バラエティ番組とは何ぞや!!
海外居住歴が長く、つい最近(2016年7月12日)死去したタレントの大橋巨泉が、ある経済誌のインタビューで「バラエティ―というジャンルの番組が存在するのは日本だけ」という旨の発言をしていた。
では、「バラエティ番組」のバラエティとはどういう意味でしょうか??
バラエティ番組の「バラエティ(variety)」という言葉は、「バラエティ・ショー」と名付けられた興業から派生した言葉であると想定できる。それが転じてバラエティ番組になり、「演芸の幾つかの要素(トーク・漫談・漫才・コント・コメディ・歌・クイズ・ゲーム・ものまね・ドッキリ・グルメ・ロケ・恋愛・雑学・奇術・心霊・お色気・視聴者参加型の企画など)を織り交ぜて構成される番組」と定義することができるのではなかろうか。
バラエティにもトレンドがある!!

『踊る!さんま御殿!!』の一場面
読者の方々は「バラエティ」と聞くと、想い浮かべるのは・・・、派手なスタジオセットの中に、お笑い芸人をはじめ、トークスキルの高い俳優やグラビア出身タレント、元アスリートに文化人、それにハーフタレントやオネエタレントといった多彩な面々がひな壇に座り、何らかの主題に沿って、面白可笑しくコメントする類いの番組ではないだろうか。その主題についても一般教養から恋愛、生活お役立ち情報まで、何かと学べる要素があるのが最近のトレンドだったりして・・・。
では、海外のTV番組のトレンドは??
海外では90年代の終わりから「リアリティショー」という分野が人気で、例えばアメリカでは、視聴者の電話投票で1人のスターを決める『アメリカン・アイドル』(FOX)や、大企業のCEOが自社の末端労働者に変装して潜入する『アンダー・カバー・ボス』(CBS)などが有名だ。このリアリティショーが、人気を博すと他国に“フォーマット”が売られるため、世界各国で『オーストラリアン・アイドル』や『アラブ・アイドル』といった姉妹番組が乱立している。
しかし、海外の傾向をいち早く取り入れてきた日本にもあって当然なのに、どのリアリティショーも日本の番組には存在していない!!何でか??
海外では90年代の終わりから「リアリティショー」が人気!!

『アメリカン・アイドル』

スーザン・ボイル

『アンダー・カバー・ボス』
日本はリアリティショー後進国??
いいえ。実は、私が紹介した『アメリカン・アイドル』や、『アンダー・カバー・ボス』などの「リアリティショー」は、読者の方も”ピン”と来ていると思いますが、日本では既に70年代からバラエティー番組の中に組み入れられていたのだ。『アメリカン・アイドル』のような番組スタイルは、既に『スター誕生!』(日本テレビ系)というオーディション番組で実績を残しており、沢山の歌手やタレントを輩出していた。それも『アメリカン・アイドル』が始まる10年以上前に!!。
また、『アンダー・カバー・ボス』にいたっても、既に90年代前半には同種の企画を『浅草橋ヤング洋品店』(テレビ東京系)で、「ファッション水戸黄門」や「お料理水戸黄門」と称してやっていたのだ。
クイズ番組から初歩のバラエティー番組に進化!!

『なるほど!ザ・ワールド』
1960年代~70年代にかけて、日本もクイズ番組を中心に、欧米のリアリティショー同様、視聴者参加のスタイルが隆盛を極めた時代があった。しかし、1981年に始まった『なるほど!ザ・ワールド』(フジテレビ系)をキッカケに、それらは一気に下火になり、代わって芸能人が解答者として出演し、トークそのものを楽しむ新たな潮流が生まれた。クイズも単なる知識を問うものから、出題自体を面白く見せるスタイルへと進化して行った。これが今日の「バラエティ」の発展系基礎の誕生であった。
日本はリアリティショーなんかとっくに跳び越えた超~先進国だった!!
前述の通り、フジテレビが始めた“バラエティ革命”で、その潮流はやがてクイズ以外に・・・。歌番組や動物番組、紀行番組などへもどんどん波及し、他局も巻き込み、気が付けば、かつて存在した多様な番組も応用系「バラエティ番組」へと変貌していった。気がつけば、日本では一大ジャンルを築くに至っていたのである。だから、大橋巨泉の発言も頷けるのである。
現在、バラエティ番組を大まかに分類すると、下記のような数になり、またこれらの複合系や合体系もあるらしい。
①「トークバラエティ」
スタジオでの出演者同士のトークが主となるバラエティ番組
② 「教養バラエティ」
クイズ形式などを用い、視聴者の教養となる知識を提供することを主とするバラエティ番組
③「音楽バラエティ」
ミュージシャンが出演し、楽曲を披露する内容が主となるバラエティ番組
④「情報バラエティ」
番組制作者側から提示・提供する情報を展開していくことを主とするバラエティ番組
⑤「演芸バラエティ」
漫才や落語、コントなど、演芸的内容を披露することを主とするバラエティ番組
⑥「課題克服バラエティ」
番組制作者、もしくは視聴者が準備した課題等を出演者が体験・克服することを主としたバラエティ番組
⑦「多コーナー型バラエティ」
特に決まった内容や企画は設けず、毎回、いくつかのコーナーを組み合わせて作りあげるバラエティ番組
⑧「映像バラエティ」
制作者以外が撮影した映像を紹介していくことを主としたバラエティ番組
⑨「ドキュメンタリー型バラエティ」
ドキュメンタリー番組の形態を用い、主に映像で表現することを主とするバラエティ番組
⑩「対決バラエティ」
スタジオ展開での芸能人同士の対決を主にしたバラエティ番組
⑪「特番型バラエティ」
バラエティという大きなくくりの中で、毎回、異なる内容の番組を特番形式で放送するバラエティ番組
実に多種・多彩の極み !!
ちなみに、日本で一番古いバラエティ番組は何でしょう??
それは、1953年2月20日から1968年3月25日までNHKで放送されたクイズ番組『ジェスチャー』である。テレビの特性を生かし、その草創期を代表する番組である。テレビクイズ番組の草分けとして有名だ。
そう言えば、かの有名な「紅白歌合戦」は最も歴史ある「バラエティ番組」だろう!!

『紅白歌合戦』のエンディングロール
なお、【1950年代】、【1960年代】、【1970年代】の「バラエティ番組」を別記事にて書こうとしているので、少々お持ち下さい!!