『メディーバル 甦ったガロメアの勇者』とは
『メディーバル 甦ったガロメアの勇者』はSCEケンブリッジスタジオ(現:ゲリラケンブリッジ)製作の3Dアクションアドベンチャーゲームです。
PSのポリゴンでここまで芸術的に見せられるか、というくらい美麗なグラフィックと軽快な操作性が特徴です。主人公「フォーテスク」の強化を兼ねた聖杯集めなどのやりこみ要素もあり、難易度も高すぎず低すぎずで良好なバランスでした。
主人公がゾンビ(というよりスケルトン)なのをはじめ全体的にホラー系ではあるものの、自分の腕を取り外して棍棒のように振り回せたりとどこかコミカルな世界観やキャラクターも魅力です。

『メディーバル』パッケージ
Amazon | MediEvil 甦ったガロメアの勇者 | ゲームソフト
あらすじ
ガロメア王国を魔物を率いて、王国支配を企むザロックと言う名の妖術使いがいた。王に仕えていた騎士ダニエル・フォーテスクは王国軍を率いてザロックの魔物と戦い、勝利するが深傷を負い、静かに永遠の眠りにつき、「ガロメアの勇者」と称えられていた。100年後、ザロックが復活し、ガロメア王国は危機にあった。墓地から復活したダニエル・フォーテスクは再びガロメア王国を救うため立ち向かう。
特徴
ゾンビや幽霊と戦うホラーベースのアクションゲームでありながら、主人公も骸骨です。
悪の魔術師ザロックが墓地からアンデッドの軍団を甦らせた際、うっかりフォーテスクも甦らせてしまったのです(笑)。
また、どういうわけか顎の骨がなくなっているため、モゴモゴとしか喋ることができません。
各所でザロックの軍団を倒しながら、ガロメア王国を救うためにザロックを追うことになります。
道中、あるいは聖杯を集める(後述)ことで、新たな武器を入手可能となっています。
ロックマンシリーズさながら、さまざまな武器を使い分けて戦っていきます。
設定だけ見ればシリアスな王道ファンタジーでありながら、ユーモラスな戦いを繰り広げていく、そんなホラーコメディ作品です。
ゲームの舞台は13世紀の中世のイギリスですが、舞台となるガロメア王国は架空の王国です。プレイヤーは骸骨の姿となって復活した、勇者ダニエル・フォーテスクとなり、ガロメア王国を守る為、ザロック率いる魔物と戦っていきます。

様々な形で精神に攻撃してくる、不気味で愉快なクリーチャー達
※書籍は岸辺ミル所有の物
プレイ動画を見てみよう
40秒くらいから始まります。骸骨やゾンビなどの不気味なキャラクターがコミカルに活躍する様はあやしい世界と相まって、遊び手をそそる感じです。
CGの綺麗なムービーも見てみよう
ネタバレがあるのでこれからプレイする人は最初の数分だけ見て雰囲気を楽しみましょう。
評価点
ダークかつユーモア溢れる世界観
中世ヨーロッパを舞台に、呪術師ザロックの魔法によって浸食されたシリアスなようでどこかコメディな雰囲気を見事に醸し出しています。
時折入るムービーは極めて美麗で(上で紹介しています)、かつおどろおどろしいホラーテイストを余すところなく演出していますね。
ゾンビ出現時はまず地面から棺桶が湧き出、棺桶が開いて出てくる、と細かい演出も多いです。
一見はちょっとしたゾンビ退治ものの無双ゲームのように見えて、会話やギミックにはコメディ要素も満載です。それでいて、コメディとホラーがミスマッチすることなく共存しているのです。
『眠れる街』というステージでは、図書館のような建物内でこの世界設定を詳しく読むことができます。
生命ボトルによる残機制
各所で「生命ボトル」というものを入手し、これを生命の泉で満たしておくと死んでしまった際に復活できます。
生命ボトルは、所々で湧き上がってくる回復ポイントである「生命の泉」で満たすことができ、入手できる生命ボトルの数はクリアするために過不足のないちょうどいい数が用意されています。
特に困難な足場ジャンプを行う場合、失敗して死んでしまってもほぼその場で即座にやり直せるので非常にテンポが良いです。

多種多様な英雄の武器
※書籍は岸辺ミル所有の物
「聖杯」システムと多種多様な武器
ゲーム中では、敵を倒すごとに「聖杯」が満ちてゆき、100%になると聖杯が実体化して取得可能となり、ステージクリア後に「英雄の館」へと招待されます。英雄の館では新しい武器を1つ入手することができます。
英雄の館で入手できる武器は剣、斧、槌、弩、弓、雷など遠近満載。それぞれ特徴が違うのでゲーム中は状況に応じて使い分けていくことができます。
武器によっては残弾数や制限時間などが存在しますが、途中のショップで補充することが可能です。
聖杯を取らなかった場合は新しい武器はほとんど入手できませんが、それでもクリア可能なように設計されています。匠の技!
自由度の高いゲームシステム
一度クリアしたステージは何回でも再挑戦でき、どのタイミングでも中断して即座にマップに戻ることができます。これを利用してお金を稼いだり、生命ボトルのストックを補充して直ぐにマップに戻ったり…を繰り返して万全の状態に保つことが可能なのです。聖杯をとらないままクリアしてしまったステージの再挑戦も容易であり、各ステージの難易度が高めなので救済措置ともとれますね。
多彩なギミック、美麗なキャラクターデザイン
ステージをクリアするにおいて、進行するためには多種多様なギミックを解いていく必要があります。障害物をどけたり、パズルを解いたり、なぞなぞに答えたり、特定のアイテムで修理をしたり、特定の箇所を破壊したりと、バリエーションが非常に豊富で飽きさせません。
近くに配置された書物に、特定のギミックを解くヒントが載せられており、謎解きの要素も多いです。
また、3Dゲーム初期にしては、グラフィックとデザインがとても秀逸で、特に道中のボス「ステンドグラス・デーモン」はその外観や散り様に定評があります。
問題点
各ステージの所要時間
場所にもよるのですが、ステージ1つの攻略に非常に時間がかかるものがあり、謎解きをするステージの場合は1時間近くかかる可能性もあります。
ポーズはあるものの途中セーブやチェックポイントの類は無いので、ある程度の時間を作ることが必要不可欠になっています。
遠距離武器の照準
遠距離武器の照準は、緑の光点が照準を合わせた敵に飛んでいくという形で表示されますが、基本的にフォーテスクの正面直線状にもっとも近い位置にいる敵にロックオンされ、制御が非常に困難です。特に飛行する敵が複数出現するようなステージや、攻撃してはならないキャラが入り混じるステージでは、微調整しにくいこともあって非常に鬱陶しいでしょう。
総評と感想

「メディーバル」の攻略本が物置から出てきました!
※書籍は岸辺ミル所有の物
痛快かつクスッと笑えるアクションアドベンチャーです。
大ヒット作のように光る部分や濃いやりこみ要素は無いものの、総合的にボリューム、難易度、ストーリー展開などバランス良くまとまったゲームであると言えるでしょう。
アクションもシンプルでありながら応用性があって、操作性も意外と簡単でとっつきやすい感じでした。PSのアクションゲームの中でも傑出している、素晴らしい出来のゲームだと思います。
変化に富んだステージ、コミカル且つダークな雰囲気のデザイン、絵本のような世界観、王道の中にもヒネリの効いたストーリーなど、見所は枚挙に暇がありません。当時としては斬新な主人公設定で、謎解きやギミック満載のホラーコメディゲームを制作したSCEケンブリッジスタジオには脱帽です。
現在はPS storeにてお手頃な価格で配信しているので、気軽にプレイを楽しむことが出来ます。また、PS4でフルリメイクされるという噂も入ってきているので、PS系本体を持っている方は是非!
余談
『ジェームズ・ポンド』シリーズを手がけたChris Sorrell氏がこのゲームのオリジナルのコンセプトを制作し、ゲームのクリエイティブ・ディレクターを務めています。Sorrell氏はティム・バートン監督の『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』とカプコンの『魔界村』の大ファンで両作品の融合したゲームだったと述べています。
『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』っぽいなぁと、薄々感づいてはいましたか?