バーってどんな場所?

帝国ホテルメインバー「オールドインペリアルバー」
ライト生誕150周年記念メニュー [オールドインペリアルバー] | レストランプラン | レストラン・バーラウンジ | 帝国ホテル 東京
別にバブル期に限らず、昔からバーはあったんですけどね。
昔のバーと言えば2種類。
カウンターのみ(もしくはテーブル1~2台)の小さい店で
女性(ママとかホステスとか)との会話を楽しむ店の「バー」。
それから、とにかくお酒の種類が多く、
本格的にお酒を楽しむための「バー」。
ここで語りたいのは、後者のバーです。
バーとは、とにかく大人が行くイメージ。
飲み方を知っている、飲み過ぎない、騒がない、乱れない、上品で金払いがスマート(これ大事)。
なおかつバーは飯を食う場所じゃありません。
食事は別の場所ですませて、場所を変えて一杯、という場所が「バー」。
もしくは食事の席が用意できるまで、飲みながらゆっくり待つ場所が「バー」。
なのでバブル前のバーの大方はホテルにあるバーを指しました。
もちろん、オーセンティック(信頼できる、本物の)バーも昔からありましたが
それほど数は多くありませんでした。
なんでバブル期に流行りだしたのか

お金がたくさんあったらしいよ
まあぶっちゃけそういうことなんだと思います。
世の中が浮かれはじめて、ちょっとお金を出せば手が届くものに
どんどん人が集まり始めました。
バブル直前にあった「オールナイトフジ」あたりから始まる女子大生ブーム、
それに伴ってくるブランド志向やメッシー君とかアッシー君とか
とにかく「女性受け」する文化に人が群がった結果が
「おしゃれな、ちょっと敷居の高いバーに彼女を連れて行ってステキと言わせたい」
なんだと思うわけです。
その需要があったからこその、
あの「バー雨後のタケノコ現象」なのだろうと。
バーにもいろいろある
とにかく、いろんなバーがたくさんオープンしてました。
最初は「おしゃれ」と言われているカフェバーが多かったですね。
カフェバー
カフェバーのwikipediaでは、西麻布に1980年初めにオープンした「Redshoes」が
カフェバーのハシリとされています。
六本木で遊んだあと、始発を待つ人々が好んで利用したとのことで
内装に凝ったおしゃれな店だったそうです。
この店の扉に書かれていたのが「Cafe & Bar」という文字。

西麻布「レッドシューズ」
レッドシューズ - Wikipedia
「カフェバー」という名称はあっという間に広がります。ですが
本来ならお酒をメインにした店舗であったものが
昼間も営業、フードを主に提供する「なんちゃってカフェバー」が
やたらと増えました。
結果、レストランや喫茶店と何が違うの、という状態になり
バブル崩壊のあと、「カフェバー」という名称はほぼ見られなくなりました。

カフェバーによくあった内装
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ショットバー
ショットバーというのは和製英語です。英語にはない単語ですね。
ショットというのは、ウィスキーなどのボトルから1杯グラスにつぐこと。
女性のいるバーで飲む場合、たいがいはボトルキープが必要なんですが
ここではボトルキープは必要ない、グラス1杯、ワンショット単位で飲めますよ
という意味から「ショットバー」と呼ばれます。

Y's Land Bar IAN
Y's Land Bar IAN | タリスカーが飲めるバー・店舗を探す | タリスカー オンライン
ショットバーを標榜するお店は
とにかく多種類の洋酒を扱います。
それも、スコッチにこだわりのあるお店が多いですね。

丸い氷を作ってくれます
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ワンショットをストレートで、チェイサーに水を飲んで
というスタイルがスタンダードですが
もちろんロックも水割りも出してくれます。
手のあいたときには、バーテンダーさんは
アイスピックで氷を球形に削っているんだよ。
オーセンティックバー
オーセンティック(本格的な)バーというか
ショットもカクテルも得意です、というのが
ホテルのメインバーの流れをくんだバーですね。
流行りだからやってみました、的なノリのいい店ではなく
酒に対するポリシーに満ち満ちたお店が多かったし、
そういう店ほど生き残って行きました。
内装も重厚感あふれる正統英国式だったり
逆に無機質なモダンなものだったり。
それでもバーテンダーのしぐさやふるまいは一流で
シェイカーを振る姿が美しくて
それだけを見に行っていたこともありました。

カクテルが得意な店のバックバー
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バックバーとは、カウンターの背景、お酒の展示場所です。
カクテルを得意とするバーだと
スコッチやバーボンの他に
リキュール類の数がハンパなかったりします。
カクテルベースになるジンやウォッカは
カウンターの下の冷凍庫にしまってあるんだよ。
カクテルバー
実はカクテルバーという言葉はないです。
カクテルをやたら派手に作る店のことを、私はこう呼んでいました。

アメリカンな感じのお店が多いかな?
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たぶんトム・クルーズの映画「カクテル」のヒットから
この手のバーが増えてきたのだと思うのですが
オーセンティックバーのカクテルの作り方とは対極にある
パフォーマンスを見せるバーがこれにあたります。
フレアバーテンディングって言うんだって。

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バーでのあるある
とにかくさ
当時「バーに行っておしゃれに飲んで」なんて思ってる若造は
背伸びしたいおこちゃまだったわけで
分別のある大人から見たら、おバカなことをいろいろやらかしたりするわけです。
あちらのお客様から
よくあるシチュエーションとは思えないけどね。
美女が一人でカウンターで飲んでいると
バーテンダーが目の前にスッとカクテルグラスをすべらせてきて
美女が「?」と首をかしげると、バーテンダーが
「あちらのお客様からです」
で、目線の先に、カウンターの端に座っている紳士がいると。

「あちらのお客様からです」「え?」
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まあ「ありえねえ」んですけど。
で、そんなありえねえシチュエーションを、わざわざ作るわけです。おこちゃまは。
カップルがバラバラにわかれて入店して、これをロールプレイする、
あるいは2カップルで入って、お互いに「あちらの方にこれをお出しして」なんてやる。
バカだねえ。
甘いカクテルをぐいぐい飲む

ジュースじゃないから!
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主に女の子がやらかすあるあるで
ついつい甘くておいしいカクテルをぐいぐい飲んじゃって、べろべろになるパターン。
そりゃオレンジとかピーチとか果汁入ってるし色もきれいだし。
でも果汁じゃなくてリキュールだから!全部お酒だから!
カルーアミルクでやらかした子をたくさん知ってます。はい。
私のイメージでカクテルを作ってと無茶ぶりする
ちょっとバーに行きつけた頃の女性によくあるやつ。
すこーし顔見知りになったバーテンダーに
「私のイメージでつくってみてくれる?」
痛い。痛すぎる。
そんなの無理に決まってます。

色だけで見るとベタベタ甘甘なカクテルができてきたり
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強いカクテルをぐいぐい飲む
こっちは男性だな。
強いところをみせたいのか、
それとも「カクテル大全」とかで仕入れた知識を披露したいのか
けっこう強いカクテルを頼んじゃうやつ。
マティーニなら、とにかくドライがいいと言い張って
ジンの銘柄を指定したりしてね。

ショートカクテルのグラスはキンキンに冷やしてます
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ちょっとエロチックな名前のカクテルに
「ビトウィーン・ザ・シーツ」というのがあるんだけど
何かを期待してこれを頼んで、あんまり強くてまわっちゃって
自分が先にシーツに沈んじゃったやつも知ってます。
フードを食べられない状態で飲む

たいがいのお通しはナッツだね
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オーセンティックなバーは、基本フードはほとんどありません。
あったとしても、ナッツか、乾きものか、チーズか、キスチョコ。
バーで食べるつもりで来て、食べるものがなくて
空きっぱらに飲んで撃沈した人間も数知れず。
バーテンじゃないよ。バーテンダーだよ。
最後に。
ショットやカクテルを提供してくれる方のことを
「バーテン」と呼び捨てにする人がいますが
「バーテンダー」だからね。
「バー」+「テンダー(世話をする人)」だからね。
海外では「バーマン」とも言います。
資格がなくてもバーテンダーを名乗ることはできますが
ほとんどのオーセンティックバーのバーマンは、きちんと修行をして資格を取得した方ばかり。
いつもおいしいお酒をありがとうございます。
皆さんもたまにはバーに出かけてみませんか?

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