挙句には、プロポーションで比較した場合、純粋に「アニメに登場したゾック」を正解とするのであれば、HGUCよりも旧キットの方が満点に近いという逆転現象まで起きてしまう比較論がここで成立してしまう。
全身のギミックを活かして、精一杯のポージングを施したHGUC版ゾックの躍動感あふれる(?)ファイティングポーズ
とはいっても、それはあくまで「旧キットが、80年代初頭ブーム時においてはずば抜けてクオリティが高かった」からであって、HGUC版ゾックもまた、シリーズのオーラスを飾るだけあって、HGUCという枠内においては、かなり評価の高いキットになっている。
劇中再現より。腹部脇のメガ粒子砲で攻撃する!
もっとも、前後完全対象の構造を逆手にとって、前後同じパーツを2個ずつ用意する設計思想は、ともすれば大きさ的にもっと高額になったかもしれないHGUCゾックの価格を、2500円で抑えるためには賢明な措置だったと思った方がいいだろう。
その結果、HGUC版ゾックでは、もはやこの時期では珍しいレベルで、完成後に合わせ目が目立つ部分に並ぶことになるが、それもこれも「商品化されればこそ」の難点でもあるので、購入した人たちは、個々のゾックへの想いと技術次第で、合わせ目を消すもよし、そのままにするもよしという判断で「正解」なのだと思おう。
しかしその直後、機動性に優れるガンダムのビームライフルで一撃で粉砕される!
なんか、HGUC版ゾックを貶めたような文章ばかりが並んでしまった今回ではあるが、しかしそれはあくまでも、1981年当時の旧キット版ゾックの完成度が高すぎたという前提があってのものであり、HGUC版ゾックは、それ単独では充分に完成度は高いので、筆者の『機動戦士ガンダムを読む!』シミルボン連載の再現画像でも、HGUC版を躊躇なく選択した次第。
これで勢ぞろいした、俗に「ジオン水泳部」と呼ばれる、ジオン水陸両用モビル・スーツ群の5体!
キットは、その巨大なボリュームを充分な迫力と、適度な情報量で立体化していて、ボディ前後のクチバシ的な突起も別パーツ可動で再現。
可動も上で書いたように満点の出来で、これ以上どこをどういじれば「1/144のゾックの完成度」を高めろというのかという意味では、基本的にはこれで充分だろう(個人的には、例えばリアルグレード(RG)のシャア専用ズゴックなどは、普通に「やり過ぎ」だと思っている)。
ジオン水泳部を棚に揃えたい人にとっては、決して避けることのできない存在感として、このゾックは必須のアイテムであると言えるだろう。
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