『ガンプラり歩き旅』その41 ~1/35 超精密モデルのコア・ファイター登場!~

『ガンプラり歩き旅』その41 ~1/35 超精密モデルのコア・ファイター登場!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第41回は、ガンプラ屈指の変化球傑作キット、1/35のコア・ファイターです!


天駆ける、コア・ファイター!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回紹介するのは、『機動戦士ガンダム』(1979年)作品内では、影が薄かったかもしれないけれど、ガンダムの影に隠れた「真なる主役メカ」ともいえたコア・ファイターの、U.C. HARD GRAPHシリーズの1/35スケールキットを紹介します!

コア・ファイター 1/35 U.C. HARD GRAPH 007 2011年2月 4500円

ボックスアートは縦長の油画調で、メカニックマンやセイラ等、キット付属のオプションも全て描き込んだ力作

コア・ファイター! 『機動戦士ガンダム』の真なる主役メカとも言える、コア・ファイター!
コア・ファイター! 立ち位置的には『マジンガーZ』(1972年)の、ホバーパイルダー的メカで、たまに目立っていたぞ、コア・ファイター!
コア・ファイター! ガンダムと合体する時に、突然どこからともなく少年の声で「コア・ファイターコンビネーション! ガンダム! イン!」とか幻聴が聞こえてきたら、君は本当のガンダム世代だ、コア・ファイター!
コア・ファイター! 『ガンダム』最後の感動のラストは、この合体飛行機がなければ成立しなかったぞ、コア・ファイター!

完成状態の1/35 コア・ファイター。存在感と精密感のバランスが絶妙!

今回紹介するのは、そんな主役メカ(?)でも、過去にはガンダムやコア・ブースターの付属キットとしてしか商品化されたことがないコア・ファイターの、1/35スケールの、ミリタリーテイスト溢れる、単独大型キット!

再現画像では主に『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』での、コア・ブースターコクピットに使用した

「ガンダムシリーズに登場する小型メカや兵士を、ミリタリーモデル世界標準スケールの1/35で、あくまで実在していたかのようなハードディテールと解像度で、緻密なハイエンド模型を送り出す」というコンセプトで始まった、ガンプラの高価格帯モデルシリーズ、U.C. HARD GRAPH。

今、発進せんとする、セイラのコア・ブースター

当初はミリタリーモデルテイストで、「ジオン公国軍 機動偵察セット」「ジオン公国軍 ランバ・ラル独立遊撃隊セット」「地球連邦軍 陸戦MS小隊ブリーフィングセット」などを2006年から2007年にかけて販売展開していたが、なにぶん国際スケールゆえに、既存のミリタリーモデルとは絡めても、肝心のガンプラで絡められる過去作が殆どないというのが現状で、しかも価格は高価格帯。
いわゆる「1/35のEXモデル」と解釈して貰えばいいだろうか。

スレッガー「やれやれ。棺桶に入ったままお陀仏かよぉ! ブリッジ! コア・ブースター、出らんないのぉ?」

結果、シリーズは早くも2007年11月の「ジオン公国軍 サイクロプス隊セット」で息切れを起こし、あぁこのシリーズも、このままいつものごとく消え去るのかと、長年のガンプラファン、モデラー達は誰もが予想した。

しかし、2009年に突然バンダイが、地球連邦軍所属の61式戦車にスポットライトを当てだし、まず1月には「地球連邦軍 61式戦車5型”セモベンテ隊”」で、戦車のミリタリーキットの王道の1/35版を、続いて2月には、この連載でも紹介した、1/144の61式戦車に、HGUCザクや謎のパーツ群を絡めた「ザク地上戦セット」を、それぞれ販売した。

戦場で、血で血を洗う宇宙で実兄と、兵器を通じて再会する妹・セイラ!

その後、またもや休眠期間を経たと思ったら、今度は2年後の2011年2月に、今回紹介する「地球連邦軍 多目的軽戦闘機 FF-X7 コア・ファイター」が発売されたという経緯があったりする。
なお、U.C. HARD GRAPHシリーズ自体、その後若干の雑誌付録キットやガンダムフロント東京限定キット等が発売されたが、事実上の正規シリーズの発売展開は、このコア・ファイターで止まったままである。

真横から見た1/35 コア・ファイター。若干トップヘビーか

というわけで、ようやく今回のお題・1/35 コア・ファイターの話になるのであるが、要するに「そういう流れ」なのだ。
「ザク地上戦セット」も含んだ結論でいいと思うが、ガンプラブームが80年代初頭に、スケールミリタリーモデラーを巻き込んで一気に社会現象化したこと自体は事実だし、それは今でも、現役ガンプラモデラーの中には、スケールモデラー出身者や、ミリタリーモデラーを兼ねてるファンもかなりの数がいるのだが、かといって、商品コンセプトを、あまりにも地味に、ミリタリーモデルテイストに振り切ってしまえば、なかなかビジネスとして結果が出るものでもなく、上記したが、1/35では絡めるキットも少ないため、どうしても通常ガンプラより若干お値段も難易度も高めなキットを、極めて狭い商品バリューの中で楽しまなければいけないという部分が、EXモデルシリーズよりも、さらにマイナー化してしまったこのシリーズの致命的な欠点であった。

キットを真上から見た状態。全体のシルエットや、色味の彩度などがよく分かる

「その欠点」を補おうと、突然1/144へ舵取りをした「ザク地上戦セット」「陸戦型ガンダム地上戦セット」の2種が、付け焼刃で泥縄だった感は否めず、EXモデルシリーズならばそれでもまだ「マイナーなメカを、既存の1/144キットと並べられる」メリットがあったが、U.C. HARD GRAPHシリーズの場合は、逆にそこをEXモデルと差別化してしまったがために、さらに追い込まれることになってしまったのだと思われる。

フロントノーズ周辺のUP。キャノピーの白枠は付属シール処理

しかし、そんな“失敗シリーズ”でも、最後の賭けに出たのが本商品であり、それは「1/35に拘る」「実存兵器テイストに拘る」の、シリーズ当初の志を持ち込みながらも、過去のガンプラで、誰もが一度は思いつきつつ、その思い付きを組み込めるシリーズが無かったがゆえに実現化しなかったとも言える「1/35のボリュームと大きさ」で「各部ディテールや解像度が緻密」かつ「『機動戦士ガンダム』の、ある角度での真の主役」を単独キット化するという、バンダイ側の挑戦と試みが、見事長年のガンプラユーザーのツボを突いて、結果が果たせられたのが、今回のこの「U.C. HARD GRAPH 1/35 地球連邦軍 多目的軽戦闘機 FF-X7 コア・ファイター」だったのである。

しっかりとスライドオープンするキャノピー内部のコクピットも作り込まれており、アムロもしっかり座っている

キットの難易度も、HGUC以上、MG以下のレベルに抑えられており、塗装も、翼端灯や細部のディテール以外は、基本的な赤、青、白、グレーに関しては、淡い色調にアレンジされているものの、キットの成型色分けでほぼ完璧に仕上がる。
着陸脚や、キャノピーのクリアパーツはもちろん完備。劇中で使用シーンのあった、ボディからの小型ミサイルの連射ギミックも、発射展開状態がしっかり再現されている。

ミサイル発射ギミックの展開状態。劇中どおりの開き方とミサイルの並び方である

また、可動ギミックとしては、機体両脇のインテークの可動ギミックや、垂直尾翼の方向舵(ラダー)の可動に加え、このキットは単独でコア・ブロックに変形することが可能で、またその際には、コクピットが変形との連動で90度回転し、ガンダム時のシート位置に移動するというツボを突くギミックも付属している。

フロントのインテーク周り。インテークのフィンは一枚単位で可動する

こうなると、当然無茶ブリのネタ的に「このコア・ファイターが収容できるガンダムが欲しいよなぁ」とか言い出す人(馬鹿)が出てくるが、大概においてこの手の趣味の世界では、そういう無茶要求を言い出す人ほど、いざ発売されても買わない法則というのが存在している。
現実的に望むなら、せいぜいが、せっかく主翼がたためるのだから、同スケールのコア・ブースターユニットをプレバンで、とかだったらまだ可能性がなくもないが、1/35 ガンダムなんて、価格設定どころか、置き場所がまず普通に無いだろう。

可動ギミックとしては、この方向舵(ラダー)の可動も、航空機モデルらしさを醸し出してくれている

もっとも、バンダイはたまに純金製フィギュアとかの「損得とか需要とかを抜きにした、出オチ商品」を突発的に送り出してくるので、1/35 ガンダムも絶対にありえないとは言い切れないのだが、どうやら今のところはマニアネタでとどまっているらしい。

後部ノズル・ダクト周り。精密でリアルなディテールが、実機テイストを実感させてくれる

さて、このキットの、肝心のコア・ファイターとしてのスタイリングは、コア・ブロックへの変形が災いしてか、若干のトップヘビーなプロポーションになってしまっている。コクピットからノーズへの部分が、メインボディに対して少し大きすぎるのだ。

もう一度、コクピットオープンを別角度から。独特の操縦桿や計器類もしっかりモールドされている

それでも、写真紹介では(ギミックを固定しての撮影が不可能なため)オミットしたが、キャノピーの開き方も、アニメでの演出通り、スライドとパックオープンと2通り再現されているし、そのコクピット周りのディテールも細かい。

真正面からのアップショット

U.C. HARD GRAPHの名に恥じず、後部エンジン回りの作りも精密で、なるほど1/35 戦闘機のプラモデルの設計概念を、上手くSFメカに落とし込んでいると納得できる佳作キット。

今回は『機動戦士ガンダムを読む!』では、コア・ファイターの出番としてではなく、主にコア・ブースターのコクピット周りを演出する際に、その解像度とディテールを活用させていただいた。

ここからは、コア・ブロックへの変形プロセスを見てみよう

折りたたまれる主翼。ボディにフィットし辛いが、角度やサイズに問題はない

機首がスライドして引っ込む。コクピットは全部が隠れることはないが、構造上ここまでがベスト

完成したコア・ブロック。これが腹部に収納できるガンダム……は、夢のまた夢

アニメ『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』(1982年)では、セイラやスレッガーが、コア・ブースターで攻撃を行う演出で、コクピットのキャラの演技を描写したまま、背景でコア・ブースターのメガ粒子砲が発射される演出が多々見らた。それは、このキットを使ってもそのシーンの再現にはならないが、少なくともコア・ブースターのコクピットの演出に関してはディテール感が増したと自負している。

しかし、コア・ブロックに変形すると、コクピット内でシートが90度回転して、コア・ブロック状態で正面を向くのは嬉しいギミック

なので、今回紹介するコア・ファイターのコクピットのパイロットも、最初はセイラ想定でイエローで塗ってあったものを、今回の紹介に際してアムロのカラーに塗り替えてある。

しかし、ここまで大型の、しかもコア・ファイター単独のキットを手にして脳裏によみがえるのは、やはりテレビ版第13話『再会、母よ…』であったり、劇場版『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』のラストであったりするのが、昭和からのガンダム者の性なのだが、そういう意味でも、やっぱりコア・ファイターは、『ガンダム』という物語の、主役メカであったのだと思いたい。

市川大河公式サイト

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