい比較」論に移る前に、上記した、相いれない現場とスポンサーの「合体ロボット・ガンダム」に対する思惑の表現的帰結としての、アニメ版の合体描写などを、まずは軽くおさらいしてみよう。

「コア・ファイターコンビネーション! ガンダム・イン!」

本編バンクにも使われた、オープニングでのガンダム合体シークエンスより、まずは飛行しているコア・ファイター

機首ノーズが縮んで、さらに機体底面に向かって折りたたまれる。

本編バンクにも使われた、オープニングでのガンダム合体シークエンスより、まずは飛行しているコア・ファイター

コア・ブロックにガンダム下半身(Bパーツ)が合体した状態。

コア・ブロックが箱型をしているだけではなく、Bパーツとの間に隙間はなく、コア・ブロックの下段の青と赤の部分が、ガンダムの腹部の下部を形成するギミックであることがここで分かる

完成したガンダム。

この画像でポイントは、合体の時のスパークの位置。明らかに「Bパーツと上半身(Aパーツ)の合わせ目」ではなく、腹部と胸部の合わせ目でスパークしている。

以上の検証でお分かりのとおり、そもそもガンダムのデザインで、腹部中央の青いパーツも、腹部外周の赤いパーツも、なぜ段差が出来ているのかといえば、「そこ」がコア・ブロックとAパーツの境目であるからで、ガンダムの合体の基本理念は「こちら」が“正しい”のである。

だが。
3×3=9種合体変形までのトンデモ設定は笑い話で済むが、この合体方式も、富野監督、安彦良和アニメーションディレクター的には「玩具ならまだ誤魔化せるかもしれないが、コクピット部分が引き出し式で、なおかつAパーツのカバー部分とシームレスに繋がる腹部を作画していくのは不可能」「そもそもクローバー合体方式だと、一番危険なコクピットが、ほぼむき出しのまま腹部で正面を向いて戦闘を行うわけで、それは兵器の設計概念として無茶苦茶過ぎる」という嫌悪感と反発を呼んだ。

なので、アニメ現場では徐々に、変形したコア・ブロックを、完成した上半身のAパーツが、丸ごとすっぽり上から包み込んで合体する「かぶせ式」の演出を、バンク以外では採用するようになっていったのだが、そこへさらにクローバーが、クリスマス商戦用に提示してきた「Gアーマー」なる合体(今で言う)サポートメカが話をややこしくしてしまった。
Gアーマーの7段変形を作劇や演出に取り入れるには、コア・ブロックとAパーツの合体は「むき出し型」にせざるをえず、そうでないとGブルやGスカイのシルエットが成立しないのだ。

なので、最終的な、劇場版まで含めた『ガンダム』の、合体、分離の演出では、二次元の嘘、矛盾したコア・ブロックとAパーツの組み合わせが随所で描かれることになった。

バンク以外で描かれた、ガンダムとコア・ブロックの合体シーン4種

写真左側上下は、完全にコア・ブロックの下段がむき出しの合体方式である。右側上段が、劇場版新作画などで徹底され、現代のガンダムのコア・ブロック合体方式の正解とされている「かぶせ式」。右側下段は、Gブルからの合体のせいで、一番矛盾と嘘が入り混じった「コア・ブロックカバーBパーツ側式」である。

そこでもう一度、今回用意した「1/144の」「コア・ファイター5種類」に戻ってみよう。

様々な大きさや解釈があって、とても同一スケールの物とは思えない。

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