作者、佐々木倫子さんの出世作「動物のお医者さん」。
今読んでも、笑って癒される『動物のお医者さん』!世にハスキー犬と獣医学部の名を知らしめた珠玉マンガです! - Middle Edge(ミドルエッジ)
新米看護婦「似鳥 ユキエ」のナースとしての成長を描いた物語。
単なるナースまんがにとどまらず、原案に小林光恵さんという専門家を迎え、専門用語を多用しつつ、しっかり注釈も入れ、非常にリアリティに富む作品です。
ちなみに、家具の「ニトリ」の社長さんと同じ漢字のため、「ニトリユキエ」と読む人がツイッターなどでは多いようですが、主人公は「ニタトリ ユキエ」です。

原案の小林光恵さんの著書。
「片づけられない女」は太る (WIDE SHINSHO) | 小林 光恵 |本 | 通販 | Amazon
第1話からいきなり専門用語登場。臨場感がある作品。
「スピッツ」
もちろん犬の名前ではありません。血液検査で腕に針を刺す時の、試験管の小さくしたようなあの容器のことを、「スピッツ」と言うようです。きちんと注釈がありますのでわかりやすい。

これのことですね。「スピッツ」。
チューブミニS 凝固促進型分離剤入りスピッツ(セパラピッド) 1箱(600本) エグゼック 【通販モノタロウ】 68415348
ちなみに今は「看護婦」とは言いません。
ナースのお仕事。
ナースの世界は非常に厳しく、先輩ナースからは厳しい指導を受け、患者からは不満を一番先に受け止める役目となる立場にあります。
「命を守る」という仕事はそれだけ責任の重い仕事だということが、この漫画からはよくわかります。
ナースの世界を舞台にした作品としては、このドラマ「ナースのお仕事」が有名です。
この「おたんこナース」を原案としているという人も多いですが、調べてみても、また内容的にも、関連性はないようでした。
命を守る仕事のシビアさを描いている。
似鳥ユキエは新米ナースです。
しかし、新米ナースだからと言って、患者への治療が未熟でいいというわけにはいきません。
なので、先輩ナースは、早く一人前のナースになってもらいたいので、厳しい質問をどんどんあびせていきます。
新米ナースであるユキエには、求められている答えが答えられないことばかり。
厳しい叱責に、ユキエはいつも泣いています。
しかし、患者の前では、泣いている姿など見せるわけにはいきません。
パッと気持ちを切り替える、このことがナースには必要なのだということがわかります。
ビジネスにも通ずるナースの世界。
この「先輩ナースと新人ナース」とのやり取りは、ビジネスにも言えることではないでしょうか。
上司は、部下に厳しい指導をします。
それを昨今では、なんでもかんでも「パワハラ」と呼び、回避する傾向にあります。
もちろん精神を病むような暴言や、ましてや暴力などはいけないことですが、上司も、「怒りたくて怒っているのではない」場合もあるでしょう。
部下も、その上司の厳しい叱責の本当の意味が判別できれば、「パワハラか、そうではないか」を区別し、自分の未熟さを恥じ、一人前のビジネスマンに成長できるのではないかと思います。
仮にナースの仕事にこの「パワハラ」という言葉を持ち込んでしまうと、いつまでたっても先輩の助けが必要な「半人前の」ナースのままになってしまい、患者が必要な医療の提供はできないでしょう。
そういう意味では、「半分ビジネス書」のような作品なのかもしれません。
専門用語の注釈をもう一つ。
ムンテラ
ムンテラとインフォームドコンセントの違いについて | KAIGO LAB(カイゴラボ)
引用が長くなりますので、リンクを貼らせていただきます。
なかなかおもしろい内容です。
注釈では、一言「患者への説明」となっていますが、このリンクのタイトルのように、最近は「インフォームドコンセント」と言いますよね。
「ムンテラ」とは初めて聞きました。
ミドルエッジ世代のビジネスマンの皆さんは、いろいろな組織において、「下の人を育て上げる」という役目がだんだん強くなってくる世代です。
この「おたんこナース」は、上司の厳しい指導に一旦はしょげながらも、すぐに患者のため、そして自分のために気持ちを切り替え、成長していく部下としての似鳥ユキエを描いている漫画とも言えます。
すぐに「パワハラだ!」と決めつけ、自分の権利だけを主張するような部下ではなく、ユキエのような「なにくそ精神」を持った部下だったら、育てがい、指導のし甲斐がありますし、指導する上司としても、きちんと指導するスキルと自信が必要となり、上司自身も成長できるようなことになるでしょう。
この名作を、ぜひ皆さんもご一読されてみてはいかがでしょうか。